愛知県は2026年10月30日、産業廃棄物の不法投棄や不適正処理を防ぐため、11月1日から30日まで、処理業者や排出事業者を対象とする一斉立入指導を実施すると発表した。東三河では、豊川市、蒲郡市、田原市などを所管する東三河総局と、新城市や北設楽郡3町村を所管する新城設楽振興事務所が実施機関に含まれる。
今回の重点対象は、建物の解体工事に伴って産業廃棄物を排出する元請業者だ。県は廃棄物の処理状況や委託先の確認体制などを調べるほか、地上からの監視が難しい山間部などでは、ヘリコプターによる上空からの監視も行う。
県が今年6月に実施した立入検査やパトロールなどでは、519件の調査活動を行い、23件の不適正事案に文書指導を実施している。11月も同様の重点検査を継続し、事業者の処理責任の徹底を図る。
東三河7市町村を県の2機関が所管 豊橋市は別の行政管轄
愛知県は毎年6月と11月を産業廃棄物の適正処理に関する指導強化月間と位置付け、県内各地で立入検査やパトロールを実施している。
東三河では、東三河総局県民環境部環境保全課が豊川市、蒲郡市、田原市を担当し、新城設楽振興事務所環境保全課が新城市、設楽町、東栄町、豊根村を所管する。今回の県の一斉立入指導も、この2機関が実施体制に加わる。
一方、豊橋市は産業廃棄物行政に関する独自の権限を持ち、今回の県の協力市町村から除外されている。県が実施する一斉立入指導の対象地域と、豊橋市が所管する地域は行政上の取り扱いが異なる。
ただし、県の協力機関に含まれないことは、豊橋市内で産業廃棄物の監視や指導が行われないことを意味しない。市内の事業者については、市の廃棄物行政を所管する部署が対応する。
今回の発表では、東三河7市町村それぞれの検査予定件数や具体的な対象事業所は明らかにされていない。
解体工事の元請を重点確認 処理を委託した後も責任
県が重点的に確認するのは、解体工事によって発生する産業廃棄物の処理状況だ。
建設工事に伴う産業廃棄物では、原則として元請業者が排出事業者として処理責任を負う。廃棄物の運搬や処分を外部業者に委託した場合でも、その責任がなくなるわけではない。
今回の立入指導では、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の適切な使用、廃棄物処理施設の維持管理、処理委託先の確認状況などが主な検査項目となる。
愛知県では、2018年10月に改正施行された「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例」に基づき、排出事業者が委託先の処理能力や管理状況を確認する制度を強化している。
県の制度では、委託先の施設や運搬車両などを実地で確認することを原則とし、確認記録の保存も求めている。優良産業廃棄物処理業者への委託など、一定の条件では実地調査を省略できるが、その場合も処理状況の確認自体が不要になるわけではない。
県は今回の立入指導を通じて、こうした制度を周知し、排出事業者の管理責任の徹底を促す方針だ。
6月の調査活動519件、不適正事案23件に文書指導
県が7月21日に公表した今年6月の実施結果では、県管轄地域で立入検査やパトロールなど計519件を行った。
内訳は、排出事業者への立入検査71件、建設工事現場などへの立入検査・パトロール356件、産業廃棄物処理業者への立入検査92件。このうち、解体工事の元請業者を対象とした立入検査は67件だった。
一連の調査活動では、不適正事案23件を確認し、文書による行政指導を行った。指導の内訳は指示書1件、指導票22件で、処理基準の遵守や委託契約書、マニフェストの管理などを指導している。
一方、解体工事の元請業者に対する67件の立入検査で、文書指導を行ったのは2件だった。23件すべてが解体工事の元請業者による不適正行為だったわけではない。
また、6月の結果では、改善命令などの行政処分は確認されていない。文書による行政指導と、法令に基づく行政処分は区別する必要がある。
これらはいずれも県管轄地域全体の過去の実績であり、東三河だけで23件の不適正事案が見つかったことを示す数字ではない。
山間部ではヘリコプターによる監視も実施
11月の指導強化月間では、地上から監視することが難しい山間部などを対象に、ヘリコプターを使ったスカイパトロールも実施する。
県は市町村と連携して、不法投棄や野焼きなどの不適正処理を防ぐための監視活動を行う。産業廃棄物処理業者だけでなく、建設業や解体工事業の関係団体にも、自主的なパトロールや事業者への啓発を要請する。
東三河には新城市北部から北設楽郡にかけて広い山間部が存在するが、今回の県発表では、ヘリコプターが実際に飛行する市町村や監視地点は公表されていない。
このため、奥三河の特定地区でヘリ監視が実施されると断定することはできない。また、特定の事業所が不法投棄などの疑いによって監視対象となっていることを示す発表もない。
検査結果は12月中旬ごろ公表予定 地域別の実績が焦点
県は今回の一斉立入指導の結果について、取りまとめ次第、12月中旬ごろに公表する予定だ。
10月30日の発表は11月の実施計画であり、今回の立入指導によって新たな違反が判明したものではない。対象となる事業者についても、立入検査を受けること自体が法令違反を意味するわけではない。
東三河では、県の2機関が担当する7市町村で、どの程度の検査や指導が行われたのかが今後の確認事項となる。県全体の実施件数に加え、地域別の実績や是正内容が明らかになれば、監視活動の実態をより具体的に検証できる。
廃棄物の不適正処理を防ぐためには、行政による監視だけでなく、排出事業者が委託先の処理状況まで把握する仕組みが欠かせない。11月の一斉立入指導が、どのような改善につながるのか。12月の結果公表が次の焦点となる。
編集部まとめ
愛知県は11月1日から30日まで、産業廃棄物処理業者や排出事業者への一斉立入指導を実施する。東三河では豊川・蒲郡・田原の3市と、奥三河4市町村を担当する県の2機関が実施体制に加わる。解体工事の元請業者を重点的に確認し、県は山間部などでヘリによる監視も行う。6月の調査活動では県管轄地域全体で不適正事案23件に文書指導を実施した。今回の結果は12月中旬ごろに公表される予定で、東三河における検査実績や指導内容の把握が今後の課題となる。
特記事項
本記事は愛知県の2026年10月30日付発表、7月21日付の立入指導結果と詳細資料、廃棄物条例に関する公式資料を基に構成した。6月の23件は県管轄地域全体の文書指導実績であり、東三河の違反件数や11月の新規発覚件数ではない。また、ヘリ監視の具体的な実施地点は未公表である。
週刊TAKAPI編集部/成田
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