【愛知・田原】総事業費53億円規模、三河港の耐震岸壁が完成 2万トン級船舶に対応、南海トラフ地震の物資輸送拠点に

愛知県田原市の三河港田原ふ頭で完成した水深10メートルの耐震強化岸壁。岸壁と海面、背後の港湾施設を写した完成写真

愛知県は10月20日、田原市緑が浜の三河港田原ふ頭で整備を進めていた耐震強化岸壁の工事が完成したと発表した。県の事業資料では総事業費は53億円。岸壁の水深を従来の5.5メートルから10メートルに深くし、大型船舶の受け入れと災害時の海上輸送機能を強化した。

三河港振興会によると、整備後は2万トン級の船舶が接岸できる計画。国の国土強靱化対策を活用し、当初2028年度までを予定していた整備を2026年度に前倒しした。

愛知県と田原市は11月7日、供用記念式典を開催する。

水深10メートル、岸壁170メートルを整備 大型船舶の受け入れに対応

完成したのは、三河港田原地区の田原2号岸壁。2023年度から整備が進められ、今回の対象区間は延長170メートルに及ぶ。

従来の水深5.5メートルを10メートルまで深くするとともに、船舶が停泊するための水域に当たる泊地も、水深10メートルで約13ヘクタール整備した。

耐震化では、既存岸壁の前面に鋼管矢板を打ち込み、地震に対する強度を高めている。

三河港振興会は、今回の整備によって2万トン級船舶の接岸が可能になるとしており、従来より大型の船舶を利用した貨物輸送に対応する。

県は、大型船舶の受け入れによる物流の効率化と輸送能力の向上を整備目的に挙げている。

総事業費53億円 当初2028年度の完成予定を2年前倒し

愛知県が公表した国土強靱化関連の事業資料によると、三河港田原地区の耐震強化岸壁と泊地の整備に係る総事業費は53億円。このうち7億8000万円が、国の5か年加速化対策に係る事業費として示されている。

事業は2023年度に始まり、当初計画では2028年度の完成を見込んでいた。

その後、国土強靱化の5か年加速化対策を活用し、整備工程を短縮。2026年度の完成予定へ前倒しされ、今回、岸壁整備工事が完了した。

なお、53億円は県の事業資料に記載された総事業費であり、工事完了後の最終精算額として公表されたものではない。

トヨタ田原工場など集積 東三河の物流基盤を強化

三河港田原地区は、自動車関連産業や鉄鋼業、再生可能エネルギー関連産業が集積する地域だ。

周辺にはトヨタ自動車田原工場や東京製鐵田原工場が立地し、バイオマス発電所や風力発電関連の事業所も集まっている。

田原ふ頭は主に国内貨物を取り扱う公共ふ頭として利用されてきた。今回の水深10メートル岸壁の完成により、これまでより大型の船舶を受け入れるための施設が整った。

県は、港湾の輸送能力を高めることで、地域産業を支える物流機能の強化を図る。

南海トラフ地震に備え、約21万人の背後圏を想定

今回の整備では、大規模地震が発生した際の緊急物資輸送拠点としての機能も重視されている。

愛知県の国土強靱化関連資料では、田原地区の背後圏人口を約21万1000人とし、災害時の緊急物資輸送と港湾物流の早期回復を整備の目的に掲げている。

南海トラフ巨大地震などで道路が被災した場合、陸上輸送に加えて海上から物資を運び込む手段の確保が必要となる。

耐震強化岸壁は、大規模な地震が発生しても船舶による輸送機能を確保できるよう、通常の岸壁より耐震性能を高めた港湾施設だ。

三河港では、豊橋市の神野地区や蒲郡地区にも耐震強化岸壁が整備されている。田原地区の今回の工事完成により、三河港の災害対応施設がさらに充実した。

11月7日に供用記念式典 完成した岸壁を公開

愛知県と田原市は11月7日、田原ふ頭の耐震強化岸壁完成を記念する式典を開催する。

記念式典は午前10時から10時40分まで田原文化会館で行い、午前11時から正午までは、田原市緑が浜一号の田原2号岸壁で完成式を予定している。

式典には愛知県の川原副知事、田原市長、国土交通省や県議会、市議会などの関係者が出席する予定。

現地では入港船の紹介、テープカット、記念演奏などが行われる。

県は、大型船舶の受け入れによる平常時の物流機能と、災害時の緊急物資輸送機能の両面で、新たな岸壁を活用する方針だ。

編集部まとめ

三河港田原ふ頭の耐震強化岸壁が完成した。県の事業資料では総事業費53億円。国土強靱化対策を活用し、当初2028年度を予定していた整備を2年前倒しした。

水深10メートル、全長170メートルの岸壁は、2万トン級船舶への対応に加え、南海トラフ巨大地震などの災害時には緊急物資の海上輸送拠点となる。

今後は、実際の供用開始日や大型船舶の利用計画、災害時の具体的な運用体制が確認すべき事項となる。

週刊TAKAPI 編集部/一条

Q三河港田原ふ頭では何が完成しましたか?
A水深10メートル、整備区間170メートルの耐震強化岸壁です。あわせて約13ヘクタールの泊地も整備されました。
Q総事業費はいくらですか?
A愛知県の事業資料では53億円とされています。このうち7億8000万円が国の5か年加速化対策に係る事業費です。
Qどのくらいの大きさの船舶が接岸できますか?
A三河港振興会の整備計画では、2万トン級の船舶が接岸可能になるとされています。
Q南海トラフ地震への対策になりますか?
Aはい。大規模地震の発生時に緊急物資を海上輸送するための拠点として、耐震性能を強化しています。
Q供用記念式典はいつ開催されますか?
A2026年11月7日です。田原文化会館で記念式典を行った後、田原2号岸壁で完成式が予定されています。

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