市議会で可決、そして同日契約 一次資料から追う「2024年9月27日」
230億6,999万9,700円。
豊橋市が進める多目的屋内施設、いわゆる「新アリーナ」と豊橋公園東側エリアの整備・運営事業を巡り、2024年9月27日に締結された特定事業契約の金額だ。
この「9月27日」という日付には、もう一つ重要な意味がある。
同日の豊橋市議会では、事業者との契約締結そのものが可決された一方で、「市長選前には契約締結を行わないこと」を求める請願が不採択となっていた。
そして議決後、市はその日のうちに事業者と正式契約を結んだ。
新アリーナを巡って、その後も住民投票や契約、事業継続を巡る議論が続くことになる豊橋市。
その原点の一つとなった「2024年9月27日」に、何が決められたのか。
週刊TAKAPIが豊橋市と市議会の公表資料をたどった。
「契約していいか」と「市長選まで待つべきか」
週刊TAKAPIの調べによると、2024年9月定例会に提出された議案第98号は、
「特定事業の契約締結について(多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業)」
だった。
9月27日の本会議で原案可決された。
これだけなら、大型公共事業について議会の議決を経て契約するという一つの行政手続きとして見える。
だが、同じ議決結果一覧には別の案件が記録されている。
請願第4号。
名称は、
「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業に係る事業者との特定事業契約締結を市長選前には行わないことを求める請願」
だった。
こちらも同じ9月27日に採決され、結果は不採択。
つまり、この日の議会では、
「事業者と契約を締結する」議案は可決。
その一方、
「市長選前には契約を締結しないでほしい」という請願は不採択。
二つの判断が同じ日に示されていた。
そして、その日のうちに「230億円契約」
議決後の動きは早かった。
豊橋市は同日、「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業の特定事業契約を締結しました」と発表した。
契約相手は豊橋ネクストパーク株式会社。
契約額は、
23,069,999,700円。
約230億7,000万円に上る。
対象となるのは新アリーナだけではない。
メインアリーナ、サブアリーナ、武道場、弓道・アーチェリー場のほか、多目的広場、こども広場、芝生広場、テニスコート、相撲場、園路、駐車場・駐輪場など、豊橋公園東側エリアを広く対象とする事業だった。
さらに建設して終わりではない。
施設完成後の維持管理・運営まで含む長期契約だ。
議決の約1カ月半前には「仮契約」
市の発表資料をさらに遡る。
入札公告は2023年10月27日。
2024年5月28日に落札候補者を決定し、6月28日に基本協定を締結した。
そして8月16日。
市は事業者と仮契約を締結している。
その後、9月27日に市議会が契約締結を可決し、本契約へ移った。
時系列にするとこうなる。
2023年10月27日 入札公告
2024年5月28日 落札候補者決定
6月28日 基本協定締結
8月16日 仮契約締結
9月27日 市議会・第98号可決
同日 市長選前の契約締結を行わないことを求める請願、不採択
同日 230億6,999万9,700円で本契約締結
ここで注意しておきたい。
議会の議決を条件として事前に仮契約を結ぶ手続きについて、本稿はその適法性を問題視するものではない。
検証すべきなのは別の点だ。
市長選前の契約締結そのものが議会で争点になっていた時期に、豊橋市と市議会がどのような判断を積み重ねたのか。
公表資料から、その意思決定過程を確認することだ。
契約は2037年まで続く計画だった
2024年9月時点の契約では、多目的屋内施設と駐車場の設計・建設期間は2027年7月31日まで。
多目的屋内施設の維持管理・運営については、2027年10月1日から2037年9月30日までとされた。
公園施設についても、整備後の維持管理・運営が契約に含まれている。
2024年9月27日の議決は、単に「アリーナを建てるかどうか」だけを決めたものではない。
その後長期間にわたる施設の整備・維持管理・運営につながる契約だった。
当時、誰が賛成し、誰が反対したのか
ここから先が、週刊TAKAPIが追うべき部分だ。
2024年9月定例会の議決結果一覧からは、第98号が原案可決され、請願第4号が不採択となったことまでは確認できる。
しかし、この一覧だけでは各議員がどちらに投票したのかは分からない。
第98号と請願第4号はいずれも総務委員会に付託されている。
週刊TAKAPIでは、市議会だより、総務委員会の記録、本会議会議録などを照合し、当時の会派・議員がどのような判断を示していたのかを引き続き確認する。
重要なのは、その後だ。
2年後、市議会に再び「契約変更」
2026年9月。
豊橋市議会には第99号議案が提出された。
その名称には、
「令和6年第98号議決 特定事業の契約締結について(多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業)」
と明記されている。
つまり、2024年9月27日に議会が可決した、あの契約に関する変更だ。
第99号も可決された。
しかも2026年9月の市議会資料では、賛否が分かれた議案について議員ごとの投票行動が公開されている。
ここで一つの検証テーマが浮かび上がる。
2024年に230億円を超える契約が結ばれたとき、市議会はどう判断したのか。
その後の住民投票を巡る動きや事業を巡る議論を経て、2026年の契約変更では各議員はどう判断したのか。
そして、
この2年間で、議員・会派の判断に変化はあったのか。
「230億円の一日」で終わらせない
新アリーナを巡っては、賛成、反対、それぞれの立場からさまざまな主張が続いてきた。
だからこそ必要なのは、どちらかの立場から結論を決めることではない。
契約書、議案、請願、議事録、採決結果。
残された記録を時系列で並べることだ。
2024年9月27日。
市議会は契約締結を可決した。
市長選前の契約締結を行わないよう求めた請願は不採択となった。
そして、その日のうちに230億6,999万9,700円の契約が正式に結ばれた。
あれから2年。
週刊TAKAPIは、2024年の当初契約から2026年の契約変更まで、市議会議員の投票行動を含めて検証を続ける。
このニュースのポイント
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