愛知県は9月18日、弥富市に整備していた「ゼロメートル地帯広域防災活動拠点」を9月28日に供用開始すると発表した。
整備費は約19億円。南海トラフ地震などでゼロメートル地帯が広域浸水した際、ボートやヘリコプターを使って住民を救出・救助するための拠点となる。
県が県内4地域で進める防災活動拠点のうち、供用開始は愛西市、西尾市に続いて3カ所目。
そして、残る最後の1カ所が豊橋市だ。
県は国道23号豊川橋料金所跡地で東三河南部地域の防災活動拠点を整備しており、2027年度の供用開始を予定している。
弥富で完成する約19億円の施設とはどのようなものなのか。そして、豊橋では現在どこまで整備が進んでいるのか。
県の公表資料から確認した。
弥富市に約19億円の防災活動拠点
新たに供用を開始するのは、弥富市鳥ケ地町の「海南こどもの国」第2駐車場に整備された防災活動拠点。
敷地面積は約2,900平方メートル、上面部は約1,500平方メートル。
地上からの高さは約15メートルあり、ヘリポート、防災倉庫、救助ボートの船着場などを備える。
整備期間は2025年1月から2026年9月までで、整備費は約19億円。
9月28日には完成式典が開かれ、その後、供用を開始する。
なぜ「高さ15メートル」の施設が必要なのか
この施設は、一般的な避難所とは役割が異なる。
愛知県西部には、海抜ゼロメートル以下の土地が広範囲に存在する。
南海トラフ地震などによって堤防が沈下し、津波などによる広域浸水が発生した場合、長期間にわたって水が引かず、多くの住民が浸水区域内に取り残される可能性がある。
そこで県が整備しているのが「ゼロメートル地帯広域防災活動拠点」だ。
浸水地域に取り残された住民をボートで救助して拠点へ搬送。
その後、ヘリコプターなどを使って浸水区域外へ救出する。
いわば、広域浸水時の「救助の中継地点」となる施設だ。
愛西、西尾、弥富 そして残るのは豊橋
愛知県は県内4地域で防災活動拠点の整備を進めている。
尾張西部地域では愛西市の拠点が2023年3月18日に供用を開始。
西三河南部地域では西尾市の拠点が2025年3月15日に供用を開始した。
今回、木曽三川下流域の弥富市が2026年9月28日に加わる。
これで4地域のうち3地域で拠点が供用されることになる。
最後に残るのが、東三河南部地域の豊橋市だ。
豊橋は「国道23号豊川橋料金所跡地」
豊橋市で整備が進んでいる場所は、豊橋市富久縞町西ノ坪60-2ほかの「国道23号豊川橋料金所跡地」。
愛知県は2022年12月、東三河南部地域の防災活動拠点候補地としてこの場所を決定した。
国土交通省名古屋国道事務所、豊橋市、愛知県の3者で覚書も締結している。
敷地面積は約9,200平方メートル。
このうち上面部は約7,000平方メートルで、既存の盛土は高さ約5メートルある。
県はこの地形と既存施設を活用し、防災倉庫やヘリコプターの離着陸スペースなどを整備する。
既存のスロープについても、浸水時には救助ボートの船着場として利用する計画だ。
豊橋は弥富の約3.2倍の敷地
施設の構造が異なるため単純比較はできないものの、敷地規模では豊橋の方が大きい。
弥富市は約2,900平方メートル。
豊橋市は約9,200平方メートルで、約3.2倍となる。
上面部についても、弥富市の約1,500平方メートルに対して豊橋市は約7,000平方メートル。約4.7倍だ。
一方、弥富では地上約15メートルのヘリポート構造物を整備しているのに対し、豊橋では国道23号の旧料金所跡地にある既存の盛土やスロープを活用する。
面積だけから整備費を比較することはできない。
豊橋は2027年度供用予定
県資料からは、豊橋市の拠点整備が段階的に進められていることも確認できる。
2024年度には実施設計。
2025年度には地盤改良、敷地造成、防災倉庫の整備。
2026年度は上面部工事を進める。
そして2027年度に仕上工事を行い、供用を開始する予定となっている。
大村秀章知事も2025年8月の記者会見で、豊橋市の拠点について2027年度完成予定と説明している。
計画段階ではなく、現在は実際の整備工事が進められている段階だ。
2026年度は17億1420万円 ただし「豊橋だけ」ではない
愛知県の2026年度当初予算では、「ゼロメートル地帯広域防災拠点整備費」として17億1420万円が計上されている。
対象となっているのは、弥富市の防災倉庫・外構工事と、豊橋市の上面部工事など。
そのため、この17億1420万円を「豊橋市の防災拠点整備費」とすることはできない。
県は今回、完成する弥富市の拠点について整備費を約19億円と公表した。
一方、週刊TAKAPIが確認した県の公表資料では、豊橋市の拠点について最終的な総事業費を確認できなかった。
豊橋の拠点に最終的にいくらの費用がかかるのかは、今後確認したいポイントの一つだ。
南海トラフ地震への「最後の1カ所」
弥富市の供用開始によって、愛知県が進める4地域のゼロメートル地帯広域防災活動拠点は残り1カ所となる。
それが豊橋市だ。
東三河には太平洋沿岸の低地が広がり、南海トラフ地震では津波や液状化、河川・海岸堤防の被害など複数のリスクが想定されている。
豊橋の拠点は、広域浸水が発生した際にボートとヘリコプターをつなぐ救出・救助活動の拠点となる。
弥富では約19億円を投じた施設が完成する。
では、より広い約9,200平方メートルの敷地を持つ豊橋の施設は、最終的にいくらかかるのか。
そして、具体的にどの地域から何人を救助することを想定しているのか。
2027年度の供用開始に向け、事業費や具体的な運用計画についても注目される。
週刊TAKAPIでは、豊橋市の防災活動拠点についても引き続き整備状況を確認していく。
担当記者 鈴木
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