新潟県立新潟工業高校の柔道部に所属していた男子生徒が2024年6月に死亡した問題で、新潟県教育委員会の第三者委員会は2026年4月27日、顧問の男性教諭による行き過ぎた指導が主な要因だったとして、県内で初めて「指導死」と認定しました。
※「指導死」とは、教員や部活動の指導者による叱責、威圧的な言動、体罰などが児童・生徒に強い心理的負荷を与え、死亡につながったとされる事案を指します。
報告書は、試合敗退後に繰り返された大声での叱責や人格を否定するような言動が、当該生徒に強い心理的負荷を与えたと指摘しました。県教委は5月18日、県立高校の校長らを対象に緊急研修会を開き、再発防止策の徹底を求めました。
当該生徒は当時高校3年生でした。
2024年6月2日、県総合体育大会の柔道競技で敗退した直後、試合会場で顧問教諭から大声で叱責を受けました。顧問は「アドバイスを聞かない」「礼を言わない」などとして、強く叱ったとされています。
翌3日には、学校の格技場前通路で再び大声叱責がありました。前日にあいさつをせず帰宅したことが理由とされています。
4日には、放課後から部活動中にかけて、格技場、体育館、教員室などで叱責が繰り返されました。報告書では、この日だけで計5回の叱責があったとされています。
当該生徒は着替えながら泣き、ロッカーの私物を持ち帰りました。翌5日は登校せず、同日夜に死亡しました。
第三者委員会は、顧問による短期間の強い叱責が心理的負荷を蓄積させ、当該生徒の対応力や判断力を大きく低下させたと認定しました。
報告書は、顧問の言動について、通常の部活動指導の範囲を超え、生徒の尊厳を傷つけるものだったと位置づけています。
柔道部では、副顧問が十分に関与していませんでした。第三者委員会は、単独顧問の影響力が強く、外部の目が入りにくい閉鎖的な部活動環境だった点も問題視しました。
学校側の対応にも課題がありました。管理職は、顧問の強い言動や部活動内での影響力を把握しながら、十分な改善につなげられませんでした。
さらに、同校では過去にも生徒の死亡事案がありました。第三者委員会は、その教訓が学校運営や部活動管理に十分生かされず、危険な兆候を組織として早期に把握する体制が機能していなかったと指摘しました。
県教委は5月18日、県立高校の校長らを集めた緊急研修会を開催しました。研修では、副顧問の役割を明確にすること、生徒との定期的な1対1面談を行うこと、部活動の状況を把握するアンケートを実施することなどが示されました。
県教委は今後、県立高校を対象に部活動の実態調査を進めます。生徒や保護者、退部した生徒の声も含め、部活動内で過度な指導が行われていないか確認するとしています。
今回の認定は、部活動における「厳しい指導」と生徒の心理的負荷の関係を、教育行政が明確に認めた事案です。
単独顧問に任せきりの指導、異議を言いにくい部活動内の空気、管理職による把握不足は、新潟県内だけの問題ではありません。全国の学校現場にとっても、部活動指導のあり方を見直す重い契機となります。
合わせて読みたい
編集部まとめ
新潟県立新潟工業高校柔道部の男子生徒が2024年6月に死亡した問題で、県教委の第三者委員会は2026年4月27日、顧問教諭による行き過ぎた指導を主な要因とする**「指導死」と認定しました。県内初の認定です。男子生徒は試合敗退後、複数日にわたって大声で叱責され、死亡前日には計5回**の叱責を受けていました。第三者委員会は、人格を否定するような言動や単独顧問による閉鎖的な指導環境、学校側の対応不足を指摘しました。県教委は5月18日に緊急校長研修を開き、副顧問の活用、定期面談、部活動アンケートの実施を求めました。
Q. 新潟工業高校柔道部の問題で何が認定されましたか?
A. 新潟県教委の第三者委員会は、顧問教諭による行き過ぎた指導が男子生徒の死亡の主な要因だったとして、県内で初めて「指導死」と認定しました。
Q. 男子生徒はどのような指導を受けていたとされていますか?
A. 試合敗退後、顧問教諭から大声で叱責を受け、その後も複数日にわたって叱責が続きました。死亡前日には計5回の叱責があったとされています。
Q. 第三者委員会は何を問題視しましたか?
A. 人格を否定するような言動、短期間で繰り返された叱責、副顧問が十分に関与しない閉鎖的な部活動環境、学校側の対応不足を問題視しました。
Q. 新潟県教委はどのような再発防止策を示しましたか?
A. 県立高校の校長らを対象に緊急研修を行い、副顧問の役割明確化、生徒との定期面談、部活動アンケートの実施などを求めました。

コメント