週刊TAKAPI編集部/担当記者:成田
身長113cmほどの9歳児童が、水深114〜132cmの中学校プールで水泳授業を受けていた。
高知市立長浜小学校の4年生だった松本凰汰さん(当時9)が水泳授業中に溺れて死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた当時の校長・中村仁也被告(56)に対し、高知地裁は17日、禁錮2年・執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
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事故は2024年7月5日に発生した。長浜小学校のプールろ過ポンプが故障していたため、児童らは近くの市立南海中学校のプールを使用。小学校のプールより水深が深い環境で、4年生2クラス合同の水泳授業が行われていた。
松本さんは、けのびやバタ足の練習中に溺れ、急性呼吸不全で死亡した。水深は114〜132cmほどとされ、身長113cm程度だった松本さんにとって、足が十分に届かない場所があった可能性がある。
起訴内容では、中村被告が教頭や担任教諭らに対し、人数確認、浮具の使用、泳力に応じた指導、安全確保の体制などについて、十分な指導・監督を怠ったとされた。
判決で裁判所は、松本さんが9歳で人生を突然終えることになった無念に触れ、過失の程度は大きいと指摘した。一方で、中村被告が起訴内容を認め、謝罪と反省の態度を示していたことなどを考慮し、執行猶予付きの判決とした。
この事故では、当時の体育主任だった元教諭にも、すでに禁錮1年4カ月・執行猶予3年の有罪判決が言い渡されている。さらに、高知市教育委員会側でも責任が問われ、教育長の辞職にまで発展している。
つまり、これは単なる「授業中の事故」ではない。
学校、管理職、担任、教育委員会が、深いプールを使うリスクをどこまで共有し、誰が最終的に止めるべきだったのかが問われた事故である。
SNS上では、判決を受けて保護者層を中心に厳しい声が広がっている。
「執行猶予で終わるのか」
「水深が深い中学校プールで小学生に授業をさせた判断が重すぎる」
「校長だけでなく教育委員会の責任も重い」
「現場の先生だけでなく、組織全体の問題ではないか」
一方で、「教員の負担が限界に来ている」「水泳授業を続けるなら監視員や補助員を増やすべき」といった声もある。責任追及と同時に、現場任せの安全管理が限界に来ているという見方も出ている。
検証では、代替プール使用の判断、教頭や担任との役割分担、泳力確認、監視体制、浮具の使用など、複数の安全対策の不備が指摘されてきた。プール設備が故障した時点で、通常とは違うリスクが発生していた。その異常事態を、学校全体でどこまで重く受け止めていたのか。
保護者が学校に求めるのは、立派な説明ではない。
朝送り出した子どもが、無事に帰ってくることだ。
水泳授業は、楽しい学校行事である一方、命に直結する教育活動でもある。今回の判決は、全国の学校と教育委員会に突きつけている。
「去年も大丈夫だった」「先生が見ているから大丈夫」では、子どもの命は守れない。
編集部まとめ
高知市立長浜小学校のプール事故で、当時の校長に禁錮2年・執行猶予4年の有罪判決が言い渡された。すでに元体育主任にも有罪判決が出ており、教育委員会側でも責任が問われている。
この事故の核心は、身長113cm程度の9歳児童が、水深114〜132cmほどの中学校プールで授業を受けていた点にある。代替プールの使用、泳力確認、浮具の準備、監視体制、教職員の役割分担。そのどこかで「危ない」と止める仕組みが機能していれば、結果は違っていた可能性がある。
この判決を、関係者だけの問題で終わらせてはならない。
全国の学校は、プール授業を再開する前に、深さ、人数、監視、補助具、緊急時対応を改めて点検すべきである。
子どもの命を預かる現場で、「想定外だった」は通用しない。
高知・長浜小プール事故判決の要点Q&A
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