名古屋市役所本庁舎のライトアップを撮影していたドローンが9月17日夜、向かい側にある市役所西庁舎へ衝突していたことが分かった。
公開報道によると、操縦者は愛知県から委託を受けて撮影していたスタッフで、この飛行について国への「飛行計画」が通報されていなかったとみられている。警察は航空法違反の疑いも視野に、詳しい状況を調べている。
事故が起きた17日は、アジア・アジアパラ競技大会の開催に合わせた「あいち・なごやアート&ライツ」の初日だった。名古屋市と愛知県などで構成する実行委員会が、名古屋市役所本庁舎と愛知県庁本庁舎をライトアップやデジタルアートで彩る事業で、午後6時30分から午後9時まで実施されている。
注釈
※本稿では一般読者に分かりやすいよう「飛行計画未提出」と一部表記していますが、航空法・国土交通省の制度上の正式な用語は「飛行計画の通報」です。国土交通省のDIPS2.0でも「飛行計画を通報する」「飛行計画の通報」と表現されています。したがって、制度上は「未通報」が正式な表現となります。
本庁舎を撮影中、向かいの西庁舎へ
事故は9月17日夜に発生した。
公開報道によると、ドローンは名古屋市役所本庁舎のライトアップを撮影していた際、向かい側にある市役所西庁舎へ衝突した。
西庁舎は現在も市役所の行政庁舎として使用され、複数の市部局や会議室などが入っている。
一方、9月19日時点の公開情報では、ドローンが西庁舎のどの部分に衝突したのか、建物に損傷が生じたのか、機体がどの程度壊れたのかは明らかになっていない。
使用された機体の種類や重量、衝突時の高度、速度、操縦位置も公表されていない。
「飛行計画」が通報されていなかった可能性
今回の事故で焦点の一つとなっているのが、国への飛行計画の通報だ。
公開報道では、この日のドローン飛行について、必要とされる飛行計画が事前に通報されていなかったとみられている。警察は航空法違反の疑いも視野に捜査している。
国土交通省によると、無人航空機で「特定飛行」を行う場合、飛行日時、経路などを記載した飛行計画を事前に国土交通大臣へ通報する必要がある。飛行計画を通報せず特定飛行を行った場合、航空法に基づき30万円以下の罰金の対象となる。
ただし、現段階では警察の捜査中だ。
今回の飛行について、どの条件に基づき飛行計画の通報義務が生じていたのか、操縦者側がどのような手続きを行っていたのかについて、詳細は公表されていない。
そのため本稿では、航空法違反が成立したとは扱わない。
「飛行計画」と「飛行許可・承認」は別
もう一つ整理が必要なのが、飛行計画の通報と、ドローンを飛行させるための許可・承認は同じ手続きではないという点だ。
国土交通省は、特定飛行を行う場合、必要な飛行の許可・承認を受けた後、DIPS2.0を通じて飛行計画を通報する仕組みを示している。
今回報じられているのは「飛行計画が出されていなかったとみられる」という点だ。
9月19日時点の公開情報では、
- 必要な飛行許可・承認を取得していたのか
- 飛行計画だけが未通報だったのか
- 飛行日誌を適切に作成していたのか
- 事故後に国土交通省への報告を行ったのか
といった手続きの全体像は明らかになっていない。
イベントは17日スタート 事故は初日の夜
名古屋市の公式発表によると、「あいち・なごやアート&ライツ」は9月17日から10月24日まで開催される。
名古屋市、愛知県などで構成する「あいち・なごや 都心アート&ライト実行委員会」が実施し、アジア競技大会・アジアパラ競技大会の開催に合わせ、名古屋市役所本庁舎と愛知県庁本庁舎でデジタルアート投影とライトアップを行う。
つまり事故は、ライトアップ事業が始まったその日の夜に発生したことになる。
一方、今回ドローンで撮影していた映像が、このイベントの公式記録映像、広報映像、報道素材などのうち、具体的に何を目的としていたのかまでは公表されていない。
「県委託」と「実行委員会」 実施関係は整理が必要
公開報道では、ドローンの操縦者について「愛知県からの委託で撮影していた」とされている。
一方、ライトアップ事業そのものについて名古屋市は、愛知県や名古屋市などで構成する「あいち・なごや 都心アート&ライト実行委員会」が実施主体だと公表している。
このため、
- 愛知県が直接撮影業務を委託したのか
- 実行委員会が契約主体だったのか
- 委託先事業者はどこか
- ドローン操縦者は委託先の社員なのか、再委託先なのか
といった契約・実施関係については、今後の確認が必要になる。
9月19日時点で、委託事業者名や操縦者の所属は公表されていない。
なぜ西庁舎に衝突したのか 原因は未公表
事故原因についても、現段階で断定できる材料はない。
操縦ミス、機体の不具合、通信状況、風など周辺環境の影響といった可能性は考えられるが、いずれも公表された事実ではない。
本庁舎を撮影していたドローンが、なぜ向かい側の西庁舎へ衝突することになったのか。
飛行経路、高度、操縦地点、機体の状態などが明らかにならない限り、具体的な原因を判断することはできない。
警察が航空法上の手続きとともに、衝突に至った経緯を調べている。
編集部まとめ
名古屋市役所本庁舎のライトアップを撮影していたドローンが、事業初日の9月17日夜、西庁舎へ衝突した。
公開報道では愛知県からの委託による撮影中だったとされ、必要な飛行計画が通報されていなかった可能性が浮上している。
一方、飛行許可・承認の有無、委託先、建物被害、機体や飛行経路、衝突原因などは9月19日時点で明らかになっていない。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本稿は2026年9月19日時点の公開報道と、国土交通省、名古屋市の公式資料を照合して構成しています。
公開報道では、操縦者は「愛知県からの委託」で撮影していたとされています。一方、ライトアップ事業について名古屋市は、愛知県・名古屋市などで構成する「あいち・なごや 都心アート&ライト実行委員会」が実施すると公表しています。
「飛行計画が出されていなかった」については、未通報だったとみられるとの報道段階です。国土交通省は特定飛行について事前の飛行計画通報を義務付けていますが、本件について航空法違反が確定したものではありません。
委託先事業者名、操縦者の氏名・所属、機体、飛行経路、高度、建物や機体の損傷状況については、確認できた公開情報では明らかになっていません。

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