東京・港区の「麻布十番納涼まつり」で提供された「冷やし蟹ラーメン」による集団食中毒問題。
東京都は9月3日、患者123人を確認し、原因食品を「割烹こめを」が調理・販売した冷やし蟹ラーメン、病因物質をサルモネラ属菌と断定した。
問題を巡って批判を受けているのは、料理人・こめお氏だけではない。
こめお氏と別の蟹ラーメン専門店「かにを」を共同経営している実業家・溝口勇児氏にも、SNS上で厳しい視線が向けられている。
背景にあるのは、単なる友人関係ではない両氏の事業上のつながりと、食中毒発覚後に溝口氏が行ったある投稿だった。
週刊TAKAPIが、公表資料とこれまでの発信を整理する。
患者123人、3人が入院 行政が「食中毒」と断定
問題が起きたのは、8月22日と23日に東京都港区で開催された「麻布十番納涼まつり」
東京都によると、会場で販売された「冷やし蟹ラーメン」を食べた人から体調不良の訴えが相次ぎ、港区みなと保健所が調査した。
現在確認された患者は123人。
症状は下痢、腹痛、発熱などで、3人が入院したが、いずれもすでに退院している。
患者に共通する食事が問題の冷やし蟹ラーメン以外になかったことや、患者などからサルモネラ属菌が検出されたことなどから、保健所は食中毒と判断した。
原因施設として公表されたのは、
「割烹こめを」
営業者は株式会社Fooppy、代表者は大迫大将氏とされている。
行政は食品衛生法に基づき、9月3日から9日までの7日間、同店に営業停止を命じた。
こめお氏は謝罪 営業再開日は未定
こめお氏は9月3日、食中毒について謝罪。
その後YouTubeでも説明し、原因食品が冷やし蟹ラーメン、病因物質がサルモネラ属菌と判断されたことや、被害者への補償を進めていることを明らかにした。
また、
「説明したことで責任を果たしたとは考えていません」
などとして、再発防止と被害者対応を続ける姿勢を示している。
9月10日には、「割烹こめを」と浅草の「かにを」のスタッフとともに衛生講習を受けたことも公表。
店舗の消毒、衛生状態の検査、従業員の定期的な検便、食材管理などの見直しを進めているとしている。
ここで浮上する「かにを」と溝口勇児氏
今回の問題を整理するうえで重要なのが、「割烹こめを」と「かにを」は同じ店舗ではないという点だ。
食中毒の原因施設として行政処分を受けたのは、港区麻布十番の「割烹こめを」。
一方、「かにを」は2026年5月に東京・浅草でオープンした蟹ラーメン専門店だ。
そして、この「かにを」について、オープン時のプレスリリースには、こめお氏と溝口勇児氏による「共同経営」であることが明記されている。
つまり両氏の関係は、BreakingDownなどを通じた単なる交友関係だけではない。
実際に飲食事業をともに展開するビジネスパートナーでもある。
味づくりはこめお氏、運営・資金面は溝口氏
「かにを」の開業時に公表された資料では、両者の役割についても説明されている。
商品・味づくりについては、こめお氏が主導。
一方、
「運営・資金面においてはWEIN/BACKSTAGE Groupの溝口氏がバックアップ」
する開発体制だったとされている。
約2年間にわたって検証と改良を重ねた事業だという。
この点から見れば、溝口氏は「こめお氏と仲が良い著名人」ではなく、少なくとも浅草「かにを」においては経営に関係する人物である。
食中毒を受け「かにを」のイベント出店も中止
今回の食中毒による影響は、行政処分を受けた「割烹こめを」だけにとどまらなかった。
「かにを」が出店予定だった「東京カレー万博2026」と「大つけ麺博 presents ラー1グランプリ」は9月3日、相次いで出店取りやめを発表した。
いずれも麻布十番納涼まつりでの食中毒問題と関係機関の発表を受けた判断としている。
つまり法人・店舗として行政処分を受けた主体とは別でありながら、こめお氏が経営する別事業にまで信用面で影響が波及した格好だ。
溝口氏「こめおに少しだけ優しくして」に批判
そして、溝口氏自身にも批判が向けられるきっかけとなったのが、9月4日のX投稿だった。
溝口氏は自身のBreakingDownでの試合に触れながら、アンチに対し、自分が試合に勝った場合には
「こめおに少しだけ優しくして」
ほしいという趣旨を投稿した。
投稿はネットニュースでも取り上げられ、SNSではさまざまな反応が広がった。
中でも、
「78人が被害に遭った食中毒事故と試合を結びつけるのは違うのではないか」
「まず被害者への向き合い方を考えるべきではないか」
といった趣旨の批判がみられた。
もちろん、SNS上の批判そのものが事実認定になるわけではない。
ただ、大規模な食中毒事故が公表された直後だったこともあり、被害者への配慮と、友人・共同経営者を擁護する発信とのバランスが問われた形だ。
「共同経営」だから食中毒の責任もあるのか
ここは慎重に整理しなければならない。
現時点で、溝口氏が今回の食中毒そのものに関与したとする公的な発表は確認されていない。
東京都が原因施設として公表しているのは麻布十番の「割烹こめを」で、営業者は株式会社Fooppy。
溝口氏との共同経営が公表されている浅草「かにを」とは、少なくとも行政上の原因施設は異なる。
したがって、
「溝口氏が共同経営者だから今回の食中毒にも責任がある」
と直結させることはできない。
ここは明確に分ける必要がある。
それでも溝口氏の名前が出る理由
一方で、「まったく関係のない第三者」と整理するのも実態とは異なる。
浅草「かにを」は、こめお氏と溝口氏による共同経営として公表されており、溝口氏が運営・資金面をバックアップする事業として立ち上げられた。
さらに今回の問題後、こめお氏は「割烹こめを」と「かにを」のスタッフ双方で衛生講習を受けたことを公表している。
店舗の緊急消毒についても、実施した事業者側が「溝口勇児氏の紹介」で両店舗の消毒を行ったとSNSで明らかにしている。
つまり今回の騒動を受け、浅草「かにを」の衛生管理にも対応が広がり、溝口氏もその周辺対応に一定の接点を持っていることがうかがえる。
ただし、これも「食中毒発生への関与」とは別の話だ。
問われるのは「誰が悪いか」だけではない
今回の問題で重要なのは、SNS上で誰か一人を攻撃することではない。
患者78人を出した食中毒事故を、飲食事業者としてどう受け止め、どのような原因検証と再発防止を行うのか。
そして、複数店舗・複数法人・共同経営者が関係する事業であれば、
「どの会社が何を運営し、誰がどこまで経営に責任を持っているのか」
を透明に説明することも、信頼回復には重要になる。
こめお氏自身は衛生管理について「十分ではなかった」と認め、スタッフへの衛生講習や検便、店舗消毒などの改善策を公表している。
次に問われるのは、それが一時的な対応で終わらず、実際の店舗運営にどう定着するかだろう。
週刊TAKAPI編集部まとめ
今回、行政が食中毒の原因施設として認定したのは「割烹こめを」であり、溝口勇児氏が共同経営する浅草「かにを」ではない。
この事実は明確に区別する必要がある。
その一方で、「かにを」はこめお氏と溝口氏の共同経営として公表され、運営・資金面を溝口氏がバックアップする事業である。
食中毒後には「かにを」のイベント出店も中止され、同店スタッフも衛生講習を受講するなど、影響はすでに別事業へ波及している。
さらに、溝口氏自身がこめお氏への批判を和らげるよう求める趣旨の投稿をしたことで、その姿勢にも批判が集まった。
食中毒への法的・行政上の責任と、共同経営者としての経営上・社会的な説明は同じではない。
だからこそ週刊TAKAPIでは、この2つを混同せず、今後も法人関係、店舗運営、衛生管理体制、両氏の経営上の役割について事実を積み上げて検証していく。
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