「自分の裁判で証言する」数分で退廷 事件の核心語られず
北海道江別市の公園で、千歳市の大学生・長谷知哉さんが集団暴行を受け死亡した事件の裁判員裁判で、主犯格とされる川口侑斗被告が5月26日、証人として札幌地裁に出廷した。
しかし、裁判長から宣誓を求められると、川口被告は拒否した。
「もう少しで自分の裁判がある」と述べ、自分の裁判で話す考えを示したうえで、短時間で法廷を退いた。
事件の核心に関わる人物とされる被告が、証人として法廷に立ちながら、宣誓を拒んで証言しなかった。裁判員、遺族、傍聴人にとっても、重い場面となった。
この裁判は、強盗致死などの罪に問われている6人のうち、川村葉音被告ら3人を対象に開かれている。5月25日の初公判では、3人が起訴内容を認め、審理は量刑判断に移っている。
起訴内容などによると、被告らは2024年10月、江別市内の公園で長谷さんに暴行を加え、現金やクレジットカードなどを奪い、死亡させたとされる。検察側は、暴行が複数回にわたり長時間続いたことや、暴行時の音声、動画などを法廷で示している。
その中で、川口被告は事件の主導的な立場にいたと指摘されている。
だからこそ、26日の証人尋問では、暴行が始まった経緯、誰が主導したのか、被害者に対して何が行われたのかが語られる可能性があった。
だが、川口被告は宣誓を拒否した。
これにより、少なくともこの日の法廷では、事件の中心部分に関する直接の証言は得られなかった。
もちろん、被告には自分の刑事責任に関わる供述を慎重に扱う権利がある。今後、自分自身の裁判を控えている以上、証言による影響を避けたいという判断もあり得る。
一方で、遺族にとっては、なぜ長谷さんが呼び出され、なぜ暴行が止まらなかったのか、誰が何をしたのかを知りたいはずだ。
今回の宣誓拒否は、法的な権利の問題であると同時に、遺族が知りたい事実にたどり着く難しさも示した。
川口被告の初公判は7月に予定されている。
そこで何を語るのか。どこまで事件の経緯を説明するのか。今回の証人出廷と宣誓拒否を経て、次の裁判への注目はさらに高まる。
この事件は、若者同士の交際トラブルが、集団暴行、強盗、死亡という重大事件に至ったとされる。
SNSでつながり、仲間内で集まり、暴行が止まらないまま命が奪われた。そこには、周囲が止めなかった問題、暴行を撮影する感覚、被害者を人として扱わない異常さがある。
裁判で問われているのは、被告一人ひとりの刑だけではない。
若者の集団がなぜ一人の命を奪うまで止まらなかったのか。暴力を見ていた者、加わった者、止めなかった者の責任を、司法がどこまで見極めるのかが問われている。
合わせて読みたい
集団暴行事件はなぜ止まらないのか|「見ていた人」の責任と若者事件の危険な空気
集団暴行では、最初に手を出した人物だけでなく、周囲にいた人物の行動も重要になります。止めなかった人、撮影した人、あおった人が事件を深刻化させる理由を整理します。
編集部まとめ
江別市の大学生集団暴行死事件の裁判で、主犯格とされる川口侑斗被告が証人として出廷したが、宣誓を拒否し、数分で退廷した。
川口被告は、自分の裁判で証言する考えを示したものの、この日の法廷では事件の核心に関する証言は得られなかった。
川村葉音被告ら3人は初公判で起訴内容を認めており、今後は量刑判断が焦点となる。川口被告自身の裁判で、事件の経緯と関与について何が語られるのかが注目される。
事件のポイントQ&A
Q1. 江別大学生集団暴行死事件とは何ですか?
北海道江別市内の公園で、千歳市の大学生・長谷知哉さんが複数人から暴行を受け、死亡した事件です。男女6人が強盗致死罪などで起訴されています。
Q2. 今回の公判で何が起きたのですか?
主犯格とされる川口侑斗被告が、別の被告らの裁判に証人として出廷しました。しかし、裁判長から宣誓を求められると拒否し、「自分の裁判で証言する」と述べて退廷しました。
Q3. 宣誓拒否とは何ですか?
証人が法廷で真実を述べることを誓う手続きに応じないことです。今回、川口被告は自身の裁判を控えていることを理由に、証人としての証言を行いませんでした。
Q4. なぜ異例とされるのですか?
事件の中心人物とされる被告が証人として法廷に出たにもかかわらず、事件の経緯や暴行の主導状況について語らなかったためです。遺族や裁判員にとって、事件の核心に触れる機会が失われた形になりました。
Q5. 今後の焦点は何ですか?
川口被告自身の裁判で、暴行の経緯、誰が主導したのか、被害者に何が行われたのかがどこまで語られるかです。川村葉音被告ら3人の量刑判断も注目されます。

コメント