静岡県浜松市から、これまでのインフラメンテナンスの常識を変える可能性を持つ技術が生まれています。
その技術を開発しているのが、静岡県富士市に本社を置く株式会社トヨコーです。
トヨコーが手掛ける「CoolLaser(クーレーザー)」は、高出力レーザーを使って、橋梁や鉄塔などの表面に付着したサビや古い塗膜を除去する技術。
同社は、kWを超える高出力レーザーを使った錆・塗膜除去用装置として、世界で初めて屋外向けに開発した装置と説明しています。
では、トヨコーとはどのような会社なのでしょうか。
なぜ浜松でレーザー技術を研究しているのでしょうか。
今回は、トヨコーの会社情報からCoolLaserの仕組み、浜松との関係、そして今後の可能性まで詳しく紹介します。
株式会社トヨコーとは?まず会社概要を紹介
トヨコーは、1996年3月1日に設立された企業です。
本社は静岡県富士市青島町39にあります。
代表取締役CEOを務めるのは豊澤一晃氏です。
2025年3月には東京証券取引所グロース市場へ上場。証券コードは341Aです。
株式会社トヨコーの会社概要
会社名: 株式会社トヨコー
設立: 1996年3月1日
本社所在地: 静岡県富士市青島町39
代表者: 代表取締役CEO 豊澤一晃
上場市場: 東京証券取引所グロース市場
証券コード: 341A
資本金: 5億6,300万円(2026年6月30日時点)
主な事業: CoolLaser事業、SOSEI事業
浜松研究所: 静岡県浜松市浜名区宮口
HAMAMATSU BASE: 静岡県浜松市浜名区平口
トヨコーの大きな特徴は、単純に建設工事を請け負う会社ではなく、インフラの老朽化という社会課題に対して独自技術でアプローチしていることです。
現在の主力事業は、大きく分けて「CoolLaser」と「SOSEI」の2つです。
トヨコーの「CoolLaser」とは?
CoolLaserは、レーザーを使ってサビや古い塗膜を除去する技術です。
橋梁や鉄塔などの鋼構造物は、年月が経過すると表面にサビが発生します。
また、補修工事では古い塗膜を取り除き、新しい塗装を施す必要があります。
これまではブラストなどの工法が使われてきました。
ブラストは研削材を対象物に吹き付けて表面を処理する方法です。
一方、CoolLaserはレーザーの光エネルギーを利用して表面のサビや塗膜を除去します。
トヨコーが開発した特徴的な技術が、レーザーを高速で円状に動かしながら照射する方法です。
単純にレーザーを一点へ当て続けるのではなく、独自の照射技術によって対象物の表面を処理します。
なぜCoolLaserは「世界初」なのか?
「トヨコー 世界初」というキーワードで検索すると気になるのが、CoolLaserの「世界初」という特徴です。
トヨコーによれば、CoolLaserは、kWを超える高出力レーザーを使った錆・塗膜除去用装置として、世界で初めて屋外向けに開発された装置とされています。
ここで重要なのは「屋外向け」という点です。
レーザー技術そのものは決して新しいものではありません。
工場の製造ラインなどでは、さまざまなレーザー技術が利用されています。
しかし、橋梁や鉄塔などのメンテナンス現場は屋外です。
雨、風、ホコリ、温度変化などがあります。
さらに、橋の上や鉄塔などでは、装置を現場まで運び、作業員が実際に使用しなければなりません。
そのため、
「レーザーを使ってサビを取れる」
ことと、
「高出力レーザーを屋外の工事現場で実用化する」
ことには大きな違いがあります。
トヨコーが目指したのは、研究室の中だけで動くレーザーではなく、実際のインフラメンテナンス現場で使えるレーザーだったといえるでしょう。
なぜトヨコーは浜松でレーザー技術を開発している?
トヨコーを語るうえで欠かせないのが、浜松市との関係です。
トヨコーは2008年にCoolLaserの開発に着手。
同年、光産業創成大学院大学との共同開発をスタートさせました。
そして2014年には、CoolLaserの開発拠点として浜松研究所を開設しています。
現在も浜松研究所は、トヨコーのレーザー技術開発における重要な拠点です。
さらに、HAMAMATSU BASEではCoolLaserの製造やメンテナンスを担っています。
つまり浜松は、
研究開発だけでなく、製造・メンテナンスにも関わる拠点
となっています。
浜松と「光技術」の深い関係
なぜトヨコーが浜松をレーザー技術の拠点として選んだのでしょうか。
その背景には、浜松が持つ光産業・光技術の集積があります。
浜松は自動車や二輪、楽器などのものづくりで知られていますが、それだけではありません。
光技術の研究や産業も浜松の重要な技術分野の一つです。
トヨコーと光産業創成大学院大学との共同開発は、その象徴的な事例といえるでしょう。
建設・土木という「現場産業」と、レーザーという「先端技術」。
この2つを組み合わせたことが、CoolLaser誕生の大きなポイントです。
CoolLaserは橋梁や鉄塔のサビをどうやって取る?
CoolLaserの主な対象となるのが、橋梁や鉄塔などの鋼構造物です。
橋などの鉄製構造物は、長期間にわたって雨や風にさらされることで劣化していきます。
そこで定期的な点検や塗装、補修が必要になります。
塗装をやり直す場合、古い塗膜やサビを取り除く工程が重要になります。
CoolLaserは、その工程にレーザーを利用します。
トヨコーによれば、CoolLaserは最大5.4kWの高出力レーザーを採用。
レーザーを高速で円状に照射することで、サビや塗膜を除去します。
ここでポイントになるのが、レーザーの「出力」だけではありません。
光をどのように動かし、どのように対象物へ照射するのか。
この光学・機械・制御技術の組み合わせが、CoolLaserの重要な技術になっています。
ブラスト工法と何が違う?環境面にもメリット
CoolLaserが注目されている理由は、「レーザーだから珍しい」というだけではありません。
従来のブラスト工法では、研削材を対象物に吹き付けます。
そのため、除去した塗膜だけでなく、使用した研削材なども廃棄物として処理する必要があります。
一方、CoolLaserは研削材を使用せず、レーザーによって表面を処理します。
トヨコーは、ブラスト工法と比較して産業廃棄物量を97%削減できると説明しています。
インフラの老朽化対策が全国的に増える中で、廃棄物の削減は重要なテーマです。
今後、橋梁などの補修工事が増えれば増えるほど、
「どれだけ効率的に補修できるか」
だけでなく、
「補修によってどれだけ廃棄物を出すのか」
という視点も重要になってくるでしょう。
トヨコーはレーザーだけではない!「SOSEI」とは?
トヨコーには、CoolLaser以外にも特徴的な事業があります。
それが「SOSEI(ソセイ)」です。
SOSEIは、老朽化した屋根に特殊な樹脂をスプレーコーティングすることで、屋根を再生・延命する技術です。
トヨコーは、
「壊して新しくする」のではなく、「今あるものを長く使う」
という考え方を事業の中核にしています。
CoolLaserはインフラのサビや塗膜を対象とし、SOSEIは屋根を対象とする。
一見すると別々の事業ですが、その根底にあるのは、既存の建物やインフラを長く使うという考え方です。
2025年に東証グロース市場へ上場したトヨコー
トヨコーの成長を考えるうえで、大きな転機となったのが2025年の株式上場です。
2025年3月28日、東京証券取引所グロース市場へ上場しました。
証券コードは341Aです。
設立から約30年を経て、独自技術を武器とする企業として株式市場へ進出したことになります。
さらに2026年には、UAE・ドバイから初の海外受注を獲得したことを同社が公表しています。
日本国内のインフラメンテナンスだけでなく、海外市場への展開も始まっています。
編集部の考察|トヨコーの本当の強みは「レーザー」ではない?
ここからは、週刊TAKAPI編集部の考察です。
トヨコーのCoolLaserを見ていると、「レーザー技術を持っている会社」というだけでは説明できない面白さがあります。
本当の強みは、
建設・土木の現場が抱える問題を、レーザーという異分野の技術で解決しようとしていること
ではないでしょうか。
レーザーそのものは以前から存在していました。
しかし、それを橋梁のサビ取りに利用する。
しかも屋外の工事現場で使用できるところまで技術を進化させる。
ここにトヨコーの独自性があります。
日本では今後、老朽化した橋梁やインフラの維持管理がさらに重要になります。
一方、建設業界では人手不足も大きな課題です。
そのため、
省力化
作業環境の改善
廃棄物削減
インフラの長寿命化
を同時に実現できる技術への需要は、今後さらに高まる可能性があります。
浜松発のレーザー技術は世界へ広がるのか?
トヨコーの本社は富士市ですが、CoolLaserの研究開発において浜松は重要な拠点です。
浜松研究所で研究開発を行い、HAMAMATSU BASEで製造・メンテナンスを行う。
この体制が整ったことで、浜松はトヨコーのレーザー事業を支える重要な地域になっています。
そして現在、CoolLaserは日本国内だけでなく海外展開も始めています。
2026年にはUAE・ドバイから初の海外受注を獲得。
今後、世界各国でインフラの老朽化が進めば、CoolLaserのような技術への需要が広がる可能性もあります。
まとめ|トヨコーのCoolLaserはインフラメンテナンスを変えるか
トヨコーの「CoolLaser」は、単純にレーザーでサビを取る技術ではありません。
その背景には、日本のインフラ老朽化、人手不足、環境負荷、メンテナンスコストといった社会課題があります。
トヨコーは1996年に設立。
2008年にCoolLaserの開発を開始し、2014年には浜松研究所を開設しました。
そして2025年には東証グロース市場へ上場。
2026年には海外初受注も獲得しています。
浜松の光技術と、建設・インフラメンテナンスを融合させたトヨコー。
「レーザーでサビを取る」という一見シンプルな技術が、将来的には日本だけでなく世界のインフラメンテナンスを変える存在になるのか。
今後のトヨコーとCoolLaserの動きに注目したいところです。
トヨコーとはどんな会社?
株式会社トヨコーは、静岡県富士市に本社を置く企業です。CoolLaser事業とSOSEI事業を展開しています。
トヨコーの本社はどこ?
本社所在地は、静岡県富士市青島町39です。
トヨコーの代表者は?
代表取締役CEOは豊澤一晃氏です。
トヨコーは上場している?
はい。2025年3月28日に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。証券コードは341Aです。
CoolLaserとは?
高出力レーザーを利用して、橋梁や鉄塔などのサビや古い塗膜を除去するレーザー施工装置です。
CoolLaserは世界初?
トヨコーは、kWを超える高出力レーザーを用いた錆・塗膜除去用装置として世界で初めて屋外向けに開発した装置と説明しています。
なぜ浜松で開発している?
2008年から光産業創成大学院大学との共同開発を開始し、2014年には浜松研究所を開設。浜松の光技術・研究環境を活用してCoolLaserの開発を進めています。
CoolLaserは何に使われる?
主に橋梁、鉄塔などの社会インフラのサビ・塗膜除去に利用されます。
トヨコーのもう一つの事業は?
老朽化した屋根を特殊樹脂で再生・延命する「SOSEI」事業があります。
トヨコーの今後は?
国内のインフラメンテナンス市場に加え、海外展開も進めています。2026年にはUAE・ドバイから初の海外受注を獲得したと同社が公表しています。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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週刊TAKAPI編集部:黒木
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