中国産のウナギを使いながら、店内メニューや通販サイトで愛知県一色町や三河から仕入れたと表示したとして、京都府警は10月20日、京都市のウナギ料理店「土井活鰻」を運営する会社の代表取締役、土井貴史容疑者(54)を不正競争防止法違反(誤認惹起表示)の疑いで逮捕した。
府警によると、店では2025年7月、中国産ウナギを提供する際、全国有数の産地である愛知県一色町から仕入れているとメニューに記載していた疑いがある。
通販サイトでも愛知県三河からの入荷をうたい、中国産ウナギを使った商品を販売していたとされる。土井容疑者は「私は産地偽装とは思っていません」と容疑を否認している。
メニューに「愛知県一色町から厳選して仕入れ」と表示
逮捕容疑によると、土井容疑者は2025年7月1日と8日、京都市伏見区の「土井活鰻伏見稲荷店」で、中国産ウナギを提供する際、店内メニューに愛知県一色町から厳選して仕入れていると表示した疑いが持たれている。
一色町は現在の西尾市一色町に当たり、全国有数のウナギ養殖地として知られている。
府警は、店の表示が客に愛知県産のウナギを使用していると誤認させるものだったとみている。
通販でも「愛知県三河より入荷」 3万6000円の商品を販売
店舗だけでなく、インターネット通販でも同様の表示が問題となっている。
土井容疑者は2025年12月、会社の通販サイトで愛知県三河から養殖ウナギを仕入れていると表示し、中国産ウナギを使用した商品を神奈川県の女性に販売した疑いがある。
通販では、蒲焼き6尾と山椒煮3袋のセットが3万6000円で販売されていたという。
同社の公開サイトには、国産の上質な素材を使用していることや、愛知県三河一色産のウナギを選んでいるとする説明も掲載されている。ただし、こうした宣伝文言がいつ掲載されたのか、今回の逮捕容疑にどこまで含まれるのかは明らかになっていない。
年間仕入れ約18トンの98%が中国産
京都府警の調べでは、土井活鰻が2025年の1年間に仕入れたウナギは約18トン。そのうち約98%が中国産だったという。
別の捜査情報では、店舗と通販で取り扱っていたウナギのうち、国産品は1%未満だったとされる。ただし、年間仕入れ量と店舗・通販での取扱量では集計対象が異なるため、同じ割合として比較することはできない。
事件は2025年3月の匿名による情報提供をきっかけに捜査が始まったとされる。
府警は、産地を誤認させる表示がいつから行われていたのか、販売実態とともに調べている。
「一色産うなぎ」は地域団体商標 西尾市の産地名が使われた問題
愛知県西尾市一色町では古くからウナギ養殖が盛んで、「一色産うなぎ」は2007年に特許庁の地域団体商標として登録された。
今回の事件で問われているのは、京都の販売事業者による原産地の表示だ。
不正競争防止法第2条第1項第20号は、商品の原産地や品質などについて誤認させる表示を規制している。仕入れ先の所在地と、実際にウナギが養殖された場所は区別する必要がある。
今回の逮捕は、産地表示を巡る不正競争防止法違反の疑いによるもの。西尾市の養殖業者が不正に関与したとの情報はなく、地域団体商標の侵害事件として立件されたものでもない。
編集部まとめ
京都のウナギ料理店が、愛知県一色町や三河の産地名を使い、中国産ウナギを販売していた疑いが明らかになった。
経営者は容疑を否認しており、府警が表示の経緯と販売実態を調べている。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
特記事項
今回の逮捕容疑は、商品の原産地を誤認させる表示をしたとする不正競争防止法違反であり、商標権侵害を理由とするものではない。
2025年の年間仕入れに占める中国産の割合と、店舗・通販で取り扱った国産品の割合は、集計対象が異なる。また、土井容疑者は産地偽装との認識を否定しており、有罪が確定したものではない。
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