長崎市内の生活介護施設で、障害のある利用者への虐待が発覚してから約1年半となる。
長崎市の特別監査では、複数の職員が複数の利用者に対し、平手打ちや床への押さえつけ、侮辱的な発言などを繰り返していたとされ、市が約1カ月分の映像を確認した結果、虐待や不適切行為は約200件に上った。
市は、問題を報告しにくい職場環境や防犯カメラ映像の確認不足などを挙げ、「虐待が疑われる事案が日常化していた可能性がある」と分析している。
一方、被害を受けた利用者の家族からは、施設側から詳しい説明を受けていないとの訴えも出ている。
「カメラ、カメラ」 死角のトイレへ利用者を連れて行く場面も
市の特別監査報告書によると、2025年3月7日、利用者に暴行していた職員に対し、別の職員が「カメラ、カメラ」と声をかける場面が確認された。
同じ日には、職員が利用者を防犯カメラの死角となるトイレへ引っ張っていき、その後、悲鳴のような声が聞こえたという。
市はこの日について「特に虐待が激しかった」と判断した。
また、虐待行為の近くに複数の職員がいながら、制止しなかった場面も確認されたとしている。
約1カ月の映像から約200件
市が確認した映像には、利用者への平手打ち、床への押さえつけ、髪をつかんで引き倒す行為、排せつの失敗を嘲笑する言動、侮辱的な発言、荷物を投げつける行為などが記録されていた。
虐待や不適切行為として確認されたのは約200件。
この数字は、市が確認した約1カ月分の映像の中で把握した件数で、施設で発生した全期間の総数を示すものではない。
市「虐待が疑われる事案が日常化」
市は、施設内で虐待や不適切行為が繰り返された背景について、管理体制にも問題があったと分析している。
特別監査では、サービス管理責任者が短期間で交代していたこと、一部の長期在職職員の言動が強くなっていたこと、問題を報告することをためらう職員がいたこと、防犯カメラ映像を定期的に確認していなかったことなどが指摘された。
こうした状況から、市は「虐待が疑われる事案が日常化していた可能性がある」としている。
元職員からは、一部職員によるパワーハラスメントのような言動で経験のある職員が相次いで辞めたとする証言も出ている。
発覚後、施設長や関与したとされる職員の多くが辞職したという。
過去10年で虐待を巡る監査・調査3回
この施設では、過去10年間に虐待を巡る監査や調査が3回行われていたとされる。
今回の特別監査では、複数の職員による複数の利用者への行為が確認された。
過去の監査・調査の具体的な内容や、その後の改善状況については、今回確認できた情報では詳しく明らかになっていない。
家族「詳しい説明がない」 施設側は取材に応じず
被害を受けた利用者の家族からは、施設側の説明が十分ではないとの声が出ている。
施設を利用していた娘が「心的トラウマ反応」と診断されたという保護者は、退所後に激しい行動が和らいだと説明している。
また、市が確認した映像が約1カ月分に限られていることについても、調査が十分ではないと訴えている。
施設側は取材に対し、「何も話すことはない」としている。
編集部まとめ
長崎市の特別監査では、市内の生活介護施設で約200件の虐待・不適切行為が確認された。
市は、施設内で「虐待が疑われる事案が日常化していた可能性がある」と分析している。
発覚から約1年半がたつ一方、被害を受けた利用者の家族は詳しい説明がないと訴え、施設側は取材に「何も話すことはない」としている。
週刊TAKAPI 編集部
特記事項
この記事は2026年9月24日までに確認された長崎市の特別監査内容と公開報道をもとに構成しています。
約200件は、市が約1カ月分の映像から確認した虐待・不適切行為の件数で、施設で発生した全期間の総数ではありません。
施設名、関係職員、利用者や家族を特定できる情報は掲載していません。

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