沖縄県宮古島市が発注した農地整備関連工事の入札を巡る贈収賄事件で、那覇地検は2026年8月13日、市職員の下地智博被告(52)を収賄罪で、建設会社の当時の社長だった冨永優被告(49)を贈賄罪でそれぞれ起訴しました。
下地被告は工事の最低制限価格を算出する基礎となる積算資料などを業者側に提供し、その見返りとして現金50万円を受け取ったとされています。
2人は7月に逮捕されており、今回の起訴によって事件は刑事裁判で事実関係が審理される段階に入りました。検察は2人の認否を明らかにしていません。
最低制限価格につながる「積算書」を提供したとされる
起訴内容によると、下地被告は2024年4月から2026年3月まで宮古島市農村整備課の調整官として、農村振興関係事業の整備などを担当していました。
問題となったのは2025年8月、市が発注した農地整備関連工事の入札です。
下地被告は、直接工事費などが記載された積算書などの資料を冨永被告側へ提供したとされています。これらは最低制限価格を算出する際の基礎となる情報で、入札価格を決める上で重要性の高い内部資料です。
検察側は、職務上知り得た情報を業者側へ渡した行為を便宜供与と位置付け、その対価として現金が授受されたとみています。
現金50万円 情報提供への謝礼と今後の便宜目的か
冨永被告は2025年8月ごろ、情報提供への謝礼に加え、今後も便宜を受けたいとの趣旨で現金50万円を下地被告に渡したとされています。
下地被告は50万円を受領したとして収賄罪に、冨永被告は現金を供与したとして贈賄罪に問われています。
事件を巡っては7月23日に2人が逮捕され、翌日に送致されていました。捜査機関は当初から、2人の関係や情報提供、現金授受までの経緯を調べていました。
最低制限価格と「1円単位で同額」の落札も
今回の事件では、過去の入札結果も注目されています。
宮古島市が公表している入札情報では、冨永被告が当時経営していた建設会社が2025年に落札した工事のうち、少なくとも2件で落札額が最低制限価格と1円単位で一致していたことが確認されています。
一つは約4297万円、もう一つは約6233万円の工事で、いずれも最低制限価格と同額で落札されていました。
ただし、これら2件の入札結果と今回起訴された現金授受との具体的な関係については、現時点で検察側から詳細は明らかにされていません。
入札結果だけをもって不正があったと判断することはできず、今後の裁判でどこまで関連性が立証されるかが焦点となります。
市職員逮捕で市長が謝罪 内部統制の検証へ
宮古島市では、市職員の逮捕を受けて市長が7月に記者会見を開き、市政への信頼を損なう事態として謝罪しました。
市は捜査への協力と並行して、職員の服務規律や法令順守、入札情報の管理方法などを検証する必要があります。
今回問題となったのが、最低制限価格の算出に影響する内部資料だったとすれば、単に職員個人の刑事責任だけではなく、誰が情報へアクセスできたのか、持ち出しや提供を防ぐ仕組みが機能していたのかも重要な検証対象となります。
刑事裁判とは別に、市がどのような懲戒処分や再発防止策を講じるのかも今後の焦点です。
起訴は有罪確定ではない 裁判で50万円の趣旨など審理へ
今回の起訴で検察側が主張しているのは、宮古島市の公共工事を巡り、市内部の積算情報が業者側へ提供され、その見返りなどとして50万円が授受されたという構図です。
一方、起訴は有罪判決が確定したことを意味するものではありません。
今後の刑事裁判では、積算資料がどのような経緯で提供されたのか、現金50万円が何に対する対価だったのか、下地被告と冨永被告の間でどのようなやり取りがあったのかなどが主要な争点になるとみられます。
編集部まとめ
宮古島市発注の農地整備関連工事を巡る贈収賄事件で、那覇地検は8月13日、市職員の下地智博被告(52)を収賄罪、建設会社の当時の社長だった冨永優被告(49)を贈賄罪で起訴しました。検察側は、最低制限価格の算出につながる積算資料の提供と、その見返りなどとして現金50万円が授受されたとしています。
過去には同社が落札した工事で最低制限価格と落札額が1円単位で一致した事例も確認されていますが、今回の起訴内容との具体的な関係は明らかになっていません。今後は刑事裁判と並行し、宮古島市の入札情報管理や内部統制の検証も焦点となります。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本記事は、捜査機関による逮捕・起訴内容、宮古島市が公表している入札情報など、8月14日時点で確認できる情報を基に整理しています。起訴は有罪の確定を意味するものではなく、被告2人の認否について検察は公表していません。
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