静岡市教育委員会は2026年9月25日、市立中学校に勤務していた23歳の男性臨時的任用教諭を懲戒免職とした。
処分理由は、10代女性に対するわいせつ行為。静岡市の公表資料では「児童生徒性暴力等」とされている。
この男性教諭をめぐっては、8月3日に不同意わいせつ容疑で逮捕されたことが報じられ、その後、別件で不同意性交等容疑による逮捕も報じられている。
では、今回の懲戒免職はどの事件を対象に、市教委は何を根拠として事実認定したのか。
週刊TAKAPI編集部は9月28日、静岡市教育委員会教職員課に電話取材した。
取材から、今回の懲戒免職については、8月3日の1回目の逮捕事案について市教委が本人から直接聞き取りを行い、本人が行為を認めたことを受けて事実認定したことが分かった。
また事件を受け、市内の学校で研修を改めて実施しているほか、非常勤職員や事務職員などにも研修対象を広げ、臨時的任用教員の研修体制や採用時の確認方法についても見直しを進めている。
この記事の要点
- 23歳の男性臨時的任用教諭を9月25日付で懲戒免職。 市教委は8月3日の1回目の逮捕事案について本人に聞き取りを行い、行為を認めたため事実認定したと説明した。
- 勤務校では生徒への一斉の聞き取り調査ではなく、スクールカウンセラーなどを派遣して生徒の心理的ケアを実施。校長も管理監督上の責任から文書訓告となった。
- 市教委は全校で研修を改めて実施し、非常勤・事務職員などにも対象を拡大。さらに臨時的任用教員の研修強化や採用時の確認方法を検討している。
静岡市立中の23歳男性臨時教諭を懲戒免職 何があった?
静岡市教育委員会が9月25日に公表した資料によると、処分を受けたのは市立中学校に勤務していた23歳の男性臨時的任用教諭。
処分は免職で、処分理由は「児童生徒性暴力等」とされている。
市教委の公表資料によると、男性教諭は2026年6月、静岡県中部地区に住む10代女性に対し、静岡市内でわいせつな行為をした。
その後、市教委が男性教諭に聴取を実施。
男性教諭が行為を認めたことから、市教委は地方公務員法に基づいて懲戒免職処分とした。
懲戒免職は8月3日の「1回目の逮捕事案」が対象 市教委が週刊TAKAPIに回答
男性教諭については複数の逮捕が報じられている。
そこで週刊TAKAPIは、市教委が今回、どの事件を懲戒処分の対象として事実認定したのかを確認した。
市教委教職員課の担当者によると、8月3日の1回目の逮捕時に問題となった内容について、本人から聞き取りを実施したという。
担当者は、本人がその内容を認めたため、市教委として事実認定し、処分を決定したと説明した。
つまり今回の懲戒免職は、単に「逮捕された」という事実のみを理由にしたものではない。
市教委自身が本人への聴取を行い、その結果を踏まえて懲戒処分上の事実認定を行ったということになる。
23歳男性教諭は不同意わいせつについて「認めた」
週刊TAKAPIは、市教委による聞き取りに対して男性教諭がどのように説明したのかも尋ねた。
担当者によると、1回目の逮捕に関係する不同意わいせつについて、本人は行為を認めたという。
一方、その後報じられた別件については、警察による捜査が続いているとして、市教委は具体的な回答を控えた。
このため、今回の取材で市教委が懲戒処分の根拠として明確に説明したのは、6月に発生し、8月3日の逮捕につながった事案となる。
なお、刑事事件は捜査・司法手続きによって判断されるもので、市教委による懲戒上の事実認定とは別の手続きとなる。
市教委はどうやって事実認定した?「私たちの聞き取りの結果」
今回の処分で一つのポイントになるのが、市教委が何を根拠に事実認定したのかだ。
週刊TAKAPIは、警察から提供された捜査情報を判断材料にしたのか、市教委独自の調査によって認定したのかを尋ねた。
市教委担当者は、今回の懲戒免職について、市教委による本人への聞き取り結果から判断したと説明した。
警察から特別な捜査情報の提供を受けて事実認定したとの説明ではなく、逮捕について報道された情報などを把握した上で、市教委として本人に事情を聴いたとしている。
市教委の公表資料にも、教育委員会が実施した聴取で本人が行為を認めたことが記載されている。
被害女性は勤務校の生徒?市教委が関係を明らかにしない理由
被害女性と男性教諭の関係については明らかになっていない。
週刊TAKAPIは、
「勤務校の生徒なのか」
「元生徒なのか」
「学校とは直接関係のない女性なのか」
という点について確認した。
しかし、市教委は被害者の特定につながる可能性があるとして回答しなかった。
担当者は、被害者が「どういう方なのか」といった情報を公表することで、本人の特定につながることを避ける必要があるとの趣旨を説明した。
したがって、現時点で確認できていない被害女性と男性教諭との関係を推測することはできない。
勤務校のほかの生徒への調査は?一斉聞き取りは実施せず
事件を受けて、勤務校でほかの生徒への不適切な行為がなかったかどうかも重要な確認点となる。
市教委によると、生徒を対象にした一斉の聞き取り調査などは実施していないという。
背景には、生徒への心理的な影響への配慮がある。
男性教諭の逮捕が報じられ、本人が学校に来なくなったことで、勤務校の生徒にとって大きなショックとなる可能性があった。
そこで、市教委の児童生徒支援を担当する部署から、スクールカウンセラーなどの専門スタッフを勤務校へ派遣。
生徒から事件について一斉に事情を聞くのではなく、心理的なケアを行う対応を取ったという。
臨時的任用教諭とは?男性は通常の教員と同じように勤務
処分された男性は「臨時的任用教諭」だった。
正規採用の教員とは任用形態が異なるものの、市教委によると、学校では通常の教員と同様に朝から夕方まで勤務し、教育活動を担っていた。
担当者は、学校によって勤務時間などに違いはあるとした上で、一般的な学校教員と同様の仕事をしていたとの趣旨で説明した。
今回の取材では、具体的な担当教科、担任の有無、部活動顧問などについてまでは確認できていない。
勤務校の校長も文書訓告 市教委が「管理監督不適正」と判断
処分を受けたのは男性教諭だけではない。
勤務校の校長についても、9月25日付で文書訓告となった。
静岡市の公表資料では、校長について「指導監督不適正」としている。
市教委は、当該教諭によるわいせつ行為などを踏まえ、教職員の不祥事に対する認識の甘さを改善する指導を行えなかったとして、管理監督上の責任があったと判断した。
静岡市教委の再発防止策は?全学校で研修を改めて実施
事件後、市教委は再発防止策にも着手している。
担当者によると、まず市内の学校で、教職員が不祥事を「自分ごと」として捉えるための研修を改めて実施している。
一方的に説明を聞くだけではなく、学校内で教員同士が話し合うなど、自らの問題として考えられる研修を重視しているという。
コンプライアンスに関する研修については、性暴力だけを対象としたものではないものの、学校現場でおおむね月1回程度実施しているとしている。
非常勤や事務職員にも性被害防止研修 受講を市教委へ報告
研修対象も広げている。
市教委によると、普段から勤務する教員だけではなく、非常勤職員や事務職員など、児童生徒と関わる可能性のある職員も対象とした。
文部科学省の性被害防止に関する研修資料などを活用して受講させ、受講後にはフォームを通じて市教委側へ報告させる仕組みを取っているという。
学校で児童生徒と接する可能性のある職員まで対象を広げ、研修の実施状況を確認する対応だ。
臨時的任用教員の研修を強化へ「正規教員より甘いのではとの声」
今回の取材で、市教委が課題として認識していることも分かった。
それが、臨時的任用教員に対する研修体制だ。
市教委には、正規採用の教員と比較して、臨時的任用教員への研修体制が十分ではないのではないかという声も寄せられているという。
担当者は、年度途中ですぐに制度を大きく変更することは難しいとしながらも、倫理観を高める研修などについて、
「臨時的任用教員だからこそ」
より力を入れられるよう、現在、体制整備を進めていると説明した。
教員採用時の確認方法も検討 市教委「研究中」
さらに市教委は、採用時の確認方法についても検討を始めている。
担当者によると、児童生徒への不適切な行為につながるリスクを採用段階でどのように確認できるのかについて、現在研究しているという。
ただし、具体的な制度や導入時期が決まっているわけではない。
採用段階で人物の内面的な特性などをどのような客観的基準で確認できるのかという課題もあり、市教委が今後どのような制度として具体化するのかが焦点となる。
保護者説明会を開催 夏休み明けには生徒にも説明
勤務校では、事件について保護者への説明会も開いた。
逮捕が夏休み中だったことから、夏休み明けには校長から生徒に対しても説明したという。
同時にスクールカウンセラーなどを派遣し、生徒の心理的なケアを行った。
教員本人への処分だけでなく、事件によって影響を受けた勤務校の生徒や保護者への対応も進められた形だ。
静岡市教員不祥事、今後問われるのは「研修をした後」
今回の週刊TAKAPIの取材では、静岡市教育委員会が本人への直接の聞き取りを通じて事実認定し、懲戒免職を決定した経緯が確認できた。
同時に、市教委が全校での研修、非常勤・事務職員を含む研修、臨時的任用教員への研修強化、採用時の確認方法の研究などを進めていることも分かった。
ただ、臨時的任用教員の研修体制や採用時の新たな仕組みについては、現段階では整備・検討中だ。
再発防止を考える上では「研修を実施した」という事実だけではなく、何が従来から変更され、その対策が継続されているのかを検証していく必要がある。
週刊TAKAPIでは今後、市教委が検討している対策が具体的にどのような制度として導入されるのかについても確認していく。
※被害者保護のため、被害女性と男性教諭との関係など、市教委が非公表としている情報について推測による補完は行っていません。また、刑事事件については捜査・司法手続きと市教委による懲戒上の事実認定を区別して記載しています。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
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