高知県教育委員会は15日、公立中学校に勤務する、いずれも31歳の男性教諭2人を懲戒処分とした。
一人は未成年女性にキスをするなどのわいせつな行為をしたとして、教員として最も重い懲戒免職。もう一人は、職場関係者の女性に口止めを迫ったとして逮捕され、その後、強要未遂罪で罰金20万円の略式命令を受けた教諭で、処分は戒告だった。
同じ年齢、同じ中学校教諭、そして同じ日に発表された二つの処分。
しかし、その重さは大きく異なった。
未成年女性にキスなど 懲戒免職
テレビ高知の報道によると、懲戒免職となったのは、公立中学校に勤務していた31歳の男性教諭。
教諭は未成年の女性と会い、車内やカラオケ店でキスをするなどのわいせつな行為をしたとされる。
県教委の調査に対し、教諭は未成年であることを認識した上で行為に及んだ趣旨の説明をしているという。
高知県教委は、この教諭を15日付で懲戒免職とした。
高知県では、児童生徒性暴力等防止法との関係を明確にするため、2023年に教職員の懲戒処分指針を改正している。
そこでは、児童生徒らへの「児童生徒性暴力等」に該当する行為について、原則として免職とする考え方が明示された。
そして重要なのは、ここでいう「児童生徒等」は自校の生徒だけを意味しないことだ。
県教委は、他校の児童生徒だけでなく、学校に在籍していない18歳未満の者についても対象に含めている。
今回の懲戒免職は、こうした厳格化された処分基準の延長線上にあるとみられる。
もう一人も31歳 女性への「口止め」で逮捕
同じ15日、県教委は別の公立中学校に勤務する31歳の男性教諭についても処分を発表した。
こちらの教諭は今年6月、職場関係者の女性に対して口止めを迫ったとして、強要未遂の疑いで逮捕された。
その後、強要未遂罪で略式起訴され、罰金20万円の略式命令を受けている。
県教委が今回下した懲戒処分は「戒告」だった。
懲戒免職、停職、減給、戒告。
地方公務員の懲戒処分の中で戒告は、職員としての身分を失わせる免職とは大きく性質が異なる。
「逮捕されたのに戒告」は軽いのか
ここは、今回のニュースで最も読者が疑問を持ちやすいところだろう。
「逮捕され、罰金刑まで受けたのに戒告なのか」
一方で、懲戒処分の重さは「逮捕されたかどうか」だけで機械的に決まるものではない。
刑事手続きと地方公務員法上の懲戒処分は別の制度であり、行為の内容、悪質性、結果、職務との関係などを踏まえて行政側が処分を判断する。
つまり、
「逮捕=懲戒免職」
ではない。
だからこそ今回、県教委には「なぜ戒告と判断したのか」を社会に分かる形で説明することが求められる。
処分が妥当かどうかを論じるためにも、まず必要なのは、その判断過程の透明性である。
一方は「免職」、一方は「戒告」
今回の二つの処分を並べると、高知県教委の懲戒制度が何を重く見ているのかが浮かび上がる。
未成年者へのわいせつ行為については、教員という職業が児童生徒と日常的に接する立場にあることも踏まえ、極めて厳しい処分体系が敷かれている。
高知県教委自身、児童生徒性暴力等に該当する行為は「免職」とすることを処分指針上で明確にしている。
これは単なる私生活上の問題として扱うのではなく、教育に対する信用そのものを損なう行為として位置付けているということでもある。
対して、強要未遂事件をめぐる教諭には戒告。
刑事処分の有無だけを比較すれば分かりにくく見えるが、行政上の懲戒では、それぞれの非違行為の性質を個別に評価する。
今回のニュースで見るべきなのは、「31歳の教諭2人が処分された」という事実だけではない。
教育委員会が、何を理由に免職とし、何を理由に戒告にとどめたのか。
そこにこそ、公教育を担う教職員に求められる規律の現在地が表れる。
教員不祥事は「処分して終わり」でいいのか
もう一つ考えなければならない。
教員による不祥事が発覚するたび、教育委員会は謝罪し、処分を発表し、再発防止を掲げる。
だが、本当に問われるべきなのは処分発表の翌日からだ。
未成年者との私的な接触について、学校や教育委員会はどのようなルールを設けているのか。
教職員への研修は、単なる形式的な注意喚起になっていないか。
不適切な行動の兆候を同僚や管理職が把握した場合、相談・通報できる仕組みは機能しているのか。
そして問題が起きた後、被害を受けた側への支援は十分だったのか。
懲戒免職という重い処分は必要な場合がある。
しかし、免職は再発防止策そのものではない。
一人の教員を教育現場から排除しただけで、同じことが二度と起きない保証にはならないからだ。
週刊TAKAPI編集部
今回、高知県教委が未成年女性へのわいせつ行為に対して懲戒免職としたことは、県が定めている厳格な処分方針に沿ったものと考えられる。
一方、もう一人の教諭は、逮捕され、強要未遂罪で罰金20万円の略式命令を受けながら、懲戒処分は戒告だった。
もちろん、刑事処分と懲戒処分を単純に比較することはできない。
だからこそ教育委員会には、「処分しました」という結果だけでなく、なぜその処分なのかを説明する責任があるのではないか。
教員不祥事の記事で本当に重要なのは、処分された教員を必要以上にさらすことではない。
被害を受けた人を守ること。そして、同じことを繰り返させない仕組みをつくることだ。
二人の31歳教諭への処分を、一日だけの不祥事ニュースで終わらせてはならない。
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