【愛知・豊橋】2031年度に嵩山小38人・賀茂小35人と予測 学校規模適正化を非公開議題に、市教委の判断基準は

豊橋市役所の庁舎と石碑を背景に、学校規模適正化が非公開議題となったことと、2031年度の嵩山小38人・賀茂小35人の児童数予測を伝える報道画像

愛知県豊橋市教育委員会が10月23日の定例会で、「学校規模適正化について」を非公開の協議事項として予定していたことが、市の公表資料で分かった。市内では少子化を背景に小中学校の規模や配置の見直しが課題となっており、今後の学校再編と地域住民への説明が焦点となっている。

市が今年2月に示した推計では、嵩山小学校の児童数は2031年度に38人、賀茂小学校は35人まで減少する見込みで、両校とも複式学級が生じる可能性が指摘されている。

ただし、10月23日の協議でどの学校が検討対象となったのか、具体的な方針が決定されたのかは確認できていない。市が新たな統廃合を決定したことを示す公表資料も、現時点では確認されていない。

10月23日の教育委員会 学校規模適正化を非公開議題に

豊橋市が公表した日程によると、10月23日の教育委員会定例会は午後3時30分から開催予定とされ、学校規模適正化のほか、総合教育会議における協議事項、市長と教育委員との意見交換会についても非公開の議題に掲げられていた。

教育委員会の協議を非公開とすること自体が、直ちに不適切な手続きを意味するわけではない。市は2025年7月の定例会でも、学校規模適正化を非公開の協議事項として扱っている。

一方、学校再編は子どもの通学環境や学習機会、地域の将来に関わる問題だ。協議の段階では公開できない情報があるとしても、判断の基準や検討の進み具合を、どの時点で住民に説明するのかという課題は残る。

10月24日時点で、今回の協議の具体的な内容や結論を確認できる議事録は公表ページに掲載されていない。

嵩山小74人から38人、賀茂小63人から35人へ

児童数減少の影響が具体的に示されているのが、嵩山小学校と賀茂小学校だ。

市教委が2026年2月13日の総合教育会議で示した資料では、嵩山小の児童数を2026年度の74人から2031年度には38人、賀茂小を63人から35人と推計している。

いずれも資料作成時点の人口などに基づく予測で、将来の在籍児童数を確定したものではない。

資料では、2031年度に両校の3年生と4年生が同じ学級で授業を受ける複式学級となる可能性も示された。

複式学級は異なる学年を一つの学級として編成する仕組みで、少人数の利点を生かした指導が期待できる一方、授業運営や児童同士の交流などに課題が生じる場合もある。

市教委は学校規模の適正化を全市的な問題と位置付けながら、複式学級の可能性がある校区では先行して具体的な検討を進める必要があるとしている。

地元説明会では「教育環境を第一に」の声

市は2025年11月、嵩山小学校区と賀茂小学校区で地元説明会を開催した。参加者はそれぞれ12人と15人で、学校関係者や保護者、地域の関係者らが児童数の推移や複式学級について意見を交わした。

市が公表した資料には、上級生が下級生の面倒を見るなど小規模校の利点を評価する一方、子ども同士が切磋琢磨する機会の少なさや、学校行事で一人ひとりが担う負担の大きさを心配する意見が記載されている。

複式学級の授業が実際にどう行われるのか、他自治体の事例を示してほしいという要望もあった。

さらに、複式学級が生じる前でも、学年の人数構成によって教育環境に課題が生まれるのではないかとの懸念や、財政面より子どもの教育環境を優先してほしいとの声も出ている。

学校の存続を望む地域の思いと、子どもにとって望ましい学習環境を確保することを、どのように両立させるかが課題となる。

市の適正規模は12~24学級 基準未満でも統廃合は自動決定されず

豊橋市教育委員会は2013年3月、「学校規模の適正化に関する基本方針」を策定した。

方針では、小中学校の適正規模を原則12~24学級と定めているが、規模が基準を下回ったことだけを理由に、すべての学校を統廃合するものではない。

小学校については5学級以下となる複式学級の発生が見込まれる場合などを対策の対象とし、通学区域の見直しや特認校制度、学校統合など、状況に応じた手法を示している。

一方、今年2月の総合教育会議資料では、学校を統合する場合だけでなく、児童数の維持・増加や合同授業の活用など、統合しない方法も比較対象としている。

学校規模の適正化と学校統廃合は、必ずしも同じ意味ではない。

文科省も2026年8月に指針改訂 地域全体での検討を重視

国の方針にも新たな動きがある。

文部科学省は2026年8月5日、公立小中学校の適正規模・適正配置に関する手引きを改訂した。従来の学校規模の考え方を基本的に維持しながら、周辺自治体との連携、市長部局を含む地域全体での検討、通学手段の確保などを重視している。

学校を統合する場合だけでなく、存続させる場合にも、教育環境と地域の将来を踏まえて計画的に検討することが重要だと示した。

豊橋市でも、学校は教育施設であると同時に地域コミュニティの拠点だとして、住民の意向を踏まえた話し合いを進める方針を掲げている。

今後は児童数の推計だけでなく、通学距離や安全確保、教職員の配置、地域活動への影響など、複数の視点から選択肢を比較する必要がある。

再編する場合も、存続する場合も 求められる説明責任

豊橋市は2026年度、嵩山・賀茂の両校区で意見交換を継続し、新たに複式学級の可能性が生じた地域でも同様の取り組みを進めるとしている。

さらに、地域ごとの検討状況を市全体へ発信し、住民参加や意思決定の仕組みについて検討を続ける方針だ。

では、今回の非公開議題は、こうした従来の取り組みの確認だったのか。それとも、新たな検討段階に進むための協議だったのか。

現時点で内容は確認できていないが、今後具体的な方針を示す際には、対象校の選定理由や判断基準、保護者と地域住民の意見がどのように反映されたのかを説明することが重要になる。

学校を残す場合にも、教育環境を維持するための具体策が必要だ。統合する場合には、通学負担や地域への影響を含めた説明が欠かせない。

子どもたちにとって望ましい学校のあり方を、誰が、どのような根拠で決めるのか。今回の議題を機に、豊橋市の学校規模適正化に向けた判断過程を改めて確認する必要がある。

編集部まとめ

豊橋市では小中学校の規模適正化が継続的な課題となっており、嵩山小学校と賀茂小学校では2031年度に複式学級となる可能性が示されている。

10月23日の教育委員会では学校規模適正化が非公開議題として掲載されたが、新たな統廃合の決定は確認されていない。

今後は学校を統合する場合も存続する場合も、子どもの教育環境を最優先に、判断の根拠と検討過程を住民へ分かりやすく示すことが求められる。

特記事項

本記事は豊橋市教育委員会の2026年10月23日定例会公表資料、同年2月13日の総合教育会議資料、2013年策定の学校規模適正化基本方針、および文部科学省の2026年8月改訂手引きに基づき構成した。

Q豊橋市で学校の統廃合が新たに決定したのですか?
A2026年10月24日時点で、10月23日の教育委員会によって新たな学校統廃合が決定したことを示す公表資料は確認されていません。
Q嵩山小学校と賀茂小学校の児童数はどうなる見込みですか?
A市教委が2026年2月に示した推計では、2031年度に嵩山小学校が38人、賀茂小学校が35人になると予測されています。
Q児童数が減ると必ず学校が統合されるのですか?
Aいいえ。児童数や学級数だけで自動的に統合が決まるわけではありません。市は統合しない方法も含めて検討しています。
Qなぜ10月23日の協議は非公開なのですか?
A市の公表日程では非公開議題とされていますが、今回の協議を非公開とする個別の理由や具体的な内容は確認できていません。
Q今後、学校再編について住民の意見は聞かれますか?
A市教委は2026年度も嵩山・賀茂の両校区で意見交換を続け、新たに複式学級の可能性が生じた校区でも同様の取り組みを行う方針です。

週刊TAKAPI 編集部/黒木

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