中古ホビーショップ「駿河屋」が運営する「駿河屋メルカリ店」で同人誌が出品され、SNS上で「メルカリの禁止出品物に当たるのではないか」と疑問視する声が広がっている。
メルカリのガイドでは、許諾なくキャラクターなどを使用した同人誌を「知的財産権を侵害するもの」の例として明記している。一方、同人誌には完全なオリジナル作品もあり、すべての同人誌が一律に禁止されているわけではない。
問題の焦点は、駿河屋が出品した商品の中に、既存作品を題材にした二次創作同人誌が含まれているかどうかだ。
駿河屋メルカリ店で同人誌を販売
メルカリ上では2026年9月14日現在、「駿河屋メルカリ店」が出品者となっている複数の同人誌を確認できる。
出品商品には「オリジナル」と記載された作品がある一方、ゲーム作品「To Heart」の名称を掲げた中古同人誌など、既存作品を題材にしているとみられる商品も掲載されている。
SNSでは同人誌の作者や利用者から、二次創作同人誌の出品はメルカリのガイドに抵触する可能性があるとして、商品ページからの通報や両社への問い合わせを求める投稿が相次いだ。
Yahoo!リアルタイム検索でも、この問題を巡る投稿が短時間に広がり、話題としてまとめられている。ただし、SNS上の「規約違反」という評価は利用者側の指摘であり、メルカリが個々の商品について違反認定したことを意味するものではない。
メルカリの規定は「同人誌すべて」を禁止しているのか
メルカリは、禁止されている出品物の一つとして「知的財産権を侵害するもの」を挙げている。
具体例には、次の記載がある。
許諾なくキャラクターなどを使用したハンドメイド品、同人誌など
このため、既存の漫画、アニメ、ゲームなどのキャラクターを権利者の許諾なく使用した二次創作同人誌は、禁止出品物と判断される可能性がある。
一方、「同人誌」は自主制作された出版物全般を指す言葉であり、第三者のキャラクターや作品を使っていない一次創作も存在する。したがって、「同人誌という名称だけで規約違反になる」と断定するのは正確ではない。
個別商品が規約に抵触するかどうかは、題材、権利者からの許諾の有無、商品説明などを踏まえてメルカリ側が判断することになる。
メルカリと駿河屋は2025年に資本業務提携
今回の問題が大きく注目された背景には、駿河屋とメルカリの関係がある。
両社は2025年12月17日に資本業務提携契約を締結。駿河屋が保有するエンタメ・ホビー商品の在庫をメルカリのマーケットプレイスへ連携し、「駿河屋メルカリ店」で販売する取り組みを進めている。
駿河屋側の発表によると、国内向けの公式ECサイトを「駿河屋.jp」と「メルカリ駿河屋店」に集約し、駿河屋.jpの全商品をメルカリ側でも購入できる仕組みを掲げていた。
この「全商品の在庫連携」によって、駿河屋では従来から扱ってきた中古同人誌も、メルカリへ機械的に掲載された可能性がある。ただし、これは公開情報から考えられる一つの可能性であり、両社が出品経緯を説明したものではない。
作者が「フリマアプリでの転売禁止」と記載した作品も
SNS上では、自身が制作した同人誌が駿河屋メルカリ店に掲載されていることを確認した作者からも困惑の声が出ている。
中には、同人誌の奥付に「フリマアプリでの転売禁止」と記載していたと説明し、メルカリへの通報と駿河屋への問い合わせを行ったとする投稿もある。
もっとも、作者が独自に記載した「転売禁止」という条件と、中古品の所有者が持つ処分・譲渡の権利、メルカリの利用規約、原作の著作権問題は、それぞれ別の論点である。
作者の希望に反した出品であることだけをもって、直ちに法律違反だと断定することはできない。一方で、プラットフォームの利用規約に反するかどうかは、メルカリが独自に判断できる。
「中古販売」と「二次創作の権利問題」は分けて考える必要
正規に入手した本を中古品として販売する行為は、一般的には著作権者の許可なく行える場合がある。著作権法上の「譲渡権」は、適法に譲渡された複製物について消尽するためだ。
しかし、二次創作同人誌そのものが原作のキャラクターや表現を許諾なく使用していた場合、その作品の制作・頒布に関する著作権上の問題は別に残る。
さらに、法律上直ちに違法と断定できない取引であっても、サービス事業者は安全性や権利保護のため、独自の規約で出品を制限できる。
今回問われているのは、単なる中古品売買の是非だけではない。メルカリが自ら定めた知的財産権保護の基準と、提携先から一括連携された商品をどのように整合させるかという、プラットフォーム運営上の問題でもある。
【編集部の考察】提携先だけ例外なら規約への信頼が揺らぐ
個人出品者の商品が削除や利用制限の対象になる一方、資本業務提携先の商品が同じ基準で審査されていないと受け取られれば、利用者の不信につながる。
特に駿河屋は、同人誌を含むホビー商品の取り扱いに長い経験を持つ専門事業者だ。メルカリ側も、提携時点で駿河屋の商品構成を把握していたと考えるのが自然だろう。
在庫を大量連携するのであれば、出品前に二次創作と一次創作を識別する仕組みや、許諾の確認が難しい商品の除外基準を設ける必要がある。
一方、作品名が記載されているだけで無許諾の二次創作と決めつけることもできない。利用者による一斉通報だけに判断を委ねれば、適法・適正な商品まで削除される恐れがある。
メルカリと駿河屋には、今回指摘された商品がガイド上どのように扱われるのか、個人出品と公式ショップに共通の審査基準が適用されるのかを説明する責任がある。
現時点で、週刊TAKAPIは両社が今回のSNS上の指摘について公式見解を発表した事実を確認できていない。今後、商品の削除や出品範囲の見直しが行われるかが注目される。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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週刊TAKAPI編集部:黒木
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