公立鳥取環境大学(鳥取市)は2026年9月4日、アカデミック・ハラスメントとセクシャル・ハラスメントに該当する行為があったとして、教授1人を減給の懲戒処分としました。
大学が公式サイトで公表した内容は、次の4項目だけです。

大学はこのほか、具体的な行為、認定件数、「短期間」がいつからいつまでなのか、被害者が学生か教職員か、減給率や期間について公表していません。」
「短期間で繰り返した」一方、減給の具体的な中身は公表せず
今回の公表で最も重要なのは、大学自身が単発のハラスメントではなく、**「同様の事案を短期間で繰り返した」**と処分理由に明記していることです。
それにもかかわらず、何件を認定したのかは示されていません。
また、「アカデミック・ハラスメント及びセクシャル・ハラスメント」とされているものの、それぞれ別の行為なのか、一つの言動が双方に該当すると判断されたのかも分かりません。
処分の「減給」についても、割合や期間の記載はありません。
公立鳥取環境大学の職員就業規則は、懲戒を戒告、減給、停職、諭旨解雇、懲戒解雇の5区分としています。減給は、1回の減額が平均賃金1日分の半額を超えず、総額も一給与支給期の給与総額の10分の1を超えない範囲と定めています。
つまり今回の公表だけでは、実際に給与がどの程度減額されたのかを確認できません。
他大学では「減給」から「諭旨解雇」まで 単純比較はできない
では、アカハラやセクハラで「減給」は軽いのでしょうか。
最近、大学が公式に公表した事案を見ると、処分にはかなり幅があります。
| 大学 | 公表された事案 | 処分 |
|---|---|---|
| 広島大学 | 教授が指導学生にセクハラ | 減給 |
| 名古屋工業大学 | 教授が教職員にセクハラ・パワハラ・アカハラ | 停職3カ月 |
| 岡山大学 | 教員が女性構成員にセクハラ | 停職3カ月 |
| 大阪大学 | 准教授が女性研究者に身体接触を伴うセクハラ | 諭旨解雇 |
この比較から「公立鳥取環境大学の処分は軽すぎる」とまでは言えません。
同じ「セクハラ」「アカハラ」という分類でも、身体接触の有無、発言内容、被害への影響、立場の利用、反復性、過去の問題行動などによって量定は変わるからです。
むしろ今回の問題は、大学が行為の程度を判断できる材料をほとんど公表していないため、なぜ停職ではなく減給だったのか外部から検証できないことです。
大学規程は量定で「態様」「影響」「過去の非違行為」を考慮
大学の「職員の懲戒等に関する規程」では、量定を決める際、行為の動機や態様、結果、故意・過失の程度、職責、周囲や社会への影響、過去の非違行為、日頃の勤務態度や問題発覚後の対応を総合的に考慮するとしています。
ここは重要です。
規程自体に「反復」という語が直接並んでいるわけではありません。しかし大学は今回、あえて「短期間で繰り返したこと」を処分理由に記載しました。
それなら、反復した事実を量定上どのように評価し、それでも減給としたのかは、追加説明があってもよい部分です。
被害者を匿名にすることと、事案の説明は別
被害者の氏名や所属、詳細な言動を公表しない判断には合理性があります。
ハラスメント事案では、詳しい情報を出すことで被害者が特定されたり、二次被害につながったりする可能性があるためです。他大学でも、この理由から行為や被害者の詳細を非公表としている例があります。
一方、公立鳥取環境大学のハラスメント規程では、対象となる「構成員」に教職員だけでなく、学部生、大学院生、研究生なども含まれています。今回の公式発表は被害者属性を示していないため、「教授による学生へのハラスメント」と決めつけることはできません。
被害者を特定しないことと、認定件数、発生期間、学生か職員かという大まかな属性、処分後の教育・研究業務の扱いまで一切明らかにしないことは、同じ問題ではありません。
これらについて大学に法的な公表義務があると断定することはできませんが、個人特定を避けながら説明できる余地がある情報です。
教授は現在も学生を指導しているのか
特に確認が必要なのは、処分後の教育・研究業務です。
大学は教授の氏名や所属を公表しておらず、授業、ゼミ、卒業研究、大学院の研究指導などを現在も通常通り担当しているのかも明らかにしていません。
ハラスメントが学生を対象としたものだったかどうか自体が非公表のため、接触制限や指導教員の変更が必要な事案だったのかも分かりません。
ここは処分そのものとは別に、大学が再発防止と被害者保護をどう設計したのかを見る材料になります。
週刊TAKAPIが大学に確認すべき6項目
現時点では大学への直接照会を実施していないため、「回答なし」「非公表との回答」とは記載しません。取材では、減給の具体的な率・期間、「短期間」の具体的な期間、アカハラとセクハラの認定件数、被害者が学生か教職員か、処分後も授業・ゼミ・研究指導を担当しているか、被害者との接触制限や指導教員変更などの措置を取ったかの6点を確認する必要があります。
この回答が得られれば、今回の処分がどのような事実認定と再発防止策に基づくものなのか、現在の4項目だけより大幅に明確になります。
編集部まとめ
大学が次に明らかにする必要性が高いのは、次の3点です。
- 減給の具体的な量定
- 「短期間で繰り返した」事案の期間と認定件数
- 処分後の授業・ゼミ・研究指導など教育研究業務に制限があるか
被害者の匿名性を守りながら、どこまで説明責任を果たせるかが次の焦点です。
週刊TAKAPI編集部/一条
特記事項
本記事は2026年9月5日午前0時台時点で、公立鳥取環境大学が9月4日に公表した「職員の処分について」、同大学の職員就業規則、職員の懲戒等に関する規程、ハラスメント等人権侵害の防止等に関する規程、および他大学が公式公表した近年のハラスメント懲戒事案を確認して構成しています。
他大学との比較は、処分量定の幅を示すためのもので、行為内容や被害結果が異なるため、個別処分の妥当性を単純比較するものではありません。
9月4日の大学発表には、逮捕、書類送検、起訴などの刑事手続きに関する記載はありません。
大学から追加発表があった場合や、取材によって処分の具体的内容が確認できた場合は記事を更新します。
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