TBS系の経済情報番組「がっちりマンデー!!」の2026年9月6日放送回で、エムディー株式会社が開発・運営するAI売上予測サービス「gleasin(グリーシン)」が取り上げられた。
番組が注目したのは、飲食店や小売店などの新規出店をめぐり、「この街に店を出したら、売上はいくらになるのか」をAIと商圏データで予測する仕組みだ。
人口、人流、所得、競合店舗、駅の利用状況などを分析し、経験と勘に偏りがちだった出店判断をデータで支える。地方への新規進出や多店舗展開を目指す企業にとって、今後さらに存在感を高める可能性がある。
「がっちりマンデー!!」で全国的な注目を集めたことを機に、週刊TAKAPIが今後の動向を追いたい企業の一つだ。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
がっちりマンデーが「出店成功確率を予測するAI」を紹介
TBS「がっちりマンデー!!」は、毎週日曜日午前7時30分から放送されている経済情報番組だ。
2026年9月6日放送回のテーマは「確率ビジネス」。番組公式サイトでは、クレーンゲームやインターネット通販の「カゴ落ち」対策などと並び、新店舗の売上を予測するサービスが紹介された。
放送前の番組説明では、次のように予告されていた。
この街にお店を出したら売上げはいくら?的中率は驚異の95%!新店舗の売上げを当てちゃうサービスが誕生!
エムディー株式会社も9月4日、同社が開発・運営する「gleasin」が番組で紹介されることを公式に発表していた。TBS「がっちりマンデー!!」公式サイト、エムディー株式会社の発表
全国放送の経済番組で取り上げられたことで、これまで店舗開発や商圏分析の担当者を中心に知られていたサービスが、一般にも広く認知される契機となりそうだ。
エムディー株式会社とはどんな会社?
エムディー株式会社は、東京都港区の麻布台ヒルズ森JPタワーに本社を置く企業だ。
会社設立は2018年10月1日で、創業は2003年。代表取締役社長は伊藤弘人氏が務める。
同社は大きく分けて、次の事業を展開している。
- クリニックの開業・経営コンサルティング
- メディカルモールの開発・運営
- 医療機関などの承継・M&A支援
- 店舗の立地戦略コンサルティング
- AIソリューション・プロダクト開発
- SaaSの企画・開発・運営・販売
もともと医師や歯科医師の開業支援を通じて、診療圏や競合施設、人口構成などの立地分析を蓄積してきた。
医療機関も一般的な店舗と同様、どこに開業するかによって患者数や経営状況が大きく変わる。そのため、物件の選定から内装、開業後の経営まで一貫して支援するなかで、「場所」を評価するノウハウを積み上げてきた。
この立地分析の知見を、医療以外の店舗ビジネスにも広げたものが「gleasin」だ。
gleasin(グリーシン)とは?
gleasinは、AI売上予測や商圏分析を使って、新規出店の候補地選びを支援するサービスだ。
地図上で候補地を指定し、その周辺にどのような消費者がいるか、どの時間帯に人が集まるか、競合店舗がどこに存在するかなどを分析する。
公式サイトで案内されている主な機能は、次の通りだ。
- AIによる出店前の売上予測
- 国勢調査などを使った人口・世帯分析
- GPSデータによる人流の可視化
- 推計昼間人口の分析
- 周辺店舗・競合店舗の確認
- 消費者属性や所得水準の分析
- 駅乗降客数の確認
- 自社店舗と出店候補地の比較
- AIによる出店エリアの解説
これらを組み合わせ、出店担当者が候補物件を探す時間を短縮し、社内会議で判断根拠を説明しやすくする狙いがある。
なぜエムディー株式会社は今後注目なのか
全国放送によって認知度が高まる可能性
「がっちりマンデー!!」は、成長企業や新しいビジネスモデルを紹介する全国放送の番組だ。
番組で紹介されたこと自体が企業の成長を保証するものではない。ただ、これまで商圏分析に詳しくなかった店舗経営者や経営層にも、gleasinの名称や機能が知られる可能性は高い。
商圏分析サービスは、実際に利用する現場担当者だけでなく、導入を承認する経営層に価値を理解してもらう必要がある。全国放送による認知度の向上は、サービスの営業や導入検討を後押しする可能性がある。
店舗開発の「属人化」という課題に対応
従来の店舗開発では、長年の経験を持つ担当者が現地を歩き、人の流れや道路状況、競合店の入り具合などを確認して出店の可否を判断してきた。
この方法には現場だからこそ分かる強みがある一方、その判断基準が担当者個人に集中しやすい。
担当者の退職や異動によって、企業が店舗開発のノウハウを失うこともある。担当者によって評価が変わり、出店会議で候補地を公平に比較できない問題も生じる。
gleasinが目指しているのは、経験豊富な担当者の判断を否定することではない。経験に人口、人流、競合、売上実績などのデータを加え、組織で共有できる形にすることだ。
人手不足やベテラン社員の高齢化が進むなか、店舗開発ノウハウの継承を支援するサービスには一定の需要が見込まれる。
飲食以外の業界にも展開できる
商圏分析が必要なのは、飲食店だけではない。
フィットネスジム、美容室、アパレル、物販店、アミューズメント施設、クリニックなど、実際の拠点に顧客を集める業態では、立地が収益を大きく左右する。
エムディー株式会社は2026年8月、フィットネスジム向け不動産サービス「ジム不動産」を運営するKinTech株式会社との業務提携も発表した。
物件情報とAIによる商圏分析を組み合わせることで、候補物件を探す段階から出店判断までを支援する狙いがある。
gleasinが業種ごとのデータや分析モデルを蓄積できれば、医療分野から始まった立地分析を幅広い店舗ビジネスへ展開できる可能性がある。
「類似店舗」機能で成功店との違いを可視化
エムディー株式会社は2026年8月、gleasinの「類似店舗」機能をアップデートした。
この機能では、新しい出店候補地と既存の自社店舗を比較し、商圏条件が似ている店舗を類似度順に表示する。
今回の更新では、単に「似ている」という総合評価だけでなく、なぜ似ているのかを項目別に確認できるようになった。
比較できる項目として、次の情報が公表されている。
- 人口統計
- GPS人流情報
- 所得水準
- 駅乗降客数
- 周辺店舗
- 小売関連の経済指標
- 既存店の売上金額
- 候補地から既存店までの距離
たとえば、既存の好調店と候補地の総合類似度が高くても、詳細を見ると「人流は似ているが、所得水準や競合状況は異なる」と分かる場合がある。
成功店との共通点だけでなく、違いも見えることが重要だ。
これにより、出店を後押しする材料だけでなく、「この条件では想定より客単価が上がらない可能性がある」といったリスクの検討にも活用できる。
番組が示した「的中率95%」はどう見るべきか
「がっちりマンデー!!」公式サイトは、今回紹介する売上予測サービスについて「的中率は驚異の95%」と表現している。
非常に高い数字だが、評価するには「的中率」の定義を確認する必要がある。
たとえば、次の条件によって数値の意味は変わる。
- 予測と実績の誤差をどこまで許容しているのか
- 何店舗を対象に検証したのか
- どの業種で検証したのか
- 開店後何カ月の売上と比較したのか
- 閉店店舗や予測が外れた事例も含まれているのか
- 実証実験なのか、実際の導入企業全体の結果なのか
したがって、95%という数字だけを見て「出店すれば必ず成功する」と受け取るべきではない。
週刊TAKAPIとしては、予測精度の算定方法、検証店舗数、誤差の範囲、業種別の実績について、今後確認すべきポイントだと考える。
地方都市の出店分析でも活用の可能性
gleasinのようなサービスは、東京や大阪などの大都市だけでなく、東三河をはじめとする地方都市でも活用できる可能性がある。
地方では、居住人口の多さと店舗の集客力が必ずしも一致しない。
人口密度が低い地域でも、幹線道路沿いで駐車場に入りやすい場所には広域から利用客が集まる。反対に、人口が比較的多くても、渋滞や中央分離帯、右折入庫の難しさによって利用されにくい物件もある。
豊橋市や豊川市などでは、自動車による移動を前提とした分析が欠かせない。単純な徒歩圏人口だけでなく、道路交通量、時間帯別人流、駐車場、競合店との距離などを組み合わせて評価する必要がある。
一方、祭りや観光イベント、大学、工場の勤務時間など、地域固有の動きがデータへ正確に反映されるかは検証が必要だ。
編集部の考察|番組出演はゴールではなく成長の入り口
エムディー株式会社が「がっちりマンデー!!」で取り上げられた背景には、AIという話題性だけでなく、店舗経営者が長く抱えてきた「どこに店を出せばよいのか」という具体的な問題がある。
新規出店には、物件取得費、工事費、設備費、採用費など多額の資金が必要だ。立地選びを誤れば、商品やサービスが優れていても経営が立ち行かなくなることがある。
その重大な判断をAIとデータで支援するサービスには、社会的な需要がある。
ただし、今後の企業評価を左右するのはテレビ出演の事実だけではない。
注目したいのは、次の点だ。
- 番組放送後に導入企業がどこまで増えるか
- 売上予測の精度を継続的に公開できるか
- 地方都市や郊外型店舗でも精度を維持できるか
- 飲食、医療、フィットネス以外へ展開できるか
- 導入費用に見合う効果を示せるか
- 予測が外れた事例をどこまで検証できるか
- 個人情報や位置情報を適切に取り扱えるか
全国放送で注目を集めた今こそ、サービスの実力が問われる段階に入ったともいえる。
店舗出店の「経験と勘」を、データで検証できる仕組みに変えられるのか。エムディー株式会社は、週刊TAKAPIが今後も継続して注目したい企業だ。
エムディー株式会社は上場していますか?
2026年9月時点で、エムディー株式会社は未上場企業です。資本金は5,000万円と公表されています。
gleasinの利用料金はいくらですか?
公式サイトでは詳細な料金が一般公開されておらず、問い合わせが必要です。導入時には基本料金、初期費用、利用人数、分析店舗数、契約期間、解約条件を確認する必要があります。
がっちりマンデーで紹介された95%は成功確率ですか?
番組公式サイトでは「的中率」と表現されており、出店した店舗の95%が経営に成功するという意味だとは確認できません。売上予測の誤差範囲や検証条件を確認する必要があります。
gleasinを使えば現地調査は不要になりますか?
現地調査は必要です。店舗の視認性、駐車場への入りやすさ、道路状況、周辺環境など、データだけでは判断しにくい条件があります。
今後、エムディー株式会社で注目すべき点は?
gleasinの導入企業数、予測精度の検証結果、地方都市への対応、業種別モデルの拡大、他社との業務提携などが注目点になります。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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