愛知県教育委員会が2026年10月13日に発表した2027年度(令和9年度)県立高校生徒募集計画で、全日制県立高校の募集定員が前年度より720人減少することが明らかになった。
県全体で募集規模が縮小する一方、豊橋市にある愛知県立豊丘高等学校の普通科は4学級から5学級へ、1学級増加する。
なぜ、県全体で生徒募集を減らす中、豊丘高校だけが増員されるのか。
週刊TAKAPI編集部は10月14日、愛知県教育委員会「愛知の学び推進課」に電話取材を実施した。
県担当者は、豊橋市の中学3年生が前年度より117人増加していることに加え、豊丘高校が県内でも特に進学希望者の多い高校であることを理由として説明した。
さらに、東三河地域では今回、募集学級を減らす県立高校がないことも明らかになった。
愛知県立高校の募集定員が720人減少 2027年度は3万6,320人に
愛知県教育委員会が発表した2027年度の県立高校募集計画によると、全日制県立高校の募集規模は次のとおりとなる。
【全日制県立高校の募集計画】
2026年度
募集定員:37,040人
募集学級数:926学級
2027年度
募集定員:36,320人
募集学級数:908学級
【前年度からの増減】
募集定員:720人減少
募集学級数:18学級減少
出典:愛知県教育委員会「2027年度県立高校生徒募集計画」(2026年10月13日発表)
県全体で募集規模が縮小する中、東三河では逆に募集学級数が増えるという特徴的な結果となった。
ただし、今回の増加は2027年度の募集計画に関するものであり、東三河の高校進学需要が長期的に増加し続けることを意味するものではない。
なぜ豊橋・豊丘高校は1学級増えるのか?県教育委員会に取材
週刊TAKAPI編集部は、県全体で18学級を削減する中、豊丘高校の普通科を増やす理由について県教育委員会に質問した。
取材に応じた愛知の学び推進課の担当者は、募集学級数の決定方法について、まず県全体の中学校卒業予定者数を把握し、全日制高校への進学見込みや公立・私立高校の受け入れ割合を踏まえて計算すると説明した。
その上で、地域ごとの生徒数や進学希望状況などを考慮し、各高校の募集学級数を決定しているという。
豊橋市の中学3年生が前年度より117人増加
今回、豊丘高校の募集学級数が増えた理由の一つが、豊橋市の中学3年生の増加だ。
県担当者によると、2026年度の豊橋市の中学3年生は、前年度と比較して117人増加している。
また、隣接する豊川市でも中学3年生が前年度より約100人増えているという。
県全体では生徒数の減少が見込まれる一方、豊橋市や豊川市では増加していることになる。
担当者は、豊橋市で増加する生徒の受け入れ先を確保する必要があるため、市内の県立高校で募集学級数を増やすことを検討したと説明した。
豊丘高校が選ばれた理由は「進学希望者の多さ」
では、なぜ豊橋市内の県立高校の中から豊丘高校が選ばれたのか。
この点について県担当者は、豊丘高校の進学希望倍率が高いことを挙げた。
豊橋市内の高校の中でも進学希望者が多いことから、同校の普通科を1学級増やす判断につながったという。
つまり、今回の増員は単純に県全体の生徒数だけで判断したものではない。
地域の中学3年生の増加と、学校ごとの進学希望状況の両方を踏まえた判断だったことが、今回の取材で明らかになった。
豊丘高校の進路希望倍率は4.46倍 県内で最も高い水準
今回の取材で特に注目されるのが、豊丘高校の進学希望状況だ。
県担当者によると、2026年10月9日に公表された「中学校等卒業見込者の進路希望状況調査(第1回)」では、豊丘高校の普通科が県内で最も高い進路希望倍率となった。
2026年9月10日時点の進路希望倍率は4.46倍。
前年度の同時期は3.68倍だったという。
【豊丘高校の進路希望倍率】
| 調査年度 | 進路希望倍率 |
|---|---|
| 2025年度 | 3.68倍 |
| 2026年度 | 4.46倍 |
| 増減 | 0.78ポイント上昇 |
※県教育委員会への電話取材による。第1希望・第2希望を合わせた進路希望状況であり、実際の高校入試における最終志願倍率とは異なる。
担当者は、豊丘高校について、例年多くの進学希望者が集まる高校であると説明した。
4.46倍は実際の入試倍率ではない
ここで注意したいのは、今回の4.46倍という数字が、実際の入試で確定した志願倍率ではないことだ。
この数字は、中学3年生を対象に実施した進路希望調査に基づくもので、第1希望と第2希望を合わせた希望状況を示している。
今後、生徒が進路を変更する可能性もあるため、実際の出願時の倍率とは異なる。
ただし、募集計画を検討する段階で、豊丘高校に多くの進学希望者が集まっていることを示す重要な資料となっている。
豊丘高校は前年に1学級減らしていた 2027年度は再び5学級へ
今回の取材では、豊丘高校の募集学級数が過去にも変更されていたことが分かった。
県担当者によると、豊丘高校は前年度の募集計画で1学級を減らしていたという。
今回の増員は、前年度に削減した1学級を再び増やす形となる。
担当者は、生徒数の増減などを踏まえ、毎年募集学級数を検討していると説明した。
そのため、今回5学級となったからといって、今後も同じ募集規模が維持されるとは限らない。
2028年度以降も5学級のままなのか?
週刊TAKAPI編集部は、今回の増員が一時的な措置なのか、それとも今後も5学級を維持する方針なのか質問した。
県担当者は、現時点では分からないと説明。
翌年度以降については、その年の中学校卒業予定者数や進学希望状況などを踏まえて、改めて判断するという。
したがって、2028年度以降も5学級が継続されると決まったわけではない。
東三河の県立高校は全体で1学級増 募集減の学校はなし
今回の取材では、東三河地域全体の募集計画についても確認した。
県全体では18学級減少するが、東三河地域では豊丘高校の普通科が1学級増える一方、募集学級数を減らす県立高校はないという。
県担当者は、東三河全体では前年度より1学級増加することになると説明した。
【2027年度の募集学級数の増減】
| 地域 | 前年度比 |
|---|---|
| 愛知県全体 | 18学級減 |
| 東三河地域 | 1学級増 |
| 豊丘高校普通科 | 1学級増 |
県全体で募集規模が縮小する中、東三河では逆に募集学級数が増えるという特徴的な結果となった。
ただし、今回の増加は2027年度の募集計画に関するものであり、東三河の高校進学需要が長期的に増加し続けることを意味するものではない。
県外からの進学希望者も増員の判断材料になるのか?
豊橋市は静岡県湖西市などに近く、県境を越えた通学も考えられる地域だ。
そこで週刊TAKAPI編集部は、県外からの進学希望者についても、募集学級数の決定に反映しているのか質問した。
県担当者は、県立高校については基本的に愛知県内の生徒を対象としているため、県外からの進学希望者は今回の募集計画では想定していないと説明した。
一方、私立高校については静岡県など県外から通学する生徒もいるとの認識を示した。
今回の豊丘高校の増員についても、基本的には愛知県内の中学生の人数や進学希望状況を踏まえた判断だという。
※県立高校の県外からの出願可否には個別の資格要件等が関係するため、詳細は県の入学者選抜要項を確認する必要がある。
【編集部の考察】少子化でも一律に高校の募集定員が減るわけではない
今回の取材で見えてきたのは、県全体の少子化と、個別地域の生徒数の動きが必ずしも一致しないということだ。
愛知県全体では2027年度の県立高校募集定員が720人減少する。
一方、豊橋市では中学3年生が117人増加している。
こうした地域差を踏まえれば、県全体の募集規模を縮小する中でも、特定の高校で受け入れ人数を増やす必要が生じることは十分に考えられる。
進学希望者が集中する高校への対応も課題
豊丘高校の進路希望倍率は4.46倍となっており、県内でも特に希望者が多い。
ただし、進路希望調査の倍率が高いことと、実際の入試で多数の不合格者が発生することは同じではない。
今後の進路変更や最終的な出願状況を確認する必要がある。
また、募集学級数を増やす場合には、教員配置や教室の確保など、学校側の受け入れ体制も重要になる。
今回の県教育委員会への取材では、こうした学校施設や教員配置への具体的な影響までは確認していない。
今後、募集学級数の変更が教育環境にどのような影響を与えるのかも注目される。
4学級160人から5学級200人へ増えることになる。
ただし、最終的な募集内容については県教育委員会が公表する正式な募集要項を確認してほしい。
募集枠が増えることは受験生にとって選択肢の拡大につながるが、実際の合格の難しさは出願者数や学力検査の結果などによって変わる。
募集定員が増えたことだけで、合格しやすくなると断定することはできない。
進路希望調査は受験生の希望を把握するためのものであり、最終的な出願状況とは異なる。
今後の調査結果や実際の志願状況を確認する必要がある。
まとめ|豊丘高校の増員理由は「地域の生徒増」と「高い進学希望」
今回、週刊TAKAPI編集部が愛知県教育委員会に直接取材したことで、豊丘高校の募集学級数が増える背景が明らかになった。
県全体では募集定員が720人減少する一方、豊橋市では中学3年生が117人増加している。
さらに、豊丘高校は進路希望倍率4.46倍と、県内でも特に多くの希望者が集まる学校となっている。
県教育委員会は、こうした地域の生徒数と進学希望状況を総合的に判断し、普通科を4学級から5学級へ増やすことを決めた。
東三河全体でも募集学級数は1学級増加する。
今後は、今回の募集枠拡大によって実際の志願状況がどのように変化するのかが注目される。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
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