広島県呉市で2022年6月、市立中学校1年の生徒がJR呉駅で列車にはねられて死亡した問題で、呉市教育委員会が設置した第三者調査委員会が、児童生徒による2件のいじめを認定した。
調査委員会は、いじめと生徒の自死との関係性も認められると判断した。報告書では、生徒が亡くなる約2週間前に泣きながら相談していたにもかかわらず、学校側が保護者に伝えず、専門家による支援にもつなげていなかったことが指摘された。
調査報告書は2025年4月に完成していたが、公表は約1年半後の2026年10月16日となった。遺族は調査の進め方や再発防止策に疑問を示している。
小学6年時と中学入学後 2件を「いじめ」と認定
調査委員会がいじめと認定したのは、生徒が小学6年生のころと、中学校に入学してから受けた行為の2件。
小学校では、複数の児童がいる前で、別の児童から人格を傷つける差別的な言葉を大声で言われていた。
中学校入学後も、別の生徒からLINE上で悪口を言われたほか、校内ですれ違う際ににらまれたり、指をさされて笑われたりする行為を受けていた。
調査委員会は、こうした行為がいじめ防止対策推進法で定めるいじめに該当すると判断した。
さらに、いじめと生徒の自死についても「関係性が認められる」とする判断が示された。ただし、これは個々の行為を死亡の唯一の原因と断定するものではない。
死亡約2週間前に泣いて相談 学校は保護者に知らせず
報告書では、生徒が死亡する約2週間前、担任教諭に泣きながら悩みを相談していたことも明らかになった。
しかし、学校側は相談内容を保護者に伝えず、専門家による支援にもつなげていなかった。
調査委員会は、こうした学校の対応を改善すべき点として指摘。いじめを行った児童生徒への計画的な個別支援も十分ではなかったとした。
生徒から直接相談を受けた後、学校内でどのように情報を共有し、保護者や専門家と連携して支援するか。その対応に問題があったことが、今回の調査で示された。
報告書完成から公表まで約1年半 遺族は調査に疑問
調査報告書が完成したのは2025年4月。呉市教育委員会はその後、遺族への説明と再発防止策の検討を進め、2026年10月16日に調査結果を公表した。
報告書の完成から公表まで、約1年半を要したことになる。
一方、遺族は調査委員会による保護者への面談が1度しかなかったことなどから、調査は不十分だとする考えを示している。
再発防止策についても納得できない部分があるとして、呉市長に所見を提出した。
いじめが認定された一方で、調査の十分性や市の対応を巡っては、遺族との認識の隔たりが残っている。
呉市教委が再発防止策 教育長「重く受け止めている」
呉市教育委員会は、報告書を踏まえて教職員を対象とした校内研修などを進め、いじめへの組織的な対応や早期発見の徹底に取り組む方針を示した。
多田博教育長は10月16日の記者会見で、いじめが認定され、生徒が亡くなったことについて、教育委員会として重く受け止めているとの認識を示した。
再発防止策をどのように学校現場へ定着させるのかに加え、遺族から指摘された調査上の問題に市がどう対応するかも、今後の確認事項となる。
編集部まとめ
呉市の第三者調査委員会は、2022年6月に死亡した中学1年生に対する2件のいじめを認定し、自死との関係性も認められると判断した。
調査では学校の相談対応に問題があったことが指摘され、遺族も調査の十分性や再発防止策に疑問を示している。市教委には、調査結果を踏まえた具体的な対応が求められる。
週刊TAKAPI 編集部
特記事項
本記事は、2026年10月16日に公表された呉市の第三者調査委員会による調査結果と、呉市教育委員会の再発防止策、同日までの公開情報を基に構成した。
いじめの認定と自死との関係性に関する判断を区別し、学校側の相談対応、報告書の公表経緯、遺族の意向を整理した。
亡くなった生徒の氏名、性別、学校名など、個人の特定につながる情報は掲載していない。
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