【北海道・日高】子馬を押し倒し「殴る・蹴る」映像がSNS拡散 浜本牧場と40代従業員を書類送検、3月の炎上から7カ月

北海道日高町の浜本牧場と40代男性従業員が子馬虐待の疑いで書類送検された事件を伝えるニュース画像

北海道警は10月5日、北海道日高町の競走馬生産牧場「浜本牧場」と40代の男性従業員を、動物愛護法違反の疑いで書類送検した。

捜査関係者によると、男性従業員は2026年3月13日、牧場内で飼育していた子馬1頭に対し、殴る、蹴るなどの暴行を加えて虐待した疑いが持たれている。

警察は、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。書類送検は有罪確定を意味せず、今後は検察が起訴・不起訴を判断する。

発端は「仔馬カメラ」の配信映像

今回の事件が表面化したのは3月だった。

浜本牧場では、子馬の様子をインターネットで配信する「仔馬カメラ」と呼ばれる映像が公開されていた。

その配信の一部に、スタッフとみられる男性が生まれて間もない子馬を乱暴に扱う場面が映り込み、切り抜かれた映像がXなどのSNSで急速に拡散した。

当時の報道では、生後2〜3週間程度とみられる子馬を首付近から押し倒し、床に倒した状態で何度も殴るような場面が映っていたとされる。

また、男性が「コラ!ふざけるな!」などと怒鳴る声も記録されていたと報じられている。

SNS上に保存された映像や投稿では、子馬を引き倒す、押さえつける、殴る、蹴るような行為があったとして批判が集中した。

「しつけ」と説明 炎上がさらに拡大

問題を拡大させたのは、映像だけではなかった。

浜本牧場側は当時、公式Xで、人間の安全を守るための「しつけ」だとする趣旨の説明を投稿していた。

競馬専門メディアは、牧場側が暴力的行為を否定するのではなく、安全確保のための「躾」と説明したことで、批判がさらに強まったと伝えている。

SNS上では、競馬ファンだけでなく、生産牧場関係者や調教師らからも疑問や批判が相次いだ。

「馬の安全管理やしつけは必要だが、あの映像のような扱いはしない」といった趣旨の発信も確認され、単なるネット炎上ではなく、競馬業界内部からも問題視される事態へ発展した。

3月17日に謝罪 「正当化できるものではない」

その後、浜本牧場の公式Xアカウントは削除された。

3月17日には、「仔馬カメラ」のXアカウントを通じて牧場側の謝罪文が公表された。

謝罪文では、行為によって馬に「恐怖とストレスを与えてしまった」とし、しつけや管理を理由に正当化できるものではないとの趣旨を表明した。

当初の「しつけ」という説明から一転して、行為そのものを不適切だったと認める形となった。

SNSでは通報を求める動きも広がる

3月の動画拡散後、SNSでは北海道や警察、関係機関への通報を促す投稿が相次いだ。

問題動画を録画・保存したとする投稿もあり、牧場側へ説明を求める声が強まった。

一方で、SNS上には未確認情報や推測も多数含まれていたため、「以前から虐待が続いていた」「他の馬にも同様の行為があった」といった主張については、警察が認定した事実とは分けて扱う必要がある。

今回、北海道警が書類送検容疑として示したのは、3月13日に子馬1頭へ殴る、蹴るなどの暴行を加えた疑いだ。

なぜ映像はここまで拡散したのか

今回の特徴は、第三者による隠し撮りではなく、牧場側が公開していた配信映像そのものが発端だった点にある。

普段は子馬の成長を見守る目的で公開されていた映像の中に、問題視される行為が映り込んだことで、視聴者が保存し、切り抜き、SNSへ投稿した。

そのため、「内部告発」や匿名証言ではなく、実際の映像が先に存在し、その後に社会的な問題化と警察捜査が続いたという流れになった。

映像の存在が事件の社会的認知を大きく押し上げた一方で、SNSでは一部映像の切り抜きや再編集も広がったため、刑事責任については警察・検察が確認した事実に基づいて判断される。

競馬業界でアニマルウェルフェア議論

この問題は、競走馬生産現場における「しつけ」と「虐待」の境界についても議論を呼んだ。

競走馬は大型動物であり、人へのけがを防ぐための管理や訓練が必要になる。

一方、子馬は成長過程にあり、扱いには高度な知識と慎重さが求められる。

農林水産省の資料でも、馬を安全に取り扱う人材育成や適切な管理は競馬産業の重要課題と位置付けられている。

今回の事件は、安全管理を理由にした行為がどこまで許されるのかという問題を、業界外にも広く可視化した。

G1安田記念馬「ツルマルボーイ」を生産

浜本牧場は、2004年のG1安田記念を制したツルマルボーイを生産した競走馬生産牧場として知られる。

長く競走馬生産を手がけてきた牧場だったことも、今回の問題への注目を高めた要因の一つとなった。

3月のSNS炎上から10月の書類送検へ

今回の経緯を整理すると、

3月13日
問題となる行為が配信映像に記録されたとされる。

3月中旬
映像の切り抜きがSNSで拡散。「虐待ではないか」と批判が広がる。

3月16日前後
「仔馬カメラ」側が運営体制などの見直しを表明。

3月17日
浜本牧場側の謝罪文が公開され、公式Xアカウントも削除。

10月5日
北海道警が浜本牧場と40代男性従業員を書類送検。

約7カ月を経て、SNS上の問題から刑事手続きへと進んだ。

編集部まとめ

北海道警は、日高町の浜本牧場と40代男性従業員を動物愛護法違反の疑いで書類送検した。

書類送検容疑は3月13日、子馬1頭に殴る、蹴るなどの暴行を加えた疑い。

問題の発端となった「仔馬カメラ」の映像には、生後間もないとみられる子馬を押し倒し、何度も殴るような場面や、怒鳴り声が記録されていたと報じられている。

当初、牧場側は「しつけ」とする趣旨の説明をしていたが、その後謝罪。SNS上の批判や業界関係者の反応を経て、約7カ月後に刑事手続きへ進んだ。

今後は検察が起訴・不起訴を判断する。

週刊TAKAPI 編集部/黒木

特記事項

本記事は2026年10月6日時点で確認できた捜査関係者への報道、3月当時の報道、競馬専門媒体、公開SNS上の記録を照合して構成しています。

SNSで拡散された映像については、警察が書類送検容疑として認定した範囲と、SNS上で伝えられた内容を区別しています。

書類送検は有罪確定を意味しません。

QSNSで拡散した動画には何が映っていましたか?
A当時の報道では、生後2〜3週間程度とみられる子馬を押し倒し、床に倒した状態で複数回殴るような場面や、男性が怒鳴る様子が映っていたとされています。
Q動画はどこから拡散したのですか?
A牧場の子馬をインターネット配信していた「仔馬カメラ」の映像の一部が切り抜かれ、XなどのSNSで拡散しました。
Q牧場側は当初どう説明していましたか?
A人の安全を確保するための「しつけ」だとする趣旨の説明をしていましたが、その後謝罪し、不適切な行為だったとする趣旨の文書を公表しました。
Q何が書類送検の対象になったのですか?
A警察は、3月13日に子馬1頭に殴る、蹴るなどの暴行を加えた疑いについて、浜本牧場と40代男性従業員を書類送検しました。
Q今後どうなりますか?
A検察が捜査資料を確認し、起訴・不起訴を判断します。書類送検は有罪確定ではありません。

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