東京都教育委員会は2026年9月2日、教職員らに対する懲戒処分など計8件を発令した。
区部の高校に勤務する53歳の男性主任教諭を懲戒免職としたほか、電車内で女性の身体を触ったとされる特別支援学校の主任教諭、眼鏡フレームを窃取した高校の主事、勤務校の生徒に定期考査の問題に関する情報を漏えいした中学校の主幹教諭らを停職処分とした。
さらに、特別支援学校では学校徴収金をめぐり、468万円余りの未返金や112万円余りの過誤払い、103万円余りの不明金を生じさせるなどしたとして、24歳の男性主事を停職3か月とした。当時の管理監督者2人も戒告処分を受けている。
週刊TAKAPIの調べによると、今回の8件は発生時期も内容も大きく異なる。一方、公表資料を読み解くと、「処分した」という結果だけでは見えてこない確認点もある。
20年以上前の行為は、どのような経緯で2026年の懲戒処分につながったのか。定期考査に関する情報は、なぜ計6回にわたって漏えいしたのか。そして学校徴収金をめぐる問題は、なぜ長期間にわたり防ぐことができなかったのか。
東京都教委が公表した処分内容から、学校現場の管理体制を含めて検証する。
53歳主任教諭を懲戒免職 2001年頃から当時の生徒と性行為
最も重い懲戒免職となったのは、区部の高校に勤務する53歳の男性主任教諭。
東京都教委によると、男性主任教諭は2001年11月頃から2004年3月頃までの間、自宅で当時の勤務校生徒と性行為を行った。
東京都教委は、被処分者の氏名や学校名を公表することで被害者が特定される可能性があるとして、被害者の人権に配慮し、氏名と学校名を非公表としている。
ここで注目されるのが、行為があったとされる時期と処分時期との隔たりだ。
行為は2001年から2004年頃とされる一方、懲戒免職の発令は2026年9月2日。最も古い時点からみれば20年以上が経過している。
公表資料では、東京都教委がこの事案をいつ、どのような経緯で把握したのか、調査を開始した時期や今回の処分に至るまでの経緯は示されていない。
被害者を特定し得る情報には最大限の配慮が必要である一方、長期間を経て処分に至った経緯は、今後確認すべき点の一つとなる。
電車内で女性の大腿部を触る 48歳主任教諭を停職6か月
特別支援学校に勤務する48歳の男性主任教諭は、停職6か月となった。
東京都教委によると、2025年10月21日、電車内で下車しようと歩き出した女性に対し、左手の指で女性の大腿部を着衣の上から触った。
男性主任教諭は事故後に退職願を提出しており、東京都教委は今回の処分発令と併せて辞職を承認した。
眼鏡フレーム3点、14万8500円相当を窃取
区部の高校に勤務する32歳の男性主事は、停職6か月となった。
処分理由によると、2025年6月24日と25日、商業施設内の眼鏡販売店で眼鏡フレーム3点、計14万8500円相当を窃取した。
東京都教委は2026年9月2日付で処分を発令した。
定期考査の情報を生徒へ「計6回」漏えい
学校教育そのものの公平性に関わる事案も含まれている。
区部の中学校に勤務する40歳の男性主幹教諭は、停職3か月となった。
東京都教委によると、2025年9月16日から11月17日までの間、勤務校の生徒に対し、定期考査の問題に関する情報を計6回漏えいするなどした。
ここで重要なのは、公表資料が「定期考査の問題そのものを渡した」としているわけではなく、あくまで「定期考査の問題に関する情報を計6回漏えいするなどした」としている点だ。
一方で、一度だけではなく約2か月間に計6回に及んでいる。
なぜ「6回」まで続いたのか
公表資料だけでは、漏えいした情報の具体的内容や、情報を受け取った生徒の人数、定期考査の結果への影響、学校側が事案を把握した経緯などは明らかになっていない。
また、一連の行為が後になってまとめて判明したのか、それとも途中で学校側が何らかの兆候を把握していたのかについても、公表資料からは確認できない。
定期考査は生徒の成績評価にも関係する。
情報漏えいによって考査の公平性に影響が生じなかったのか。問題に関する情報をどのように管理していたのか。なぜ計6回の漏えいに至ったのか。
処分内容だけでは分からない部分について、説明が求められる。
そして、もう一つの問題は「学校のお金」
今回の処分で、学校組織のチェック体制という観点から注目される事案がもう一つある。
特別支援学校では、学校徴収金をめぐって468万円余りの未返金、112万円余りの過誤払い、103万円余りの不明金が生じるなどしていた。
問題となった期間は、2022年5月上旬頃から2024年3月31日まで。
しかも、処分されたのは実務を担当した主事だけではない。
当時の管理監督者2人についても、適正な監督や指導を怠ったとして戒告処分が発令された。
なぜ長期間にわたって異常を把握できなかったのか。学校内部では、学校徴収金を誰が、どの段階で確認していたのか。
次ページでは、学校徴収金をめぐる問題と、管理監督者にまで処分が及んだ背景を詳しくみる。
