【奈良・香芝】市立小中学校の「いじめ重大事態」2件を公表 小6児童は首絞めなど受け不登校 中学校では認定判断に遅れ

奈良県香芝市教育委員会が市立小中学校のいじめ重大事態2件の調査報告書を公表したニュースのアイキャッチ

奈良県香芝市教育委員会は2026年9月1日、市立小学校と中学校で発生した「いじめ重大事態」2件の調査報告書を公表した。

香芝市は2025年10月にいじめ防止に関する基本方針を改正し、重大事態の調査報告書について、原則として提出から3カ月以内に内容または概要を公表する方針を定めている。今回の2件は、方針改正後では初めての公表となる。

小学校 6年生児童が首を絞められるなどの行為

小学校の事案では、当時6年生だった児童が2025年5月に不登校となり、学校側の聞き取りなどから、同年1月ごろから同級生によるいじめを受けていたことが明らかになった。

調査報告書には、手首を引っ張る、首を絞める、羽交い締めにするといった身体的な行為や、「アホ」「バカ」といった暴言が記録されている。

児童は相手にやめるよう伝えていたものの、行為は続いていたという。

学校は5月にいじめを認知。その後も児童の欠席が続き、連続欠席日数が30日に達した6月24日、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定した。

児童はその後も登校せず、卒業証書は校長室で受け取ったとされている。

約5カ月把握できず 学校側の認知体制を問題視

小学校の調査報告書では、いじめが約5カ月にわたって続いていたにもかかわらず、学校側が把握できなかったことを課題としている。

報告書は、教職員の間で「いじめ及びいじめにつながる行為を許容しない」という意識を十分に醸成できていなかったことなどを問題点として挙げた。

学校が重大事態に至ってから対応しただけでなく、日常的な児童同士の関係の中で、いじめにつながる行為を早期に把握できなかった点が問われている。

中学校 2年生がカウンセリングで被害を訴え

中学校の事案では、以前から不登校傾向にあった2年生の生徒が、2025年10月初旬のカウンセリングで、1年生の2学期ごろから同級生による悪口や暴言などの被害を受けていたと説明した。

市が公表した調査報告書には、相手が同じ学級、同じ部活動に所属する生徒だったことや、悪口、暴言、嫌がらせなどの行為があったことが記載されている。

学校側はこの時点で生徒の欠席が相当数に達していることを把握していた。

その後、10月31日に重大事態と認定した。

「生徒の意向を優先」重大事態認定に遅れ

中学校の調査報告書では、重大事態として認定する判断が遅れたことが課題として指摘された。

学校側は、生徒の欠席状況から速やかに重大事態として対応する必要があった一方、本人の意向を踏まえた対応を優先し、認定に踏み切れなかったとしている。

いじめ重大事態は、被害児童・生徒の意向を尊重しながらも、法律や国のガイドラインに基づき、一定の要件を満たした段階で学校側が組織的に調査を開始する必要がある。

今回の報告書では、生徒への配慮と重大事態としての迅速な手続きをどう両立させるかという課題が示された。

2025年10月に方針改正 「3カ月以内に公表」

香芝市は2025年10月、いじめ重大事態への対応を定めた基本方針を改正した。

改正後は、重大事態の調査報告書が提出された場合、市長による再調査を行うケースなどを除き、原則3カ月以内に報告書の内容または概要を公表するとしている。

公表に際しては、被害児童・生徒や保護者の意見を確認し、個人が特定されないよう配慮することも定めている。

今回公表された2件についても、学校名や児童・生徒を特定できる情報は明らかにされていない。

調査を終えた別の重大事態も公表へ

香芝市教育委員会では、今回の2件とは別に、すでに調査を終えた重大事態がもう1件あり、近く公表する方針としている。

市は今後も重大事態の調査結果を公表し、学校現場でのいじめの早期把握や対応改善につなげるとしている。

編集部まとめ

今回の2件では、小学校で「いじめを把握するまでの遅れ」、中学校で「重大事態と認定するまでの遅れ」という異なる課題が浮かんだ。

公表制度を設けるだけでなく、学校現場で早期認知と迅速な判断につなげられるかが今後の焦点となる。

週刊TAKAPI編集部/一条

特記事項

この記事は、香芝市教育委員会が公表した市立小学校・中学校の「いじめ重大事態調査報告書」と、市のいじめ防止に関する基本方針などを基に構成しています。児童・生徒や学校を特定できる情報は掲載していません。

Q香芝市教育委員会は何を公表したのですか?
A市立小学校と中学校で発生した「いじめ重大事態」2件の調査報告書を公表しました。
Q小学校ではどのようないじめがあったのですか?
A当時6年生の児童が、同級生から首を絞められたり、羽交い締めにされたりする身体的な行為や暴言を受けていたことが報告されています。
Q小学校の事案では何が問題とされたのですか?
Aいじめが約5カ月にわたって続いていたにもかかわらず、学校側が把握できなかった点が課題として指摘されています。
Q中学校ではなぜ重大事態の認定が遅れたのですか?
A生徒の欠席状況から速やかな認定が必要だった一方、学校側が生徒本人の意向を踏まえた対応を優先し、認定の判断が遅れたとされています。
Q香芝市は今後も調査報告書を公表するのですか?
A市の基本方針では、重大事態の調査報告書について原則3カ月以内に内容または概要を公表すると定めています。今回とは別に調査を終えた1件についても、近く公表する方針です。

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