「スポーツデポ」「ゴルフ5」「アルペンアウトドアーズ」など、全国でスポーツ用品店を展開する株式会社アルペン。東京の企業という印象を持つ人もいるかもしれないが、実は愛知県名古屋市で誕生した会社だ。
始まりは、名古屋市内に開業したわずか15坪のスキーショップだった。そこからゴルフ、総合スポーツ、アウトドアへと事業領域を広げ、全国的なスポーツ小売企業へ成長した。
アルペンは愛知県名古屋市で生まれた会社
株式会社アルペンは、1972年7月に名古屋市西区で設立された。本部は現在も、名古屋市中区丸の内二丁目の「アルペン丸の内タワー」に置かれている。
同社の公式な沿革によると、原点は1972年に名古屋市押切でオープンした、売り場面積15坪のスキーショップ「アルペン」だった。「スキーの楽しさを広める場をつくりたい」という思いから始まり、当時のスキーブームとともに事業を拡大したという。
現在の会社概要は次の通り。
- 会社名:株式会社アルペン
- 設立:1972年7月
- 本部所在地:愛知県名古屋市中区丸の内二丁目9番40号
- 資本金:151億6360万円
- 主な事業:スポーツ用品、ゴルフ用品、アウトドア用品などの商品開発・販売
- その他の事業:ゴルフ場、スキー場、フィットネスクラブの運営
きっかけは名古屋市押切の小さなスキーショップ
現在のアルペンは大型店舗のイメージが強いが、創業時から巨大なスポーツ店だったわけではない。
最初の店舗は、名古屋市押切に開いた小規模なスキーショップだった。その後、1976年には愛知県一宮市へ、スポーツ業界では初とする郊外型店舗を出店。車で訪れやすい立地に大型店舗を構える、後のアルペンの出店スタイルにつながっていった。
スキー用品の販売で成長したアルペンは、スポーツ人口や消費者の需要の変化に合わせて、ゴルフや総合スポーツ、アウトドアへ事業を広げていく。
「ゴルフ5」1号店も愛知県春日井市だった
アルペンが手掛ける全国ブランドには、愛知県から始まったものが少なくない。
1983年には、大型ゴルフ専門店「ゴルフ5」の1号店を愛知県春日井市にオープンした。海外の人気商品をそろえるだけでなく、店内での試打やクラブの加工、修理などのサービスを充実させた。
1997年には、総合スポーツ用品店「スポーツデポ」の1号店を香川県高松市に出店。売り場面積約1200坪という大型店で、幅広いスポーツ用品を一つの店舗で扱う現在の主力業態を築いた。
さらに2018年には、アウトドア専門店「アルペンアウトドアーズ」の1号店を、再び愛知県春日井市に開業。2024年3月には、名古屋市中区栄のナディアパークに旗艦店「Alpen NAGOYA」をオープンしている。
スポーツデポやゴルフ5もアルペングループ
「アルペン」という店名を最近あまり見かけなくなったため、会社自体が縮小したと思っている人もいるかもしれない。
しかし、現在も身近にある次のような店舗はアルペングループが展開している。
- アルペン
- スポーツデポ
- ゴルフ5
- ゴルフ5プレステージ
- アルペンアウトドアーズ
- アルペンマウンテンズ
- Alpen TOKYO
- Alpen FUKUOKA
- Alpen NAGOYA
スキー用品店として始まった企業が、競技スポーツ、ゴルフ、キャンプ、登山などへ専門分野を広げてきた形だ。
「TIGORA」や「IGNIO」もアルペンのブランド
アルペンは、国内外のスポーツブランドを販売するだけではなく、独自商品の開発にも力を入れている。
代表的なプライベートブランドが、スポーツウェアやシューズ、トレーニング用品などを展開する「TIGORA(ティゴラ)」と、機能を絞り込んで価格競争力を高めた「IGNIO(イグニオ)」だ。
このほか、アウトドア用品の「Alpen Outdoors」、ウィンタースポーツを起源とする「kissmark」、ゴルフ用品の「TOBUNDA」や「Kolwin」なども展開している。
店舗で見かける商品名は知っていても、それらを扱う企業が名古屋発祥であることまでは、全国的にあまり知られていないかもしれない。
売上高1000億円、2000億円を突破した成長の歴史
アルペンは1985年に、スポーツ専門店の売上高・経常利益高ランキングで1位となった。公式沿革では、2005年にスポーツ専門店の売上高ランキングで20年連続1位になったとしている。
売上高は1992年に1000億円、2013年には2000億円を突破した。2006年には東京証券取引所と名古屋証券取引所の市場第一部へ上場している。
名古屋市内の小さな専門店が、全国規模の上場企業へ成長したことになる。
愛知県内に物流と商品開発の基盤を集積
アルペンと愛知県とのつながりは、創業地や本社所在地だけではない。
同社は春日井市、小牧市、大口町、稲沢市などに物流拠点を設けてきた。2021年には小牧ディストリビューションセンターで、3Dロボット倉庫システムを稼働。2024年には稲沢市に、ECの旗艦倉庫となる中京フルフィルメントセンターを開設した。
全国へ商品を送り出す物流面でも、愛知県が重要な拠点となっている。
編集部の考察|なぜアルペンは名古屋から全国企業になれたのか
アルペンの成長を振り返ると、専門性の高い商品を扱いながら、郊外型の大型店舗へ早くから進出したことが大きかったと考えられる。
愛知県は自動車で移動する生活スタイルが定着しており、広い売り場や駐車場を備えた郊外店との相性が良い。1976年に一宮市へ郊外店を出した経験は、その後の全国展開を支える店舗モデルをつくる上で重要だった可能性がある。
一方、スキーブームだけに依存せず、ゴルフ、総合スポーツ、アウトドア、ECへと事業を広げた点も見逃せない。スポーツ市場の変化に合わせて業態を組み替えてきたことが、創業から半世紀を超えて存続する土台になったとみられる。
※この項目は、同社が公表している沿革や事業展開を基にした週刊TAKAPI編集部の考察です。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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週刊TAKAPI編集部:黒木
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