鹿児島市は9月25日、生活保護受給者の給与や年金などの収入を確定させる事務を適切に処理していなかったとして、担当職員2人と管理監督者4人の計6人を懲戒処分とした。
未処理となっていたのは計120件、金額は4101万6059円に上る。
ただし、この4101万円余りは現段階で確認された「未処理額」の合計であり、生活保護受給者への未支給額や市の損害額、被害額を意味するものではない。
市は今後、対象となった案件を精査し、追加支給が必要な金額や返還を求める必要がある金額を確定させるとしている。
61歳専門員 92件・3196万7948円を未処理
最も重い処分を受けたのは、健康福祉局の専門員(61)。
市によると、2021年度から2025年度にかけ、生活保護に関する事務92件を適切に処理していなかった。
未処理額は3196万7948円。
市は9月25日付で、この専門員を停職6カ月の懲戒処分とした。
対象となったのは、生活保護受給者から申告された給与や年金などの収入について内容を確認し、保護費への反映など必要な処理を行う事務だった。
58歳専門員も28件・904万8111円
もう1人は、現在は環境局に所属する専門員(58)。
当時は健康福祉局で生活保護事務を担当していた。
2022年度から2025年度にかけて計28件を適切に処理せず、未処理額は904万8111円だった。
市はこの専門員を減給10分の1・6カ月とした。
2人を合計すると、
120件
4101万6059円
となる。
ここで注意が必要なのは、「120件」をそのまま「120世帯」と読み替えることはできない点だ。同一世帯について複数の処理が含まれている可能性もあり、対象世帯数は現時点の公表情報では明らかになっていない。
2人とも未処理を認識
市の説明では、担当した2人はいずれも、処理すべき事務が残っていることを認識していた。
その理由については、通常業務に追われていたことに加え、周囲へ相談できなかったという趣旨の説明をしている。
単純な入力ミスや一時的な処理遅れではなく、未処理であることを認識しながら事務が残り続けていたことになる。
一方、120件それぞれについて、具体的にどの程度の期間処理が止まっていたのかは公表されていない。
61歳専門員の対象年度は2021年度から2025年度、58歳専門員は2022年度から2025年度となっているが、すべての案件がその期間を通して放置されていたという意味ではない。
係長3人を減給3カ月 課長1人を戒告
今回の処分は担当者2人だけにとどまらなかった。
市は管理監督責任を問い、
係長職3人を減給3カ月
課長職1人を戒告
とした。
担当職員を含め、処分対象は計6人となった。
管理職まで懲戒対象となったことで、今回の事案は担当者個人の事務処理だけでなく、進捗確認や管理監督のあり方も問題となった。
ただし、係長や課長がいつ未処理を把握したのか、未処理案件を定期的に確認する仕組みがどのようになっていたのかについては、現在確認できる公表情報では明らかになっていない。
4101万円余りは「被害額」ではない
今回の数字で最も慎重に扱う必要があるのが、4101万6059円という金額だ。
これは、収入認定など必要な処理が行われていなかった案件の金額を合計した「未処理額」とされる。
生活保護では、給与や年金などの収入が確認された場合、その内容を保護費に反映させる必要がある。
処理の結果によっては、本来より保護費が少なくなっていたケースについて追加支給が必要になる可能性がある。
逆に、本来より多く支給されていた場合には、返還の対象となる可能性もある。
つまり、
4101万6059円=受給者への未支給額
でも、
4101万6059円=市の損害額
でもない。
市は今後、120件を個別に確認し、追加支給や返還が必要となる金額を精査する。
実際の生活保護費への影響はこれから確認
今回の問題で、受給者に具体的な金銭的影響がどの程度生じたのかは、まだ確定していない。
追加支給が必要となる対象者が何人いるのか、返還が必要な案件はいくつあるのか、それぞれの総額はいくらになるのかも公表されていない。
生活保護費の停止や減額、過払いなど、受給者の生活へ直接影響する結果が生じていたかについても、今後の精査が必要となる。
未処理額の規模は4100万円を超えているが、最終的な影響額がどの程度になるかは別に確認する必要がある。
複数年度の未処理 管理体制も検証点に
今回、市は係長3人と課長1人についても懲戒処分とした。
61歳専門員の案件は2021年度から、58歳専門員の案件は2022年度から確認されている。
複数年度にわたって未処理案件が積み上がる中、どのような方法で事務の進捗を管理していたのかは重要な確認点となる。
未処理案件の一覧管理や処理期限の確認方法、上司による定期点検、内部監査などがどのように機能していたのかについて、現在の公表情報だけでは詳細は分からない。
担当者2人が「周囲へ相談できなかった」と説明していることからも、事務量だけでなく、職場内で問題を早期に共有できる体制がどうなっていたのかが今後の焦点となる。
横領や詐欺ではない 刑事手続も確認されず
今回確認されているのは、生活保護事務を適切に処理しなかったことに対する鹿児島市内部の懲戒処分だ。
現時点で、担当職員が公金を横領した、着服した、詐取したとする事実は確認されていない。
逮捕、告発、書類送検などの刑事手続が行われたとの公表情報もない。
金額が4100万円を超えているため金銭事件と誤解されやすいが、現段階で確認されているのは職務上の事務処理を怠った問題であり、横領や詐欺とは区別する必要がある。
編集部まとめ
鹿児島市の生活保護事務で、担当職員2人が計120件、4101万6059円分の収入認定などを適切に処理していなかったとして、担当者2人と管理監督者4人の計6人が懲戒処分となった。
61歳専門員は92件・3196万7948円で停職6カ月、58歳専門員は28件・904万8111円で減給10分の1・6カ月。さらに係長3人が減給3カ月、課長1人が戒告となった。
4101万円余りは現段階の未処理額であり、被害額や未支給額ではない。市は今後、追加支給や返還が必要となる実際の金額を精査する。
複数年度にわたる120件の未処理について担当職員だけでなく管理職にも処分が及んだことで、今後は個々の案件への影響とともに、進捗確認や管理監督の仕組みがどのように機能していたのかが焦点となる。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
この記事は、2026年9月25日に鹿児島市が公表した内容を基にする公開情報を照合して構成しています。
未処理額は、61歳専門員が92件・3196万7948円、58歳専門員が28件・904万8111円で、合計120件・4101万6059円です。
この金額は「未処理額」であり、受給者への未支給額、市の損害額、被害額と同義ではありません。
120件が何世帯に該当するのか、追加支給対象額、返還対象額、実際に受給者の生活保護費へどのような影響が生じたのかについては、市が今後精査するとしています。
現時点で横領、詐欺、着服などの行為や、逮捕、告発、書類送検といった刑事手続は確認されていません。

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