東京・文京区の個室マッサージ店で、当時12歳だったタイ国籍の少女に性的なサービスをさせたなどとして児童福祉法違反などの罪に問われた店の経営者、細野正之被告(52)に対し、東京地裁は9月15日、拘禁刑5年、罰金100万円の判決を言い渡した。
検察側は拘禁刑6年、罰金200万円を求刑していた。
細野被告はこれまでの裁判で「年齢は全く知りませんでした」と述べ、弁護側も少女のパスポートの確認をブローカーとされる女に任せていたなどとして、無罪を主張していた。
当時12歳の少女を店で働かせた罪
細野被告は、東京都文京区の個室マッサージ店で、タイ国籍の当時12歳の少女について必要な年齢確認をせず、自身に対してわいせつな行為をさせたほか、店を訪れた客に性的なサービスをさせた罪などに問われていた。
15日の判決で東京地裁は、弁護側の無罪主張を退け、細野被告に実刑を言い渡した。
少女は母親と来日、その日のうちに店へ
この事件では、少女が置かれていた状況も大きな問題となった。
これまでの報道によると、少女は2025年6月、母親とともに日本へ入国。その日のうちに店へ連れて行かれ、母親から客に性的なサービスをするよう言われたとされている。
その後、母親がいなくなり、少女は店の台所で寝泊まりしながら、およそ1か月にわたって多数の客を相手に性的サービスをさせられていたとみられている。
売り上げの一部は店側だけでなく、母親側にも渡っていたとされる。
少女の母親については警視庁も逮捕状を取得し、タイ当局も人身売買などの容疑で捜査を進めた。
「人身取引」なのに、なぜ人身売買罪ではないのか
今回の事件でもう一つ大きな論点となったのが、日本の刑法が定める「人身売買罪」の適用だった。
検察は細野被告らについて、人身売買罪で追起訴できるか検討していたものの、最終的には適用しなかったと報じられている。
刑法上の人身売買罪では、人を金銭などの対価と引き換えに「買い受けた」と認定できるかなどが重要になる。
今回、少女が働いて得た売り上げの一部が母親側に渡っていたとされる一方、その金銭を「少女を店側へ引き渡したことへの対価」と認定することが困難だったとみられている。
つまり、性的搾取を伴う「人身取引」と評価され得る事件であることと、日本の刑法上の「人身売買罪」が成立することは同じではない。
人身売買罪が適用されなかったからといって、人身取引や性的搾取の問題が否定されたことを意味するものでもない。
今回の事件をめぐっては、人身売買罪の適用の難しさや、日本の人身取引に対する刑事法制のあり方そのものについても議論が起きている。
12歳タイ人少女事件、判決のポイントは?
編集部まとめ
当時わずか12歳だった少女が、母親と来日した直後から性的サービスをさせられたとされる今回の事件。
東京地裁は店の経営者に拘禁刑5年、罰金100万円という実刑判決を言い渡した。
一方で、この事件が投げかけた問題は判決だけでは終わらない。
少女が店で働いて得た金銭の一部が母親側にも渡っていたとされ、検察も人身売買罪の適用を検討した。それでも「引き渡しの対価」と認定することが困難だったとみられ、同罪による起訴には至らなかった。
性的搾取を目的とした人身取引を、日本の刑事司法がどのような罪で捉え、処罰するのか。
12歳の子どもが国境を越えて連れて来られ、性的サービスをさせられたとされる事件だからこそ、「実刑になった」で終わらせず、人身取引を取り締まる現在の法制度が十分なのかについても検証が必要だ。
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