抗議船2隻が転覆し生徒・船長死亡 安全管理と平和学習の中立性が焦点に
沖縄県名護市辺野古沖で3月16日、京都府京田辺市の同志社国際高校の生徒らが乗った小型船2隻が転覆し、生徒と船長の2人が死亡した事故をめぐり、文部科学省は5月22日、同校の研修旅行について、安全管理と教育活動に重大な問題があったとして、学校法人同志社と同校に指導通知を出した。
文科省はあわせて、辺野古移設工事を扱った平和学習について、教育基本法第14条第2項に反するとの判断を示した。現行法下で、学校の教育活動に同条項違反との判断が示されるのは初めてとされる。
一方、沖縄県の玉城デニー知事は、文科省の判断を「踏み込みすぎ」と批判した。事故をめぐっては、学校の安全管理責任と、平和教育への国の関与のあり方が同時に問われている。
事件の概要や今後の焦点については、週刊TAKAPIチャンネルでも動画で解説しています。記事本文とあわせてご覧ください。
生徒と船長が死亡、14人負傷
事故では、同校2年の武石知華さん(17)と、小型船「不屈」の船長だった金井創さん(71)が死亡した。生徒ら14人も負傷した。
生徒18人は、平和学習の一環で辺野古沖を訪れ、抗議活動にも使われていた小型船「不屈」と「平和丸」に分かれて乗船していた。
文科省、安全管理を「著しく不適切」と判断
文科省は、学校側の安全管理に複数の不備があったと指摘した。
主な問題は、事前確認や現地下見が不十分だったこと、引率教員が生徒と同じ船に乗っていなかったこと、波浪注意報が出る中で乗船が実施されたことなどだ。
また、生徒や保護者に対し、乗船する船の性質や海上活動のリスクについて、十分な説明が行われていなかった点も問題視された。
船舶の運航体制、救命具の着用、悪天候時の中止判断、緊急時の連絡体制についても、学校側の確認が不十分だったとされる。
教育基本法第14条第2項に反すると判断
文科省は、平和学習の内容についても問題を指摘した。
辺野古移設工事をめぐる学習が、複数の立場を示して生徒に考えさせる形ではなく、特定の見方に偏った取り扱いだったと判断した。
教育基本法第14条第2項は、学校が特定の政党を支持し、または反対するための政治教育その他の政治的活動を行うことを禁じている。
文科省は、過去の研修旅行のしおりに座り込み参加を呼びかける内容があったこと、抗議船の船長による講演が組み込まれていたこと、複数の教員が抗議活動に使われていた船であることを認識していた点などを踏まえ、不適切と判断した。
玉城知事は「踏み込みすぎ」と反発
これに対し、玉城デニー知事は、文科省の判断を「踏み込みすぎ」と批判した。
玉城知事は、基地負担や辺野古移設の現場を学ぶ機会は平和教育として必要だとの考えを示している。事故の再発防止は必要としながらも、国が教育内容にどこまで踏み込むのかについて懸念を示した形だ。
今回の事故では、学校安全の問題と、平和教育の中立性をどう担保するかという問題が重なっている。
国交省は船長を海上運送法違反で告発
国土交通省は5月22日、「不屈」の船長だった金井さんについて、必要な海上運送法上の事業登録を受けずに生徒や教員を運送していたとして、海上保安庁に告発した。
国交省によると、金井さんは2023年以降、同志社国際高校からの依頼で複数回にわたり生徒や教員を運送し、学校側から謝礼を受け取っていたという。
事故は、学校側の安全管理だけでなく、船舶運航の適法性も問われる事態となった。
学校法人同志社、改善へ
学校法人同志社は、文科省の指導を受け、重大な責任を痛感しているとの姿勢を示している。
今後は、研修旅行の事前審査、外部団体との関係、安全確認、保護者説明、悪天候時の中止判断などを見直す方針だ。京都府も、同校への私学助成金の減額を検討している。
平和教育の自由は大切である。沖縄戦や基地問題の現場を学ぶ機会には、教育上の意味がある。
ただし、生徒の命を預かる安全管理は、それよりも先に確認されるべきものだ。
今回の事故では、辺野古問題の政治色が強い中で、最も大事な生徒の安全が後回しにされた印象が拭えない。文科省判断への賛否とは別に、17歳の生徒が亡くなった事実は重い。
平和を学ぶ場を、命を危険にさらす場にしてはならない。
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編集部まと
文科省は、同志社国際高校の辺野古研修旅行について、安全管理と教育活動に重大な問題があったとして指導通知を出した。
事故では、武石知華さん(17)と金井創さん(71)が死亡し、生徒ら14人が負傷した。
文科省は、平和学習の内容が特定の見方に偏っていたとして、教育基本法第14条第2項に反するとの判断を示した。
玉城デニー知事は「踏み込みすぎ」と批判したが、事故では学校の安全管理、教育内容の中立性、船舶運航の適法性が同時に問われている。

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