昼は赤い海、夜は青い天の川 東海沿岸で夜光虫が大発生 幻想の裏に赤潮の不安も

十数年ぶり規模の駿河湾、4年ぶりの渥美湾 愛知・静岡沿岸で“海の二つの顔”

波が寄せた瞬間、暗い海面に青白い光が走りました。

夜の海岸でスマートフォンを構える人たちの前で、波打ち際が一気に光り、足元から青い粒が散るように広がります。船が通った後には、海の上に青い線が残りました。

SNSでは、静岡県沼津市の内浦・西浦周辺や、愛知県蒲郡市の春日浦海岸周辺で撮影された夜光虫の動画や写真が相次いで投稿されています。

昼は赤く染まった海。
夜は青く光る海。

東海の沿岸で、同じ海がまったく違う表情を見せています。

ただし、この光景は単なる絶景ではありません。青い光の正体は、赤潮の原因にもなるプランクトン「夜光虫」です。美しさの裏側には、漁業や海の環境への影響という不安もあります。

▼ 解説動画

昼の海は赤く染まった 駿河湾と渥美湾で大規模赤潮

静岡県の駿河湾では、5月20日、沼津市沖から西浦地区沿岸にかけて赤潮が広がっている様子が確認されました。上空から見ると、海面には赤やオレンジの帯が広がり、通常の海の色とは明らかに違う状態になっていました。

静岡県水産・海洋技術研究所によると、駿河湾でここまで大きな赤潮が確認されるのは十数年ぶりとされています。

愛知県側でも、三河湾東側の渥美湾で夜光虫による大規模な赤潮が確認されました。愛知県によると、夜光虫による大規模赤潮は4年ぶりです。蒲郡市上空から撮影された映像では、赤潮が海面を薄い膜のように覆っていました。

昼の赤潮は、観光客には異様な景色に見えます。
赤ワインを流したような海。
岸に近づくほど濃く見える帯。
沖合まで続く赤い膜。

その一方で、夜になると景色は一変します。

夜になると青く光る SNSで広がる“海の天の川”

夜光虫は、波や船の航跡、人の動きなどの刺激を受けると青白く発光します。

波が打ち寄せるたびに、砂浜の縁が光る。
石を海に投げると、落ちた場所から青い粒が広がる。
船が進むと、後ろに光の線が伸びる。
浅瀬を歩くと、足元に小さな青い火花のような光が出る。

SNSでは、「人生で初めて見た」「怖いくらい綺麗」「海に天の川が落ちたみたい」といった反応が相次いでいます。

蒲郡市の春日浦海岸周辺では、夜光虫を見ようと海岸に足を運ぶ人も出ています。沼津市内浦・西浦エリアでも、夜の海が青く光る様子が投稿され、地元の人だけでなく写真愛好家の注目も集めています。

見た目は幻想的です。
しかし、夜光虫の大量発生は、海の中でプランクトンが増えているサインでもあります。

なぜ赤く、なぜ青く光るのか

夜光虫は、海にすむプランクトンの一種です。大量に集まると、昼間は海面が赤みを帯び、赤潮として見えます。

夜になると、波などの刺激を受けて発光します。青白く見える光は、夜光虫の細胞内で起きる発光反応によるものです。

赤潮は、春から初夏にかけて水温が上がり、海中の栄養分が増えることで発生しやすくなります。湾の奥や海水がとどまりやすい場所では、プランクトンが集まりやすく、赤潮が広がることがあります。

つまり、今回の現象は「きれいな海だから光っている」という単純な話ではありません。
夜の青い光は、昼の赤潮と同じ現象の別の姿です。

漁業への影響は現時点で大きく確認されず

赤潮は、種類や規模によっては漁業に影響を与えることがあります。

プランクトンが大量に増えると、水中の酸素が減ったり、魚のエラに影響したりする場合があります。養殖魚や沿岸漁業にとっては、見た目の美しさだけでは済まない現象です。

静岡県内では、現時点で大きな漁業被害は確認されていません。愛知県の渥美湾でも、これまでのところ養殖などへの被害情報はないとされています。

ただ、地元漁業者にとっては警戒が必要です。
「綺麗だけど、魚に影響が出ないか心配」
そんな声が出るのは当然です。

観光客にとっては一夜の絶景でも、漁業者にとっては海の状態を見極めるサインになります。

見に行くなら注意点も 光る海は暗い海でもある

夜光虫を見に行く場合は、安全面への注意が必要です。

夜の海岸は暗く、足元が見えにくくなります。岩場や堤防、ぬれた階段では転倒の危険があります。写真を撮るために水際へ近づきすぎると、波に足を取られることもあります。

また、周辺は住宅地や漁港に近い場所もあります。深夜の騒音、路上駐車、立ち入り禁止区域への侵入は避ける必要があります。

見に行くなら、次の点を守ることが大切です。

・明るい時間に場所を確認する
・足元を照らすライトを持つ
・堤防や立ち入り禁止区域に入らない
・車は指定された場所に停める
・大声を出さない
・ごみを持ち帰る
・波が高い日は近づかない

スマートフォンでも撮影できますが、実際の光は天候、波、場所、時間によって変わります。必ず見られるとは限りません。

美しさと不安が同時に来た夜

今回の夜光虫は、東海の海に強烈な印象を残しました。

昼は赤潮。
夜は青い光。
見る人にとっては、忘れられない景色です。

一方で、赤潮は海の環境変化を知らせる現象でもあります。駿河湾では十数年ぶり規模、渥美湾では4年ぶりの大規模発生とされ、地域の漁業関係者や行政は今後の推移を見ています。

海は、美しいだけではありません。
怖いだけでもありません。
同じ一日の中で、赤い不安と青い幻想を見せました。

この光景がいつまで続くのか。
漁業への影響は出ないのか。
愛知・静岡の沿岸で、しばらく注目が集まりそうです。

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編集部まとめ

愛知県の渥美湾と静岡県の駿河湾で、夜光虫による赤潮と青い発光現象が注目されています。

静岡県の駿河湾では、十数年ぶり規模の赤潮とされ、沼津市沖や西浦地区沿岸で広範囲に確認されました。愛知県の渥美湾では、夜光虫による大規模赤潮が4年ぶりに確認されています。

夜光虫は、昼間は赤潮として海を赤く染め、夜は波などの刺激を受けて青白く光ります。現時点で大きな漁業被害は確認されていませんが、赤潮は水中の酸素不足や魚への影響につながる場合があります。

見に行く場合は、夜間の海岸での転倒、路上駐車、立ち入り禁止区域への侵入、騒音に注意が必要です。

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