プルデンシャル生命が金融庁から111日間の業務停止命令を受け、保険募集と契約締結を停止している。営業社員らに【独自検証・愛知】プルデンシャル生命、名古屋に12支社集中 販売自粛中に2支社新設、豊橋・東三河の契約者管理はどうなる
金融庁から111日間の業務停止命令を受けたプルデンシャル生命。営業社員らによる金銭不祥事を受けて、同社は営業組織の見直しを進めている。その過程で、愛知県内の拠点配置にも注目すべき動きがあった。
週刊TAKAPIが公式資料を照合したところ、愛知県内の12支社はすべて名古屋市に集中し、豊橋市を含む東三河8市町村には支社が置かれていないことが分かった。さらに、新規契約の販売活動を自粛していた今年4月には、名古屋で2支社が新設されている。
金融庁は今回の行政処分で、本社が営業現場を十分に監督できず、支社に管理を委ねてきた企業風土を厳しく指摘した。名古屋の営業組織が東三河の契約者をどのように管理しているのか。会社の組織改革と契約者向けの説明を調べた。
名古屋駅前の1棟に9支社、東三河には拠点なし
名古屋駅前のJPタワー名古屋には、プルデンシャル生命の9支社が入居している。名古屋中央、東、西、第二、第三、第五、第六、第七、第八の各支社で、30階と31階に集まっている。
残る3支社は名古屋市中区にあり、名古屋南と北が富士フイルム名古屋ビル、名古屋第四がKDX名古屋栄ビルに入る。愛知県内の12支社が、名古屋市内の3棟に集まる配置だ。
これに対し、豊橋、豊川、蒲郡、田原、新城の5市と、設楽、東栄、豊根の3町村には、公式一覧に掲載された支社がない。隣接する静岡県浜松市には2支社がある。
ただ、営業社員の所属先と顧客の居住地が一致するとは限らない。金融庁の資料によれば、同社の営業社員は活動時間や場所について基本的に自由な勤務形態を取っている。
東三河の顧客を名古屋や浜松の営業社員が担当している可能性はあるものの、実際の担当支社や契約件数は、確認した公表資料には示されていない。
販売自粛が続く4月、名古屋に2支社を新設
今年2月9日、プルデンシャル生命は新規契約の販売活動を90日間自粛した。金銭不祥事の再発を防ぐため、営業制度や経営管理の抜本的な見直しに着手した時期だった。
そのさなかの3月24日、会社は4月1日付の機構改革を発表した。新設されたのは全国5支社で、そのうち2支社が名古屋南と名古屋西だった。
販売自粛は新規契約の販売活動を対象とした措置であり、支社の新設自体が禁止されていたわけではない。この機構改革では、支社の活動を監督する支社モニタリングチームなども新設されている。
一方、名古屋の2支社について、具体的にどのような管理上の課題を解決するために設けたのか、営業社員の配置や管理職の監督範囲がどう変わったのかは、今回確認した公表資料からは明らかになっていない。
会社は4月22日、販売自粛をさらに180日間延長すると発表した。
その説明の中で、従来の支社体制について、営業社員の管理・監督を営業管理職の裁量に委ねる部分が大きかったことを認めている。営業現場の管理水準にばらつきがあり、管理職の役割も営業推進に偏っていたという。
名古屋で新たに設けられた2支社が、こうした問題への対応としてどのような役割を果たすのか。支社の新設と監督体制の改善は、分けて検証する必要がある。
金融庁が指摘した「支社任せ」の企業風土
10月9日、金融庁はプルデンシャル生命に業務停止命令と業務改善命令を出した。
行政処分では、同社が採用してきた営業モデルについて、各支社の自主独立性が強まる一方、本社による監督が十分に働かなかったと認定している。
本来、営業社員を管理・指導する立場にある管理職自身が金銭不祥事に関与する事案も発生していた。
また、今年2月に始まった販売自粛期間中にも、営業管理職の承認を受けないまま営業社員が顧客と接触していたことが明らかになった。
これらは同社全体に対する金融庁の指摘であり、名古屋の特定支社で同じ行為が確認されたことを意味しない。
ただ、営業社員が所属支社から離れた地域で顧客を担当する場合、その活動を管理職がどう把握するかという問題は残る。
東三河に支社を持たない同社にとって、顧客が暮らす地域と営業組織の所在地をまたぐ管理の実効性は、確認すべき論点の一つだ。
契約者への連絡方法も変更、会社は支援体制を整備
業務停止期間は10月13日から2027年1月31日までの111日間。保険募集と契約締結が原則停止される一方、既存契約の保障や保険金・給付金の支払いは継続される。
会社が10月23日に更新した契約者向け案内では、営業社員による自発的な訪問や状況確認の連絡を控えると説明している。
契約者から電話やメールで申し出があった場合には対応するものの、営業社員の活動制限によって取り扱えない手続きもある。訪問が必要な場合には管理職が同席する。
保険金・給付金の請求や契約内容の変更、解約などはカスタマーサービスセンターが受け付けるほか、一部の手続きは契約者専用サイト「Myページ」でも行える。
会社は4月、営業社員による顧客対応を補完するための「カスタマーサポーター制度」も立ち上げている。
営業社員個人に依存してきた顧客との関係を、複数の窓口や担当者で支える体制へ移そうとする動きがうかがえる。
ただ、制度が設けられたことと、地域の契約者が実際に十分な支援を受けられることは別である。
例えば、担当者との相談を通じて契約内容を見直してきた顧客が、現在の活動制限の下で説明を求める場合、過去の相談経緯がどのように引き継がれるのか。東三河の契約者について、名古屋の支社と本社の相談窓口がどのように連携しているかは、公開資料には示されていない。
なお、東三河で実際に契約手続きの遅延や相談対応の不備が発生したとする事実は、現段階では確認できていない。
東三河の契約者数は未公表、残された地域別の検証
今回確認した資料からは、東三河8市町村の契約件数、担当支社の内訳、地域別の苦情や被害申告の状況を特定できなかった。
金融庁は会社に対し、金銭不祥事の徹底調査と被害回復、営業社員への監督強化に加え、支社運営制度そのものの見直しを求めている。
11月30日には業務改善計画の提出期限を迎える。
名古屋に12支社が集中していることは、それだけで管理上の問題を示すものではない。しかし、金融庁が支社任せの企業風土を認定した以上、会社には、営業拠点から離れた地域の顧客についても、適切に管理できていることを示す責任がある。
豊橋・東三河の契約者をどの支社が担当し、相談や苦情に誰が対応しているのか。全国的な組織改革が、地域の顧客保護にどう結びついているかが問われている。
編集部まとめ
公式資料の照合により、名古屋市内への12支社の集中と、販売自粛中だった4月の2支社新設を確認した。
一方、東三河の契約者を担当する支社や地域別の契約件数、被害申告の状況は明らかになっていない。
会社は営業管理の改革と顧客対応の支援体制づくりを進めているが、地域の契約者にどのような変化が生じているかについては、引き続き検証が必要である。
特記事項
本記事は、金融庁の2026年10月9日付行政処分、プルデンシャル生命の公式拠点一覧、同年2月4日、3月24日、4月22日、6月30日の公表資料、および10月23日更新の契約者向け案内を照合して構成した。
金融庁の指摘は同社全体の管理体制に関するものであり、愛知県内の特定支社や営業社員による不正行為を認定するものではない。また、東三河の契約件数や担当支社、地域別の被害申告については、会社への直接取材による確認を行っていない。
本記事では、行政機関の認定事実、会社の公表内容、編集部による資料分析を区別して記載した。
週刊TAKAPI 編集部/成田
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