オランダ船籍の探検クルーズ船「MVホンディウス号」で、ハンタウイルス感染症の集団感染が確認され、2026年5月7日時点で乗客3人が死亡した。世界保健機関(WHO)は7日、同船に関連する感染確認例を5人に更新した。疑い例を含む全体症例は8人で、死亡者は3人。船には乗客・乗員あわせて約147〜150人が乗っており、23カ国籍の人が含まれていた。日本人乗客1人も乗船していたが、現時点で症状は確認されていない。
ハンタウイルスは、主にネズミなどのげっ歯類が保有するウイルスで、尿、糞、唾液に触れたり、それらを含む粉じんを吸い込んだりして人に感染する。発熱、頭痛、筋肉痛、せき、息苦しさ、嘔吐、下痢などで始まり、重症化すると呼吸不全や腎障害を起こす。型によっては致死率が40〜50%に達することもある。多くの型は人から人へ感染しないが、南米で確認されるアンデス型では、濃厚接触によるヒトからヒトへの感染がまれに報告されている。
ホンディウス号は4月1日ごろ、アルゼンチン南部のウシュアイアを出発した。南極、サウスジョージア、トリスタンダクーニャ、セントヘレナなどを経由し、その後、カナリア諸島へ向けて航行している。5月上旬にはカボベルデ沖に停泊していたが、6日までに同海域を出発し、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ方面へ向かった。到着は5月9〜10日ごろとみられ、到着後は乗客・乗員の検査、健康確認、下船、隔離、帰国手続きが行われる見通しだ。
最初に体調不良を訴えたのはオランダ人男性乗客で、4月6日ごろから発熱や頭痛などの症状が出たとされる。男性は4月11日に船内で死亡した。その後、男性の妻もセントヘレナ島で下船したあとに容体が悪化し、南アフリカへの移動中に死亡した。さらに5月2日には、ドイツ人乗客1人が船内で死亡した。少なくとも1人は南アフリカで集中治療を受け、スイスへ帰国した男性の感染も新たに確認された。
今回検出されたウイルスはアンデス型と特定された。WHOは、夫婦や同室者など近い接触があった人の間で、ヒトからヒトへの感染が起きた可能性を指摘している。ただし、感染源はまだ確定していない。関係当局は、最初に発症したとみられるオランダ人夫婦が乗船前、アルゼンチン南部で野鳥観察をしていた際に、ネズミなどの排泄物に接触した可能性を調べている。
感染が疑われる3人はすでに船から移送され、このうち複数人がオランダ国内などで治療や検査を受けている。船内では、残る乗客・乗員の健康状態の確認が続けられている。現時点で船内に新たな症状を示す人はいないとされる一方、ハンタウイルスは潜伏期間が数週間に及ぶことがあり、各国当局は下船済みの乗客や接触者の追跡を進めている。
さらに5月7日には、死亡したオランダ人女性と南アフリカで短時間接触したKLMオランダ航空の客室乗務員が、軽い症状を訴えてオランダ国内の病院に入院し、検査を受けていることが明らかになった。感染が確認されれば、船外で接触した人物への波及例として注目される。各国の保健当局は、船内での感染に加え、船外接触者への広がりがないかを注視している。
WHOは今回の事案について、重大な感染事例と位置づけながらも、広い範囲に公衆衛生上の脅威が及ぶ可能性は低いと評価している。日本国内についても、厚生労働省などは現時点で国内拡大の可能性は低いとみている。今回のウイルスが自然界で広がるには、南米に生息する特定のげっ歯類が関わるとされ、日本国内に同じ自然宿主は確認されていないためだ。
予防の基本は、流行地域でネズミやその排泄物に近づかないことにある。山小屋、倉庫、野外施設などを清掃する際には、乾いた糞や尿が混じったほこりを吸い込まないよう注意が必要だ。今回の集団感染は、南米から南極方面を経由する探検クルーズという特殊な環境で起きた事例だが、複数国の乗客が関わるため、各国当局は検査、隔離、健康観察を続けている。
ハンタウイルス集団感染でクルーズ船3人死亡
オランダ船籍の探検クルーズ船「MVホンディウス号」で、ハンタウイルス感染症の集団感染が確認され、2026年5月7日時点で乗客3人が死亡しました。WHOは同日、同船に関連する感染確認例を5人に更新し、疑い例を含む全体症例は8人としています。今回検出されたのは南米で確認されるアンデス型で、濃厚接触によるヒトからヒトへの感染の可能性も指摘されています。
Q. ハンタウイルスとは何ですか?
A. ハンタウイルスは、主にネズミなどのげっ歯類が保有するウイルスです。尿、糞、唾液に触れたり、それらを含む粉じんを吸い込んだりして人に感染します。発熱、頭痛、筋肉痛、せき、息苦しさ、嘔吐、下痢などが出ることがあり、重症化すると呼吸不全や腎障害を起こします。
Q. クルーズ船では何が起きたのですか?
A. オランダ船籍の探検クルーズ船「MVホンディウス号」で、ハンタウイルス感染症の集団感染が確認されました。2026年5月7日時点で感染確認例は5人、疑い例を含む全体症例は8人、死亡者は3人です。船には乗客・乗員あわせて約147〜150人が乗っていました。
Q. 死亡したのはどのような人ですか?
A. 死亡したのは、オランダ人夫婦とドイツ人乗客の計3人です。最初に体調不良を訴えたオランダ人男性は4月11日に船内で死亡し、その妻も下船後に容体が悪化して死亡しました。5月2日にはドイツ人乗客1人も船内で死亡しました。
Q. 今回確認されたアンデス型とは何ですか?
A. アンデス型は、南米で確認されるハンタウイルスの一種です。多くのハンタウイルスは人から人へ感染しませんが、アンデス型では濃厚接触によるヒトからヒトへの感染がまれに報告されています。今回も、夫婦や同室者など近い接触があった人の間で感染が起きた可能性が指摘されています。
Q. 感染源は分かっているのですか?
A. 感染源はまだ確定していません。関係当局は、最初に発症したとみられるオランダ人夫婦が乗船前にアルゼンチン南部で野鳥観察をしていた際、ネズミなどの排泄物に接触した可能性を調べています。
Q. 日本人乗客はいたのですか?
A. 船には日本人乗客1人が乗船していましたが、現時点で症状は確認されていません。国内当局も、日本国内で感染が広がる可能性は低いとみています。
Q. 船は現在どうなっているのですか?
A. ホンディウス号はカボベルデ沖を出発し、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ方面へ航行しています。到着は5月9〜10日ごろとみられ、到着後は乗客・乗員の検査、健康確認、下船、隔離、帰国手続きが行われる見通しです。
Q. 船外への感染拡大はありますか?
A. 5月7日には、死亡したオランダ人女性と南アフリカで短時間接触したKLMオランダ航空の客室乗務員が、軽い症状を訴えてオランダ国内の病院に入院し、検査を受けていることが明らかになりました。感染が確認されれば、船外接触者への波及例として各国保健当局が注視することになります。
Q. WHOは今回の事案をどう評価していますか?
A. WHOは今回の事案を重大な感染事例と位置づけています。一方で、広い範囲に公衆衛生上の脅威が及ぶ可能性は低いと評価しています。各国当局は、乗客・乗員や下船済みの接触者について、検査、隔離、健康観察を続けています。
Q. ハンタウイルスの予防策は何ですか?
A. 流行地域でネズミやその排泄物に近づかないことが基本です。山小屋、倉庫、野外施設などを清掃する際には、乾いた糞や尿が混じったほこりを吸い込まないよう注意が必要です。げっ歯類がいる場所では、素手で排泄物に触れないことも重要です。

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