愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組動画クリエイター「東海オンエア」が、岡崎市にもたらした経済波及効果が、2016年から2025年までの10年間で369億1,000万円に上るとの推計結果が公表された。
岡崎市と所属事務所のUUUM株式会社が共同で実施した調査で、株式会社JTB総合研究所がアンケート調査や市の統計データをもとに算出した。
東海オンエアは2016年に初の「岡崎観光伝道師」に就任。動画に登場した場所をファンが訪れる「聖地巡礼」をはじめ、市と連携した周遊企画などが、長期間にわたって地域への来訪につながってきた。
東海オンエアの経済波及効果「369.1億円」 内訳は?
岡崎市が2026年9月17日に発表した資料によると、10年間の経済波及効果は369.1億円。
内訳は、
関連経済波及効果(市内観光消費額):351.4億円
岡崎市ふるさと納税商品額:3.9億円
岡崎関連グッズ売上高:13.8億円
となっている。
特に大きいのが、市内観光消費額に関連する351.4億円で、全体の9割以上を占める。
単純平均すると、10年間で年間約36.9億円規模となる計算だが、効果が毎年均等に発生していたわけではない。
公表された年別データでは、2016年は8.13億円だったのに対し、2025年には80億円にまで拡大したとされている。
なぜ岡崎市にこれほどの経済効果が生まれたのか
東海オンエアは2013年に結成され、全国的な知名度を獲得した後も岡崎市を活動拠点としてきた。
2016年には岡崎市から初の「岡崎観光伝道師」に任命され、市内を舞台とした動画の発信だけでなく、謎解き周遊企画やマンホール巡りなど市と連携した取り組みも行われてきた。
特徴的なのは、一般的な観光名所だけでなく、動画に登場した場所そのものがファンの目的地になっている点だ。
岡崎市も、市内を年間を通してファンが訪れ、シェアサイクルなどで「聖地」を巡る姿が見られるとしている。
内田康宏市長は9月17日の定例記者会見で、東海オンエアをきっかけに岡崎市へ移住したり、就職したりした若者もいると説明している。
369億円はどう計算した? ファン3万5744人などを調査
今回の369.1億円は、東海オンエアや岡崎市が単純に売上高を合計した数字ではない。
実施主体は岡崎市とUUUM株式会社、調査機関はJTB総合研究所で、アンケート調査と岡崎市の統計データを組み合わせて推計した。
調査では大きく2種類のアンケートを実施した。
一般生活者調査では、過去10年以内に岡崎市への旅行経験がある人を対象に、岡崎市来訪者の中に東海オンエアのファンがどの程度いるかを調べた。本調査のサンプル数は200人で、事前調査は1万人だった。
さらに東海オンエアファンを対象に、岡崎市を訪れた際の観光消費額を調査。2026年5月11~29日に公式Xを通じてアンケートを行い、3万5,744人から回答を得たとしている。
このため、「369.1億円」は東海オンエアが直接369億円を売り上げたという意味ではなく、ファンの来訪や観光消費などを基に算出された経済波及効果などを合計した推計値として見る必要がある。
「YouTuberの街」が観光資源に 岡崎市との10年間
東海オンエアと岡崎市の関係は、一時的なPR企画ではない。
2016年の観光伝道師就任から10年間、市内での動画撮影、聖地巡礼、市との共同企画、関連グッズなど、複数の接点が積み重ねられてきた。
市内に点在する動画ゆかりの場所をファンが巡ることで、特定の観光施設だけではなく、街そのものが目的地になっている点も特徴だ。
岡崎市が公表した351.4億円の市内観光消費関連の経済波及効果は、こうした長期的なファンの来訪が地域経済に与えた影響を数字で示したものといえる。
リーダー・てつやさん「これからも大好きな岡崎を」
東海オンエアのリーダー、てつやさんも今回の調査結果についてコメントを発表。
観光伝道師になって10年が経過したことに触れ、ファンが岡崎市を訪れたことで369.1億円の経済波及効果が生まれたとして感謝を示し、今後も岡崎を盛り上げていく考えを示した。
「369億円」が示すもの 地方都市×動画クリエイターの10年
今回の数字で注目したいのは、単発のイベントによる集客ではなく、動画クリエイターと自治体の関係が10年間継続していることだ。
東海オンエアの場合、活動拠点そのものが岡崎市であり、動画に街の日常的な風景や店舗などが登場する。その場所をファンが実際に訪れることで、「動画を見る」行動が「岡崎へ行く」という観光行動につながってきた。
一方、369.1億円はアンケートや統計データなどから算出された推計値であり、岡崎市に369.1億円の現金収入が直接発生したことを意味するものではない。
それでも、自治体と動画クリエイターによる長期的な取り組みについて、10年間という期間を対象に経済波及効果を数値化した今回の調査は、地域観光とネット発のコンテンツとの関係を考えるうえで興味深い事例となりそうだ。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
週刊TAKAPI編集部:黒木
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