プルデンシャル生命は10月30日、名古屋市内の4支社と三重県の1支社を統合し、11月1日付で新たな「名古屋支社」を設置すると発表した。営業社員らによる相次ぐ金銭不祥事を受けた組織改革の一環で、本社には営業推進部門から独立して現場を監督する「営業統制本部」も新設する。
今回の統合で注目されるのは、今年4月に設けられたばかりの名古屋西支社が、わずか7カ月で再編対象となることだ。全国では従来の30支社を7支社へ統合する先行移行が始まり、会社は2027年中に新体制への全面移行を目指している。
週刊TAKAPIが公式資料を照合したところ、名古屋と三重にまたがる新支社の管理責任者や本社の監督体制は明らかになった。一方、豊橋市を含む東三河8市町村の契約者をどの支社が担当し、今回の再編によって管理方法がどう変わるのかについては、具体的な説明が確認できなかった。
金融庁が「支社任せ」の管理体制を問題視した会社で、組織の集約は契約者保護の改善につながるのか。今回の発表と過去の機構改革資料から検証した。
名古屋4支社と三重支社、新たな責任者の下に統合
11月1日付で新設される名古屋支社の統合対象は、名古屋中央、名古屋第三、名古屋西、名古屋北、三重の計5支社となる。
会社の拠点一覧によると、名古屋中央、第三、西の3支社は名古屋駅前のJPタワー名古屋に、名古屋北支社は同市中区の富士フイルム名古屋ビルに入居している。三重支社は四日市市の四日市MNビルに置かれている。
新名古屋支社のマネージングディレクターには、名古屋中央支社長の安澤哲郎氏が就任する。新体制ではマネージングディレクターを支社経営の最終責任者と位置付け、法令順守や営業管理、本社との連携について責任を負わせる。
ただし、今回の発表は営業組織の統合に関するものであり、事務所をすべて名古屋市内へ集約するとしたものではない。四日市市の営業拠点が閉鎖されるかどうかも明らかにされていない。
また、名古屋市内には従来12支社があるが、今回統合されるのは4支社に限られる。残る8支社は今回の先行統合の対象に含まれておらず、名古屋全体の営業組織が一度に新支社へ移行するわけではない。
4月新設の名古屋西支社、7カ月で再編対象に
今回の機構改革を、会社が今年3月24日に発表した資料と照らし合わせると、特徴的な経緯が浮かび上がる。
プルデンシャル生命は4月1日付で、全国5支社を新設した。そのうち愛知県内では、名古屋南支社と名古屋西支社が新たに設けられた。
当時は金銭不祥事を受け、2月から新規契約の販売活動を自粛していた時期だった。会社は営業制度や経営管理の抜本的な見直しを進めるとしていたが、その一方で新たな営業組織を設けていたことになる。
その名古屋西支社が、11月1日付で新名古屋支社へ統合される。同時期に新設された名古屋南支社は、今回の先行統合には含まれていない。
もちろん、4月の新設と11月の統合をもって、当初の経営判断が誤っていたと断定することはできない。営業社員の管理範囲を見直す過程で、さらに大きな組織へ再編する方針が採用された可能性もある。
ただ、名古屋西支社の新設によって何を改善しようとしたのか、その成果をどのように検証したのかについて、今回の発表には個別の説明がない。
7カ月という短い期間で再編対象となった経緯は、会社が営業管理の仕組みをどのように見直してきたのかを知るうえで、確認すべき事項の一つだ。
支社長任せを改める新体制、営業と監督を分離
今回の改革は、支社の名称や数を変えるだけではない。
会社は営業統制管理責任者の下に「営業統制本部」を設け、その下に営業統制推進チーム、支社検査チーム、支社品質管理チームを新設する。営業活動や販売品質、法令順守に関する情報を一元的に把握し、不正の兆候を早期に発見する仕組みを整えるという。
営業統制本部と営業統制推進チームは千賀浩執行役員常務が、支社検査チームと支社品質管理チームは谷口健執行役員が担当する。
新支社の内部では、マネージングディレクターの下にエグゼクティブマネージャー、さらにユニットマネージャーを配置する。複数の営業単位を統括する管理職と、個々の営業社員を直接指導する管理職の役割を分け、監督責任を明確にする構造だ。
10月8日に公表された改革資料では、各支社に営業品質管理部長やセールスクオリティスタッフを配置し、契約成立前の確認を営業組織から独立した立場で行う方針も示されている。
営業成績を伸ばす役割と、営業社員の行動を点検する役割を分離する。従来の営業モデルを改めようとする今回の改革の中心は、ここにある。
ただし、新しい管理職や検査部門を置いたことだけで、監督が適切に機能するようになったとは判断できない。重要なのは、営業社員の行動や顧客からの苦情を把握し、必要な是正を実際に行えるかどうかだ。
豊橋・東三河の契約者、担当支社の変更はあるのか
今回の名古屋支社再編では、三重県の営業組織も名古屋を中心とした新体制に組み込まれる。一方、愛知県東部の豊橋・東三河については、担当支社や契約管理の変更があるのか明らかになっていない。
プルデンシャル生命の公式拠点一覧には、豊橋、豊川、蒲郡、田原、新城の5市と、設楽町、東栄町、豊根村に支社は掲載されていない。
県内の営業拠点は名古屋市に集中しており、静岡県浜松市にも2支社が置かれている。しかし、支社の所在地だけでは営業社員が担当する地域を判断できない。
東三河の契約者が名古屋や浜松の営業社員と契約している可能性はあるものの、地域別の保有契約件数や担当支社の内訳は公表資料から確認できなかった。
今回の統合によって、東三河の契約者を担当する営業社員の所属先が変わるのか。苦情や契約内容の相談が寄せられた場合、どの管理職が対応状況を確認するのか。こうした具体的な運用についても、10月30日の発表では説明されていない。
支社の統合そのものが、保険契約の解約や保障内容の変更を意味するわけではない。ただし、顧客対応の責任者や管理部門が変わる場合には、契約者が従来の担当者に相談できるのか、必要な情報が適切に引き継がれるのかが問題となる。
特に東三河のように地域内に支社がない場合、営業社員個人に依存しない相談体制がどこまで整うかが重要だ。
問い合わせ窓口は混雑、既存契約者への対応も課題
会社は10月27日、カスタマーサービスセンターへの電話がつながりにくい状況にあることを公表した。問い合わせが集中しているとして、時間をおいて電話をかけ直すよう案内するとともに、住所変更や契約内容の照会、給付金請求など、一部の手続きには契約者専用サイト「Myページ」の利用を呼び掛けている。
一方、金融庁による業務停止命令を受け、現在は営業社員による顧客への自発的な訪問や連絡にも制限が設けられている。
こうした状況で営業組織が再編される以上、既存契約者が相談先を見失わないようにすることは重要になる。
ただし、今回の支社統合が電話の混雑を引き起こしたわけではなく、東三河の契約者に特別な支障が生じていると確認されたものでもない。
会社が新体制へ移行する際には、契約管理の責任者が誰になるのか、顧客からの問い合わせをどのように引き継ぐのかについて、具体的な説明が求められる。
全国139支社から40〜50支社へ、再編の成否は
プルデンシャル生命は、2026年7月時点で全国139あった従来の支社を段階的に廃止し、最終的に40〜50支社の新体制へ移行する計画を示している。
11月1日に始まる先行移行では、札幌、青山、品川、千代田、名古屋、近畿、福岡の7支社を新設し、従来の計30支社を統合する。会社は先行運用の実績を確認しながら、2027年中の移行完了を目指す。
今回の組織改革を理解するうえで欠かせないのが、金融庁による行政処分だ。
金融庁は10月9日、同社に対して111日間の業務停止命令と業務改善命令を出した。営業社員の活動の自由度が高く、各支社の自主独立性が強まる一方、経営陣が営業推進を優先し、本社による監督が十分に機能していなかったと認定している。
会社は11月30日までに業務改善計画を提出するよう命じられており、保険募集と契約締結の原則停止は2027年1月31日まで続く。
支社数を減らすことで管理責任者を明確にできても、それだけでは契約者保護が改善したことにはならない。統合後に管理する営業社員の人数がどう変わり、内部検査の結果がどのように経営陣へ報告されるか。新体制の効果は、そうした実際の運用によって判断されるべきものだ。
名古屋4支社と三重支社の統合は、全国的な営業改革の最初の一歩となる。
その一方、豊橋・東三河の契約者を誰が管理し、相談や苦情をどのように扱うのかという地域の実態は、なお明らかになっていない。
会社が新しい組織図を示した今、問われるのは、その改革が一人ひとりの契約者に届くかどうかである。
編集部まとめ
プルデンシャル生命は11月1日、名古屋4支社と三重支社を統合し、新たな名古屋支社を設置する。4月に新設した名古屋西支社も7カ月で再編対象となった。
会社は営業統制本部の新設と管理職の責任明確化によって監督機能を強化する方針だが、東三河の契約者をどの支社が担当し、相談・苦情への対応がどう変わるかは公表されていない。
金融庁が問題視した支社任せの管理体制を改められるか。再編後の運用と契約者保護の実効性が問われる。
特記事項
本記事は、プルデンシャル生命の2026年10月30日付機構改革・人事発表、10月8日付改革資料、3月24日付機構改革発表、公式支社一覧、10月27日付顧客窓口案内、および金融庁の10月9日付行政処分を照合して構成した。
東三河の契約件数、担当支社、統合に伴う契約管理体制の変更については会社から直接回答を得ておらず、地域の契約者に不利益が発生したと認定するものではない。
週刊TAKAPI 編集部/成田
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