県立高柔道部員の死亡問題 副顧問の関与、相談窓口、無記名アンケートで再発防止を徹底
新潟県の県立高校で2024年、柔道部に所属していた男子生徒が死亡した問題をめぐり、県教育委員会は5月18日、県立高校などの校長を対象にした臨時研修会を開いた。
県教委の第三者委員会は4月27日、柔道部監督だった男性教諭による大声での指導や繰り返しの叱責が、生徒の死亡につながった主な要因だったとして、県内初の「指導死」と認定した。研修会はこの認定を受けて開かれたもので、県教委は部活動指導の実態調査や相談体制の確認を急ぐ方針を示した。
県立高など92校の校長が参加
臨時研修会は新潟県庁で開かれ、県立高校・中等教育学校85校に加え、私立と市立の計7校の校長が参加した。
新潟県教育庁の頓所裕史教育次長は、研修会について「二度とこのような痛ましい事案がおこらないよう、再発防止に全力で取組むために開催した」と述べた。
県教委は、遅くとも5月中に、県立高校の生徒と保護者を対象にした部活動指導の実態調査を行う。対象は、部活動の経験がある県立高校の全生徒と保護者。調査はオンラインで行い、無記名で回答してもらう。
県内初の「指導死」認定
第三者委員会の報告によると、男子生徒は2024年6月2日、県総体の試合で敗退した後、監督だった教諭から大声での指導を受けた。その後も部活動の練習中に複数回、大声での指導を受けた。
生徒は6月5日に登校せず、同日夜に死亡が確認された。
第三者委員会は、教諭の言動について、生徒の尊厳を踏みにじったり、人格を否定したりしていると受け止められる部分があったと指摘した。学校側についても、部活動が監督教諭による単独管理に近い状態となり、外部から見えにくい状態だったとして、学校と管理職の責任は免れないとした。
県教委の太田勇二教育長は、報告書を受け取り、学校や管理職、県教委にも責任があるとの認識を示していた。
実態調査で相談窓口も周知
今回の研修会では、部活動指導の実態調査だけでなく、生徒が悩みを相談できる窓口を分かりやすく示すことも確認された。
県保健体育課の志田哲也課長は、調査の中で相談窓口を示し、悩みを抱えている生徒が相談につながるよう促す考えを示した。
部活動では、顧問と生徒の関係が固定されやすい。特に競技実績を重視する部活動では、生徒が「指導だから仕方ない」と受け止め、周囲に訴えにくくなることがある。今回の調査は、そうした声を拾うための第一歩になる。
副顧問の関与と複数の目が課題に
今回の問題で重く見られたのは、顧問1人に指導が集中していた点だ。
部活動に副顧問がいても、実際には練習や指導の場に関わる時間が少なければ、生徒の異変に気づきにくい。顧問と生徒だけの場が続けば、強い叱責や不適切な言動を周囲が確認できない。
再発防止には、副顧問が名簿上の存在にとどまらず、生徒と定期的に話すことが欠かせない。複数の教職員が練習、試合後の指導、部員との面談を確認する仕組みが必要になる。
県教委は今後、各校に対して、部活動の運営体制や顧問の関与状況を点検させることになる。
過去の教訓をどう生かすか
新潟県の学校では、過去にも生徒の死亡事案をめぐり、学校側の対応不足が問われたことがある。今回の第三者委員会も、過去の教訓が十分に生かされていなかった点を問題視した。
部活動は、生徒の成長や仲間づくりに大きな意味を持つ。一方で、勝敗や実績を重視するあまり、生徒の心身の負担が見えにくくなる危険もある。
「厳しい指導」と「生徒を追い込む言動」は別である。学校は、指導内容を複数の教職員で確認し、生徒が相談できる道を確保しなければならない。
再発防止は現場で機能するか
臨時研修会で示された実態調査や相談窓口の周知は、再発防止に向けた出発点となる。
ただし、調査を実施するだけでは足りない。生徒が安心して回答できること、回答後に学校側が具体的に動くこと、顧問任せの部活動を続けないことが必要だ。
今後問われるのは、県教委の方針が各校の現場で実際に機能するかどうかである。副顧問が生徒と話す時間を確保できるのか。管理職が部活動の指導状況を把握できるのか。生徒の声が校内で止まらず、外部の相談先にもつながるのか。
県内初の「指導死」認定は、新潟県の部活動指導に大きな見直しを迫っている。
部活動を生徒の成長の場に戻すためには、顧問の熱意だけに頼らない確認体制が必要だ。今回の臨時研修会をきっかけに、県内の学校が生徒を守る運営へ変われるかが問われている。
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編集部まとめ
新潟県教委は5月18日、県立高校などの校長を対象にした臨時研修会を開いた。
背景には、2024年に県立高校の柔道部員が死亡した問題について、第三者委員会が県内初の「指導死」と認定したことがある。
県教委は、県立高校の生徒と保護者を対象に、部活動指導に関する無記名の実態調査を行う方針を示した。
今後の焦点は、副顧問の関与、相談窓口の周知、顧問1人に指導を任せない体制づくりである。
Q1. 新潟県教委はなぜ臨時研修会を開いたのですか。
県立高校の柔道部員が死亡した問題で、第三者委員会が県内初の「指導死」と認定したためです。県教委は再発防止に向け、校長らに部活動指導の見直しを求めました。
Q2. 県教委はどのような調査を行うのですか。
部活動の経験がある県立高校の全生徒と保護者を対象に、オンラインで無記名の実態調査を行う方針です。
Q3. 今後の課題は何ですか。
顧問1人に指導を任せないこと、副顧問が生徒と関わる時間を確保すること、生徒が相談できる窓口を分かりやすく示すことが課題です。

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