なぜテレビは「スーパーアキダイ」ばかり映すのか?野菜高騰のたびに登場する理由を考察

野菜の価格が上がったとき、記録的な暑さが続いたとき、台風や大雪で物流が乱れたとき――。

テレビのニュースや情報番組を見ていると、東京都練馬区などでスーパーを展開する「アキダイ」が、かなりの頻度で登場する。

店頭に並ぶキャベツや白菜を映しながら、秋葉弘道社長が価格の見通しを説明する光景は、いまや季節のニュースにおける“定番映像”ともいえる。

全国には数多くのスーパーがある。それでも、なぜテレビ局はアキダイを選ぶのか。

背景を探ると、単なる知名度だけではなく、テレビニュースの制作事情と、秋葉社長の現場対応力がうまくかみ合った結果が見えてくる。


スーパーアキダイとは?東京・練馬発の地域密着スーパー

株式会社アキダイは、秋葉弘道社長が1992年に創業したスーパーマーケット運営会社だ。

公式サイトによると、東京都練馬区の関町本店をはじめ、中村橋、荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺、等々力、府中新町、松原、高井戸、聖蹟桜ヶ丘などに店舗・売り場を展開している。

同社は、各分野の担当者が毎日市場へ出向き、自分たちの目や舌で商品を確認して仕入れることを強みとしている。

巨大スーパーというより、青果を中心に生鮮食品の仕入れ力を磨いてきた地域密着型のスーパーだ。

ところが、テレビでの知名度は全国チェーンにも引けを取らない。


理由① 秋葉社長がテレビ取材をほとんど断らない

最大の理由として考えられるのが、秋葉社長の取材対応の良さだ。

テレビ番組の紹介では、秋葉社長は取材を断らないことで知られ、1日に4社の取材へ対応する日もあるとされている。

ニュース番組の制作現場では、放送当日に取材先を探すケースも少なくない。

「きょう発表された野菜価格についてコメントがほしい」

「猛暑による仕入れへの影響を夕方のニュースで放送したい」

こうした急な依頼に対し、すぐに取材を受け、限られた時間で要点を話してくれる取材先は貴重だ。

一度取材が成功すれば、テレビ局側には「困ったときはアキダイ」という経験が蓄積される。別の番組や担当者にも情報が共有され、次の取材につながっていく。

アキダイの露出が増えた背景には、この信頼の積み重ねがあると考えられる。


理由② 野菜価格を「生活者の言葉」で説明できる

秋葉社長のコメントは、専門的な市場動向を一般の視聴者にも分かりやすく伝えられる点に特徴がある。

テレビが必要としているのは、卸売価格や作付面積などの数字だけではない。

視聴者が知りたいのは、次のような生活に直結する情報だ。

  • キャベツは、いつ安くなるのか
  • いま買いやすい野菜は何か
  • 天候不順で、どの商品が値上がりするのか
  • 高値は一時的なのか、長期化するのか
  • 家庭では何を代わりに選べばよいのか

秋葉社長は市場での仕入れ経験を基に、価格の変化を具体的に説明する。

しかも「高い」「安い」だけではなく、産地の天候や入荷量、品質、今後の見通しまで短時間でまとめられる。

テレビにとっては、専門家としての知識と、町のスーパーとしての親しみやすさを同時に備えた存在なのである。


理由③ 店内だけでニュース映像が成立する

テレビニュースには「絵」が必要だ。

野菜高騰を伝える場合、スタジオで価格表を見せるだけでは画面に動きが出にくい。一方、スーパーなら商品、値札、買い物客、陳列作業など、物価上昇を視覚的に伝えられる。

例えば、キャベツが1玉500円になったニュースなら、実際のキャベツと値札を同時に映せる。過去の価格と比較すれば、値上がりの大きさも直感的に伝わる。

その場で秋葉社長の解説も収録できるため、テレビ局は一つの取材先で、

  • 店頭の商品映像
  • 値札の映像
  • 市場動向の解説
  • 消費者目線のコメント
  • 今後の価格予測

をまとめて確保できる。

取材効率の高さも、繰り返し起用される大きな理由だろう。


理由④ 都内にあり、テレビ局が短時間で向かいやすい

アキダイの事務所と関町本店は、東京都練馬区にある。

全国ニュースであっても、制作の中心は東京に置かれていることが多い。都内の取材先であれば、急な撮影でもスタッフが移動しやすい。

地方の産地まで取材班を派遣するには、移動時間や交通費、撮影スケジュールの調整が必要になる。一方、都内のスーパーなら当日中に撮影し、夕方のニュースに間に合わせることも可能だ。

もちろん、東京にあるスーパーはアキダイだけではない。

しかし「アクセスしやすい」「店内撮影に対応できる」「責任者がすぐに話せる」という条件を同時に満たす店舗は、意外に限られる。

立地の良さと柔軟な取材対応が組み合わさり、テレビ局にとって非常に使いやすい取材先になっているとみられる。


理由⑤ 秋葉社長自身が“ニュースの登場人物”になった

テレビ出演を繰り返すうちに、秋葉社長自身が視聴者に認知されるようになった。

通常、スーパーの担当者が登場する場合、視聴者は「青果担当者の一人」として見る。しかし秋葉社長の場合、「野菜の価格を説明する人」として、顔や話し方まで覚えている人が少なくない。

これはテレビ局にとって大きな利点だ。

初めて登場する専門家なら、肩書や経歴を丁寧に説明する必要がある。一方、すでに視聴者が知っている人物なら、短い放送時間でも話を進めやすい。

つまり現在のアキダイは、単に取材を受けるスーパーではなく、秋葉社長を含めて一つの“ニュースブランド”になっている。


理由⑥ 野菜は天気・物価・家計をつなぐ万能なニュース題材

青果は、テレビが日常的に扱いやすいニュース分野でもある。

野菜価格は、猛暑、長雨、台風、雪不足、燃料費、円安、物流、人手不足など、さまざまな社会問題とつながっている。

さらに、ほぼすべての家庭に関係するため、視聴者層を選ばない。

政治や金融の話題は難しく感じる人でも、「白菜が高い」「トマトが安くなった」という話なら生活への影響を想像しやすい。

青果に強く、日々市場へ仕入れに出向くアキダイは、テレビ局にとって継続的に取材できる情報源になっている。


テレビ出演はアキダイ側にも大きなメリットがある

頻繁な取材対応は、営業中の店舗やスタッフに負担をかける可能性もある。それでもメディア対応を続けるのは、アキダイ側にも相応のメリットがあるからだろう。

テレビに映れば、店名や売り場が全国へ伝わる。通常のテレビCMに換算すれば、大きな広告価値が生まれる可能性がある。

ただし、単なる宣伝として出演を続けても、テレビ局から繰り返し呼ばれるとは限らない。

重要なのは、取材のたびにニュースで使える情報を提供してきたことだ。結果としてテレビ局は必要なコメントを得られ、アキダイは知名度と信用を高められる。

双方の利害が一致する、持続的な関係がつくられている。


編集部の考察|アキダイは「テレビ局の外部青果デスク」になった

ここからは編集部の考察となる。

アキダイが頻繁にテレビへ登場する最大の理由は、出演回数の多さそのものではない。

本質的には、テレビ局が必要とする「速さ」「分かりやすさ」「映像」「信頼性」を、一つの店舗で提供できることにある。

報道機関が取材先を選ぶ際は、専門知識だけでなく、連絡の取りやすさや回答までの速さも重要になる。どれほど詳しい専門家でも、放送時間までに連絡が取れなければニュースでは使えない。

その点、秋葉社長は日々の仕入れを通じて現場を把握し、その情報を短いコメントに変換できる。さらに、撮影できる売り場まで同じ場所にある。

いわばアキダイは、テレビ局にとって「社外にいる青果担当デスク」のような存在になったのではないか。

一度つくられた信頼関係が次の取材を呼び、出演が増えるほど知名度が上がり、視聴者にも説明が通じやすくなる。その結果、さらに起用されやすくなる。

この好循環こそが、全国にスーパーがある中で、アキダイが突出してテレビに登場する理由だと考えられる。


アキダイの事例が示す「取材される企業」の条件

アキダイの事例は、地域企業にとっても参考になる。

メディアに取り上げられるために必要なのは、必ずしも大規模な広告宣伝や派手な新商品ではない。

  • 問い合わせに素早く対応する
  • 数字や根拠を用意しておく
  • 専門的な内容を平易に説明する
  • 撮影可能な現場を持つ
  • 不都合な質問にも誠実に答える
  • 継続して情報提供できる関係を築く

こうした地道な対応が、「このテーマなら、この会社」という立ち位置につながる。

アキダイはスーパーでありながら、長年の取材対応によって、青果相場を伝える情報インフラのような役割まで獲得した。

テレビ出演の多さは偶然ではない。地域密着の商売、現場の知識、秋葉社長の発信力、そしてテレビ制作との相性が積み重なった結果なのである。


Qスーパーアキダイはいつ創業しましたか?
Aアキダイの公式会社案内では、創業は1992年とされています。
Qアキダイは青果以外の商品も販売していますか?
A青果のほか、鮮魚、精肉、一般食品などを扱っています。手造りパンや飲食店の事業も展開しています。
Qアキダイの店舗情報はどこで確認できますか?
A営業時間や店舗所在地は、アキダイの公式サイトにある店舗一覧で確認できます。休業日などは変更される可能性があるため、来店前の確認が必要です。
Qテレビで紹介された商品は必ず全店で購入できますか?
A店舗や仕入れ状況によって、価格、在庫、取扱商品が異なる可能性があります。放送時の映像だけで判断せず、利用する店舗へ確認するのが確実です。

※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。

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週刊TAKAPI編集部:黒木

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