竹前海斗容疑者は韓国経由でマニラ逃亡を図ったか 妻・美結容疑者は事件当日もSNS投稿
栃木県上三川町の住宅で富山英子さん(69)が殺害された強盗殺人事件は、警察庁が警視庁に関連情報の集約を指示したことで、新たな段階に入った。
これまでに逮捕されたのは、指示役とみられる竹前海斗容疑者(28)、妻の竹前美結容疑者(25)、実行役とされる16歳の少年4人の計6人。警察は、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」が関与した広域事件の可能性を視野に、通信記録や車両の調達経路を調べている。
5月24日時点の焦点は、少年4人がどのように集められたのか、犯行に使われたとみられる白いセダン型外車を誰が用意したのか、そして竹前容疑者夫婦の背後に別の人物がいたのかという点に移っている。
闇バイト応募の少年が3人を誘ったか
捜査で特に重視されているのが、少年4人が集まった流れだ。
報道によると、16歳の少年のうち1人がSNSで闇バイトに応募し、その後、ほかの少年3人を誘ったとみられている。少年の一部は「夫婦に頼まれてやった」という趣旨の話をしているとされる。
また、少年の一部は「事件当日まで普通のバイトだと思っていた」と話しているという。別の供述では、断れば家族や友人に危害が及ぶと脅された趣旨の説明も出ている。
最初は「仕事」「バイト」として近づき、途中から断れない状態に追い込む。未成年を現場に送り込む手口は、近年のトクリュウ事件で繰り返し確認されている。
今回の事件では、少年4人のうち3人が住宅に入り、1人が見張り役だったとみられている。防犯カメラには、少年らが別々の場所から侵入する様子も映っていたとされる。警察は、事前に役割や侵入経路が決められていた可能性があるとみている。
白いセダン型外車は誰が用意したのか
もう一つの焦点が、少年らの移動に使われたとみられる白いセダン型の外車だ。
報道では、この車は竹前容疑者夫婦と少年4人の計6人以外の名義だったとされる。夫婦が少年らに貸したとみられており、警察は車の名義、使用履歴、貸与の経緯を調べている。
車両は、少年らと夫婦をつなぐ重要な物証になり得る。誰が車を調達したのか。どこで引き渡されたのか。事件前に夫婦の自宅周辺で確認されていたのか。防犯カメラやドライブレコーダーの解析が進めば、少年らの移動経路だけでなく、準備段階の動きも見えてくる可能性がある。
少年の一部は、犯行後に逃走車両に乗れず、ヒッチハイクのような形で移動したとも報じられている。計画のずさんさと、未成年が使い捨てのように扱われた疑いが浮かぶ。
竹前海斗容疑者、海外逃亡を図ったか
竹前海斗容疑者は、5月17日に羽田空港の国際線ターミナルで逮捕された。
捜査関係者への取材では、海斗容疑者は韓国を経由し、フィリピン・マニラ方面へ逃亡しようとしていた疑いがある。単なる国内逃走ではなく、国外へ出ようとしていた点は重い。
警察は、渡航費、航空券の手配、逃亡先の受け入れ先などに第三者が関わった可能性も含めて調べている。
妻の美結容疑者は、神奈川県内のビジネスホテルで身柄を確保された。生後7カ月の長女と一緒だったとされる。さらに美結容疑者は、事件当日にもSNSにダンス動画を投稿していたと報じられている。
重大事件が進む当日に、日常のような投稿を続けていた点は、事件の異様さを際立たせている。
押収スマホ解析で何が出るか
警察は、竹前容疑者夫婦の自宅を家宅捜索し、押収したスマートフォンなどの解析を進めている。
今後、重要になるのは、通話アプリ、SNSのやりとり、位置情報、送金記録、車両の使用履歴だ。少年らへの指示がどのアプリで行われたのか。夫婦が誰と連絡していたのか。金の流れがどこにつながるのか。ここが事件の全体像を左右する。
警察庁が警視庁に情報集約を指示した意味もここにある。栃木県内だけで完結する事件ではなく、神奈川、東京、さらに海外逃亡の可能性まで含む広域事件として見る必要が出ている。
警視庁が入ることで、都内や神奈川県内の関連事件、車両、通信、資金の情報を一体的に確認できる。警察は、竹前容疑者夫婦を末端の指示役とみるだけでなく、その先にいる中核人物の特定を急いでいる。
警察庁指示の狙い
警察庁長官が警察法に基づき、警視庁に情報集約を指示したのは異例の対応だ。
トクリュウは、実行役、指示役、募集役、資金管理役が分かれ、事件ごとに人を入れ替える。実行役として未成年が使われるケースもある。末端だけを逮捕しても、同じような事件が別の地域で繰り返されるおそれがある。
今回の事件で警察庁が早い段階から動いたのは、少年4人と竹前容疑者夫婦だけで終わらせず、募集、車両、資金、通信の先までたどるためとみられる。
焦点は明確だ。
闇バイトに応募した少年は、誰とつながったのか。
夫婦は、誰から指示を受けていたのか。
白いセダン型外車は、誰が用意したのか。
海外逃亡を助けようとした人物はいたのか。
末端逮捕で終わらせない捜査へ
この事件で亡くなった富山さんは69歳だった。住宅に押し入ったとされるのは16歳の少年たち。指示役とみられる夫婦は20代。関係者の年齢だけを見ても、トクリュウ型犯罪が若い世代を巻き込みながら広がっている実態が浮かぶ。
「高額報酬」「簡単な仕事」「荷物を運ぶだけ」といった誘い文句は、強盗や詐欺の入り口になり得る。応募した時点で個人情報を握られ、断れない状態に追い込まれる危険がある。
今回の続報で見えてきたのは、一つの強盗殺人事件の捜査にとどまらない問題だ。
少年を誰が集めたのか。
車を誰が用意したのか。
金を誰が流したのか。
指示はどこから来たのか。
警察庁の異例指示から24時間。捜査は、現場の6人から、その周辺へ広がっている。
事件に関する情報を持つ人は、警察への相談・通報が求められる。闇バイトに応募してしまった人、脅されている人も、一人で抱え込まず、警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署に相談する必要がある。
編集部まとめ
栃木県上三川町の強盗殺人事件で、警察庁は警視庁に関連情報の集約を指示した。捜査は、実行役とされる少年4人と竹前容疑者夫婦だけでなく、車両、通信、資金、勧誘経路の確認へ進んでいる。
少年の1人はSNSで闇バイトに応募し、ほかの少年3人を誘ったとみられている。少年の一部は「夫婦に頼まれてやった」「普通のバイトだと思っていた」と話しているとされる。
竹前海斗容疑者は、韓国を経由してフィリピン・マニラ方面へ逃亡しようとしていた疑いがある。妻の美結容疑者は事件当日にもSNSを更新していたと報じられている。
少年らが使ったとみられる白いセダン型外車は、逮捕された6人以外の名義だったとされ、警察は調達経路を調べている。
今後の焦点は、竹前容疑者夫婦の背後にいる人物、闇バイトの勧誘役、車両や資金の手配役まで捜査が届くかどうかである。

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