江戸時代末期から続いた名古屋の老舗和菓子メーカーが、その歴史に幕を下ろした。
名古屋市の和菓子メーカー「松河屋」は2024年8月に事業を停止し、同年11月7日に名古屋地裁から破産手続き開始決定を受けた。
創業は1862年(文久2年)。
162年にわたって続いてきた老舗企業だった。
「松河屋老舗」ブランドを全国で展開
松河屋は「松河屋老舗」のブランドで和菓子を製造・販売していた。
東海、北陸などを中心に、スーパーや百貨店、空港など幅広い販路を持っていた。
1994年5月期には約20億400万円の売上高を計上。
しかし、その後は消費者ニーズの多様化などを背景に洋菓子を扱う事業者との競争も激しくなり、売り上げが減少した。
2023年5月期の売上高は約6億円。
ピーク時と比較すると、およそ7割減少したことになる。
事業立て直しも運転資金の確保が困難に
売り上げの減少が続く中、同社は事業の立て直しを進めていた。
しかし最終的には運転資金の確保も難しくなり、2024年8月に事業を停止。
同年11月に破産手続き開始決定を受けた。
100年以上続いたブランドであっても、消費者ニーズや市場環境の変化に対応しながら事業を維持する難しさが浮き彫りになった。
和菓子離れだけでは説明できない「老舗」の苦境
松河屋の事例を単純に「和菓子離れ」と結論づけるのは慎重であるべきだ。
企業の経営悪化には、競争環境、原材料価格、人件費、販売網、資金繰りなど複数の要因が影響する。
ただ、消費者の嗜好が多様化する中、長年親しまれてきた商品やブランドであっても、それだけで売上高を維持することが難しくなっていることは読み取れる。
全国では2026年に入り、100年以上続く老舗企業の倒産がさらに増加している。
帝国データバンクによると、2026年1~8月の老舗企業倒産は112件に達し、過去最多を更新するペースとなっている。
【編集部考察】老舗ブランドを「知っている」と「買う」は違う
老舗企業には大きなブランド資産がある。
何十年、何百年と続く企業名を知っている人は多く、その信用は新しい企業が短期間で獲得できるものではない。
しかし、ブランドを「知っている」ことと、実際に商品を「買う」ことは別だ。
消費者の世代交代が進めば、若い世代にも選ばれる商品づくりや販売方法が必要になる。
百貨店やスーパーだけではなく、ECやSNS、観光需要、ギフト市場など、販売チャネルそのものも大きく変化している。
松河屋の破産は一企業の事例ではあるものの、愛知県内に数多く存在する老舗企業にとっても、「次の100年」をどうつくるのかという課題を考える材料になりそうだ。
歴史を守るためには、商品や売り方を変える決断が必要になる場合もある。
老舗企業の価値を次世代につなぐために、「伝統」と「経営改革」をどう両立させるかが問われている。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
週刊TAKAPI編集部:黒木
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