ホテル代はなぜ下がらないのか 上場ホテル13ブランドで客室単価が全て上昇、夏休み・シルバーウィークも高止まりか

ホテル代が高いと感じる人が増えています。インバウンド需要と国内旅行の回復を背景に、国内ホテルの客室単価と稼働率はコロナ禍以降で最高水準となり、夏休みやシルバーウィークも宿泊料金が高止まりする可能性があります。

インバウンド需要と国内旅行の回復を背景に、国内ホテルの客室単価が上昇を続けています。

ホテル運営の上場12社、13ブランドを対象にした調査によると、2025年度の平均客室単価は1万7,818円となり、前年度から8.6%上昇しました。上昇額は1,424円です。

客室稼働率も83.3%と高水準を維持しており、コロナ禍以降で最も高い水準となりました。

ホテル代の上昇は、単に「旅行客が増えたから」だけではありません。訪日外国人旅行者の増加、国内旅行の回復、大型イベント需要、人件費や光熱費の上昇が重なり、ビジネスホテルやシティホテルの価格を押し上げています。

今年の夏休みやお盆、さらにシルバーウィークにかけても、主要都市や観光地では宿泊料金が高止まりする可能性があります。

上場ホテル13ブランドすべてで客室単価が上昇

2025年度の調査では、対象となった13ブランドすべてで、前年度より客室単価が上昇しました。

上昇率は、5%以上10%未満が9ブランドで最多。10%以上15%未満が3ブランド、15%以上20%未満が1ブランドでした。

なかでも上昇率が大きかったのは、阪急阪神ホールディングスの「阪急阪神ホテルズ」で、前年度比16.2%上昇しました。

一方で、2023年度から2024年度にかけては、10%以上15%未満の上昇が最も多かったことから、客室単価の伸びはやや落ち着きつつあるとみられます。

ただし、伸び率が鈍化しているだけで、ホテル代そのものが下がっているわけではありません。

稼働率も高水準 13ブランドすべて70%超

客室稼働率も高い水準が続いています。

2025年度の平均稼働率は83.3%で、前年度の82.3%を上回りました。対象となった13ブランドすべてが70%を超え、このうち8ブランドは80%台で推移しました。

特に、「ベストウェスタン」などを展開するポラリス・ホールディングスは90.2%と、唯一90%台の稼働率となりました。

ホテル業界では、人手不足や清掃・フロント業務の負担が続く一方で、客室を埋める需要は強く、稼働率を落とさずに単価も上がる状況が続いています。

つまり、旅行者にとっては「高いのに空いていない」、ホテル側にとっては「高くしても埋まる」という局面になっています。

インバウンドが価格を支える 2025年の訪日客は過去最多

客室単価を支えている大きな要因が、インバウンド需要です。

日本政府観光局によると、2025年の訪日外客数は4,268万人を超え、年間最多を更新しました。

また、観光庁の調査では、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円に達しました。国・地域別では、中国が2兆58億円で最も多く、台湾、韓国などアジア圏からの消費も大きな存在となっています。

ホテルにとって、訪日客は客室単価を維持しやすい重要な需要です。円安や日本旅行人気を背景に、海外からの旅行者が都市部や観光地の宿泊需要を押し上げています。

その一方で、国内旅行者からは「以前よりホテルが高くなった」「週末や連休に予約しづらい」といった実感も広がっています。

中国客減少でもホテル稼働が崩れにくい理由

一方で、2026年に入ると、中国からの訪日客は大きく減少しています。

2026年1〜4月の訪日外客数は1,437万5,800人で、前年同期比0.5%減となりました。全体としてはわずかな減少にとどまっていますが、中国市場の落ち込みが影響したとみられます。

それでも、ホテル稼働が大きく崩れていない背景には、中国以外の市場の伸びがあります。

韓国、台湾、米国、東南アジア、欧州などからの宿泊需要があり、インバウンド全体の需要はなお高水準です。特定の国・地域に依存しすぎないホテルほど、日中関係の悪化など外部要因の影響を受けにくいとみられます。

つまり、ホテル業界は中国需要の減少リスクを抱えながらも、訪日客全体の厚みと国内旅行需要によって、高い稼働率を維持している形です。

人件費・光熱費の上昇もホテル代を押し上げる

ホテル代が下がりにくいもう一つの理由が、コスト上昇です。

ホテル運営では、清掃、フロント、レストラン、設備管理など、多くの人手が必要です。人手不足が続くなか、人件費は上昇しています。

さらに、光熱費やリネン費、備品費、修繕費も上がっており、ホテル側はこれらのコストを客室単価に反映せざるを得ません。

そのため、需要が少し落ち着いたとしても、以前のような低価格に戻りにくい構造になっています。

旅行者から見ると「宿泊費が高すぎる」と感じやすい一方で、ホテル側から見ると「単価を上げなければ利益が残りにくい」状況でもあります。

夏休み・お盆・シルバーウィークはさらに高止まりか

2026年の夏から秋にかけては、国内旅行需要がさらに強まる可能性があります。

7月から9月は、夏休み、お盆、各地のイベント需要が重なる時期です。さらに祝日の並びによっては、シルバーウィークに長期休暇を取りやすい日程となり、国内旅行の予約が増える可能性があります。

都市部ではビジネス需要と観光需要が重なり、観光地では国内客と訪日客が同じ客室を取り合う形になります。

そのため、主要駅周辺、空港近く、観光地、イベント会場周辺では、早い段階から料金が上がることも考えられます。

旅行者はどう動くべきか

今後の旅行では、「直前に安く取る」よりも、早めに日程を決めて比較することが重要になります。

特に、夏休みや連休に旅行する場合は、ホテル代が高くなる前に候補を押さえる必要があります。

また、主要駅や観光地の中心部にこだわらず、少し離れたエリアを選ぶことで、宿泊費を抑えられる可能性があります。

平日泊、連泊割、早割、キャンセル無料プランの活用も選択肢になります。

ホテル代の上昇はしばらく続く可能性があり、旅行者側も「どこに泊まるか」だけでなく、「いつ予約するか」「どのエリアまで広げるか」が重要になりそうです。

このテーマで分かっていること

2025年度のホテル客室単価はいくらだったのか

上場ホテル運営12社、13ブランドの平均客室単価は1万7,818円でした。前年度から8.6%上昇しています。

客室稼働率はどのくらいだったのか

平均稼働率は83.3%で、前年度の82.3%を上回りました。対象13ブランドすべてが70%を超えています。

なぜホテル代が上がっているのか

インバウンド需要、国内旅行の回復、大型イベント需要、人件費や光熱費などのコスト上昇が重なっているためです。

インバウンド需要はどのくらい強いのか

2025年の訪日外客数は4,268万人を超え、過去最多を更新しました。訪日外国人旅行消費額も9兆円を超えています。

中国客の減少は影響しているのか

中国からの訪日客減少は一部で影響が出ているとみられますが、韓国、台湾、米国、東南アジアなど他市場の需要や国内旅行需要が支えとなり、ホテル稼働は高水準を維持しています。

今後ホテル代は下がるのか

需要が大きく落ち込まない限り、すぐに下がる可能性は低いとみられます。人件費や光熱費の上昇もあり、宿泊料金は高止まりしやすい状況です。

まとめ

国内ホテルの客室単価と稼働率は、コロナ禍以降で最も高い水準に達しています。

背景にあるのは、インバウンドの回復だけではありません。国内旅行の復活、イベント需要、人手不足、光熱費上昇が重なり、ホテル代は下がりにくくなっています。

特に、夏休み、お盆、シルバーウィークにかけては、都市部や観光地で宿泊料金が高止まりする可能性があります。

ホテル業界にとっては追い風が続く一方、旅行者にとっては早めの予約や宿泊エリアの見直しがより重要になりそうです。

本記事は、ホテル運営会社の開示資料をもとにした調査結果、観光庁および日本政府観光局の公表情報を参考に構成しています。今後の旅行需要、為替、国際情勢、各社の料金戦略によって状況が変わる可能性があります。

担当記者:松本

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