9月13日に投開票される沖縄県知事選は、新人の古謝玄太氏(42)と3期目を目指す現職の玉城デニー氏(66)が、選挙戦序盤から激しく競り合う展開となっている。
8月28~30日に沖縄県内全域の有権者を対象に行われた最新のインターネット情勢調査では、両氏は横一線 一方、投票先をまだ決めていない層は約5割に上り、現段階でどちらかが明確に抜け出したとは言えない状況だ。
ただ、別の数字を見ると、古謝氏側に有利とみられる材料も浮かび上がる。県内41市町村長の支持動向では、古謝氏支持が29人、玉城氏支持が6人。地方首長の支持では大きな差がついている。
週刊TAKAPIは、公開されている情勢調査、首長支持、期日前投票の数字を整理した。
【図表】沖縄県知事選2026 序盤情勢を数字で整理
最新情勢
古謝氏・玉城氏 横一線
投票先未定
約50%
知事選に「行く」
約70%
古謝氏支持の市町村長
29人
玉城氏支持の市町村長
6人
支持せず・未回答
6人
期日前投票者数(8月28~30日)
1万8572人
期日前投票率
1.58%
前回2022年・同時期
1.45%
前回比
+0.13ポイント
投票日
9月13日
※市町村長の支持動向は一般有権者の支持率ではない。
最新情勢は「古謝優勢」でも「玉城優勢」でもない
まず、有権者全体の情勢を見る。
告示翌日の8月28日から30日までの3日間、県内全域の有権者を対象に実施された合同インターネット調査では、古謝氏と玉城氏について「横一線」との分析が示された。
さらに、投票先を決めていない層が約5割、知事選に「行く」と答えた人が約7割となっている。
ここから分かるのは、現在の知事選を単純な「古謝氏優勢」「玉城氏優勢」と表現することが難しいという点だ。
とりわけ重要なのが、約半数に上る未定層だ。
今後、経済、物価高、子育て、辺野古移設、基地負担などをめぐる論戦によって、この層の投票先が動く余地が大きく残されている。
首長支持では29対6 古謝氏側が大きく先行
一方、一般有権者の情勢とは異なる動きを見せているのが、県内市町村長の支持だ。
41市町村長を対象にした調査では、
古謝玄太氏 29人
玉城デニー氏 6人
特定候補を支持しない・未回答 6人
となった。
割合に換算すると、古謝氏を支持する首長は41人中約70.7%。玉城氏支持は約14.6%となる。
数字の差は明確だ。
ただし、ここには注意が必要だ。
「古謝氏70.7%、玉城氏14.6%」という県民支持率ではない。
あくまで41市町村長の支持動向を割合に直した数字であり、市町村長が古謝氏を支持している地域で、有権者も同じ候補へ投票するとは限らない。
それでも、選挙組織や地域政治のネットワークを見る上では、古謝氏側にとって大きな材料といえる。
玉城氏を取り巻く政治環境は過去2回と異なる
玉城氏は2018年、2022年の県知事選で勝利し、現在2期目を務める。
その政治基盤を支えてきたのが、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する勢力を中心とした「オール沖縄」だった。
しかし、今回の知事選を取り巻く地方政治の状況は過去とは異なる。
県内11市の市長に「オール沖縄」系とされる首長がいないことに加え、今回の市町村長調査では29人が古謝氏支持に回った。
首長・組織レベルで玉城氏がこれまで以上に厳しい環境に置かれていることは、今回の数字から読み取れる。
ただ、それが直ちに県民全体の支持低下を意味するわけではない。
最新の有権者調査が両氏を「横一線」としていることも同時に見る必要がある。
期日前投票は1万8572人 前回よりやや高いペース
すでに実際の投票も始まっている。
県選挙管理委員会が8月31日に公表した速報値によると、8月28~30日の3日間に期日前投票を行った有権者は1万8572人だった。
選挙人名簿登録者117万6316人の1.58%に当たる。
2022年の前回知事選では同時期が1.45%だったため、今回は0.13ポイント上回っている。
人数では、前回同時期の1万7051人から1521人増となった。
ただし、0.13ポイントの増加であるため、「急増」「異例の高投票」とまで評価する数字ではない。
現段階では、前回をやや上回るペースと見るのが適切だ。
「44.1%対40.9%」は今回の統計から除外
SNS上では、自民党の内部調査として、
古謝玄太氏44.1%
玉城デニー氏40.9%
との数字も広がっている。
この数字が正しければ古謝氏が3.2ポイント上回る計算になる。
しかし、9月1日時点で週刊TAKAPIが確認した範囲では、回答者数や抽出方法、調査方法、調査期間などを確認できる公式な調査概要は一般公開されていない。
そのため、今回の統計表ではこの数字を採用しなかった。
週刊TAKAPIとしても、この内部調査だけを根拠に「古謝氏が逆転した」とは断定しない。
下地幹郎氏の撤退も古謝陣営にはプラス材料
選挙戦の構図を変えたもう一つの動きが、元衆院議員・下地幹郎氏の立候補取りやめだ。
下地氏は告示直前に出馬を取りやめ、古謝氏を支援する側へ回った。
これによって、保守・中道系の票が複数候補へ分散する可能性は低下した。
ただし、下地氏を支持していた有権者すべてが古謝氏へ移るわけではないため、実際にどの程度の票が動いたのかは投票結果や今後の調査を待つ必要がある。
では、玉城デニー氏は「大ピンチ」なのか
数字だけを見ると、玉城陣営にとって警戒すべき材料は少なくない。
首長支持は古謝氏29人に対して玉城氏6人。
地方政治における玉城氏側の基盤も、過去2回の知事選時とは異なる。
下地氏の撤退によって古謝氏側が候補一本化の恩恵を受ける可能性もある。
その意味では、玉城氏が過去の知事選より厳しい環境で戦っていると評価することはできる。
しかし、有権者を対象にした最新情勢調査そのものは「横一線」。しかも投票先未定は約5割だ。
したがって、
「玉城氏敗北濃厚」
「古謝氏が完全に逆転」
「古謝氏優勢が確定」
といった表現は現段階では根拠が足りない。
現在地を一言で表せば、
「古謝氏に追い風となる材料が目立つ一方、選挙情勢そのものはなお横一線」
となる。
勝敗を握る「5割の未定層」
今回の数字で最も注目すべきなのは、29対6という首長支持以上に、投票先未定約5割なのかもしれない。
仮に未定層の多くが今後投票先を決めれば、現時点の情勢は大きく変わる可能性がある。
さらに期日前投票はすでに始まっているため、「選挙終盤に決める人」だけでなく、日々実際の票が投じられている状態でもある。
古謝氏が組織面での追い風を得票につなげられるのか。
玉城氏が現職の知名度や2期8年の実績を背景に未定層を取り込めるのか。
残りの選挙期間で、この部分が最大の焦点になる。
投票日は9月13日
沖縄県知事選は8月27日に告示され、9月13日(日)に投票される。県の公式選挙情報でも日程が確認できる。
期日前投票は9月12日まで行われる。
今回の選挙には6人が立候補しているため、「古謝氏対玉城氏の一騎打ち」が正式な選挙構図というわけではない。
一方、現在公表されている情勢調査では、両氏が主要候補として激しく競り合っている。
編集部まとめ
統計をまとめると、古謝玄太氏は41市町村長のうち29人から支持を受け、組織・地方政治面で強い数字を示している。一方、最新の有権者情勢調査では玉城デニー氏と「横一線」で、約5割が投票先を決めていない。
玉城氏に厳しい材料はある。しかし現段階で勝敗は決していない。今後は、約5割の未定層がどこへ動くのかが9月13日の結果を左右する最大のポイントとなりそうだ。
週刊TAKAPI 編集部
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