痴漢や盗撮など、性犯罪の被害者支援を専門に掲げていた元弁護士の男が、盗撮事件の被害者に渡すべき示談金を着服したとして、警視庁に逮捕されました。
業務上横領の疑いで逮捕されたのは、神奈川県海老名市の元弁護士・岸本学容疑者(52)です。
警視庁によると、岸本容疑者は2023年3月、盗撮被害に遭った女性から依頼を受け、加害者側との示談交渉を行いました。
その際、示談金30万円を受け取ったにもかかわらず、女性に渡さず着服した疑いが持たれています。
警視庁の調べに対し、岸本容疑者は「間違いない」と容疑を認めているということです。
着服した金は、住宅ローンの返済に充てていたとみられています。
ホームページで「被害者のために」とアピール
岸本容疑者は、弁護士として活動していた当時、ホームページ上で性犯罪被害者の支援を掲げていました。
痴漢や盗撮などの被害に遭って苦しむ人のために、「納得のできる解決」を目指すといった趣旨の説明をしていたとされています。
また、性犯罪被害者の弁護を専門とする弁護士として、複数のメディアで紹介されていたほか、女性が遭いやすいトラブルや法律対応に関する著書もありました。
今回の被害女性も、インターネット上で岸本容疑者の経歴や専門性を知り、示談交渉を依頼したということです。
しかし、示談金が支払われないまま岸本容疑者と連絡が取れなくなり、女性は2023年6月に警察へ相談していました。
11人分、計1300万円超を着服か
警視庁は、同様の手口が常態化していた可能性があるとみています。
岸本容疑者は、2022年4月からの1年間で、盗撮や痴漢、強制わいせつ事件などをめぐる示談交渉で、ほかにも10人から依頼を受けていたとされています。
警視庁は、岸本容疑者が加害者側から受け取った示談金を依頼人に渡さず、あわせて1300万円以上を着服した疑いがあるとみて、詳しい経緯を調べています。
第一東京弁護士会は、こうした問題などを理由に、2025年5月、岸本容疑者を「除名」の懲戒処分にしていました。
除名は弁護士会の懲戒処分の中でも重い処分で、弁護士としての資格を失うことになります。
「被害者支援」への信頼を揺るがす事件
今回の事件で特に重いのは、逮捕された元弁護士が、性犯罪被害者支援を専門に掲げていた点です。
性犯罪被害者にとって、示談交渉や加害者側とのやり取りは大きな負担になります。
弁護士は本来、被害者の権利を守り、精神的・法的負担を軽くするために関わる立場です。
その弁護士が、被害者に渡るべき示談金を着服した疑いがあることは、被害者本人への金銭的被害だけでなく、被害者支援や弁護士制度への信頼を傷つける問題です。
特に、今回の被害女性は、岸本容疑者の経歴や専門性を信じて依頼したとみられます。
「専門家に頼ったはずなのに、さらに被害を受けた」と感じる被害者が出ることは、今後、性犯罪被害者が相談をためらう要因にもなりかねません。
弁護士の「預り金」管理も焦点に
弁護士が示談金や和解金などを預かる場合、依頼者に渡すべき金銭は適切に管理する必要があります。
今回の事件では、加害者側から支払われた示談金が、被害者側に渡されず、岸本容疑者が私的に使った疑いが持たれています。
警視庁は、示談金がどの口座で管理されていたのか、ほかの依頼人への未払いがどのように発生したのか、資金の流れを調べているとみられます。
弁護士に依頼する場合でも、示談金や和解金の入金状況、送金時期、振込記録について、依頼者側が確認できる仕組みが重要になります。
この事件で分かっていること
逮捕されたのは誰か
神奈川県海老名市の元弁護士・岸本学容疑者(52)です。
何の疑いで逮捕されたのか
業務上横領の疑いです。盗撮被害に遭った女性に渡すべき示談金30万円を着服した疑いが持たれています。
容疑を認めているのか
警視庁によると、岸本容疑者は「間違いない」と容疑を認めているということです。
着服した金は何に使われたのか
警視庁は、住宅ローンの返済に充てていたとみています。
ほかにも被害はあるのか
2022年4月からの1年間で、ほかにも10人から依頼を受けた示談交渉で、示談金あわせて1300万円以上を着服した疑いがあるとみられています。
弁護士会の処分はあったのか
第一東京弁護士会は2025年5月、岸本容疑者を「除名」の懲戒処分にしていました。
今後の焦点は何か
今後は、示談金の管理状況、ほかの被害者への未払いの有無、着服の経緯、資金の流れなどが焦点になります。
まとめ
性犯罪被害者の支援を専門に掲げていた元弁護士が、盗撮被害者に渡すべき示談金を着服した疑いで逮捕されました。
警視庁は、岸本容疑者が11人分、あわせて1300万円以上の示談金を依頼人に渡していなかった疑いがあるとみています。
被害者支援を掲げる専門家による事件であることから、被害者本人への金銭的被害だけでなく、弁護士制度や被害者支援への信頼にも影響を与える可能性があります。
本記事は報道内容をもとに構成しています。逮捕段階の情報を含み、今後の捜査や発表により内容が変わる可能性があります。性犯罪被害者の特定や詮索につながる情報の拡散はお控えください。続報が入り次第、追記・更新します。
担当記者:一条
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