【東京】駿台学園高の停学・退部処分は無効 約230万円賠償命令、いじめとされた6件中5件は事実認めず

東京地方裁判所の庁舎外観。駿台学園高校の停学・退部処分を違法・無効とし、約230万円の賠償を命じた判決を伝える報道画像

東京都の駿台学園高校で、女子ボクシング部に所属していた元生徒に対する無期限停学と退部の処分について、東京地方裁判所は10月22日、いずれも違法で無効とする判決を言い渡した。学校法人駿台学園に対し、慰謝料など約230万円の支払いを命じた。

学校側は、ほかの部員に対する暴力や侮辱など6件のいじめ行為があったとして処分していた。しかし裁判所は、6件のうち5件について事実を認めることができず、残る1件についても処分の重さは合理性を欠くと判断した。

判決で問題となったのは、学校が行った事実確認の信頼性と、生徒の競技活動に重大な影響を与える処分の妥当性だった。

全国大会で優勝経験 高校3年の競技活動を失う

判決によると、元生徒は2022年4月に駿台学園高校へ入学した。女子ボクシングの全国大会で優勝や準優勝を経験し、学業でも上位の成績を収めていた。

ところが2024年、ほかの部員に対するいじめ行為があったとして、校長から無期限停学と退部を命じられた。

元生徒側は、処分によって高校女子ボクシングで活躍する機会を奪われたなどと主張。学校法人に対し、約5500万円の損害賠償などを求めて提訴した。

裁判では、学校が処分の根拠とした行為が実際にあったのか、仮に問題行為が認められたとしても、無期限停学と退部という処分が妥当だったのかが争点となった。

学校の聞き取り資料、裁判所は信用性に疑問

東京地裁の中俣千珠裁判長は、学校側が部員らから聞き取った内容をまとめた文書について、その信用性に疑問を示した。

学校側の指示や誘導を受けずに部員らの認識が正確に記録されたと認めることは難しいと判断し、処分理由とされた6件のうち5件について事実を認定しなかった。

一方、残る1件については、元生徒が授業中に居眠りしていた部員を撮影し、交流サイト(SNS)に投稿した行為を認めた。

ただし、投稿を閲覧できた時間は24時間だったことなどを考慮。無期限停学と退部によって生徒が受ける不利益の大きさに照らし、処分は合理性を欠き、違法で無効だと結論付けた。

この判断は、SNSへの投稿を問題のない行為と認めたものではない。行為の内容と、それに対して学校が科した処分の重さを比較した司法判断である。

公式戦に出られなかった1年間 約230万円の賠償

裁判所は、元生徒が高校3年生の1年間、公式戦に出場できなかったことを重視した。

さらに、大学への推薦を得る機会や、世界大会などで競技実績を残す機会を失ったことも考慮。精神的苦痛に対する慰謝料200万円と学費相当額など、合計約230万円の賠償を命じた。

高校スポーツでは、大会への出場機会が進学やその後の競技活動に影響することがある。特に高校3年生の大会は、卒業後に同じ条件で出場し直すことができない。

今回の判決は、元生徒が将来どのような成績を収められたかを確定したものではない。それでも、違法な処分によって競技活動の機会が失われたことを、損害賠償の判断に反映させた。

いじめへの対応と生徒の権利 学校に求められる公正な調査

学校には、いじめの訴えを受けた際、被害を申告した生徒を守り、速やかに事実関係を確認する責任がある。

いじめ防止対策推進法は、学校が組織的に事実確認を行い、必要な支援や指導につなげることを求めている。

同時に、問題行為をしたとされる生徒に重大な処分を科す場合には、その根拠となる事実を十分に検証する必要がある。

今回の裁判では、聞き取り資料の信用性と、処分によって失われる教育・競技活動の機会が判断の中心となった。

学校の懲戒権は、生徒指導のために認められるものであって、無制限ではない。いじめへの適切な対応と、処分対象となった生徒の権利を守ることは、どちらか一方を優先すれば済む問題ではない。

今回の判決を受け、駿台学園が当時の調査や処分の決定過程をどのように検証するのかが注目される。

10月24日現在、判決に対する学校法人側の最新の見解や、控訴の有無は確認できていない。

編集部まとめ

駿台学園高校の元女子ボクシング部員に対する無期限停学と退部は、東京地裁で違法・無効と判断された。裁判所は、処分の根拠となった6件のうち5件について事実を認めず、学校側の聞き取り資料の信用性にも疑問を示した。

いじめへの対応には迅速さが求められる一方、重大な処分を決めるには慎重な事実確認が欠かせない。今回の判決は、学校が持つ懲戒権と、生徒の教育・競技機会を守る責任の両方を改めて示した。

特記事項

本記事は2026年10月22日の東京地裁判決に関する確認済みの裁判報道と、文部科学省が公表するいじめ防止対策推進法の関連資料に基づき構成した。判決全文および当事者の最新の見解は未確認である。

Q駿台学園高校でどのような処分が行われたのですか?
A女子ボクシング部の生徒が、ほかの部員へのいじめ行為を理由に、2024年に無期限停学と退部の処分を受けました。
Q東京地裁は何を無効と判断したのですか?
A無期限停学と退部の両処分について、合理性を欠き、違法で無効と判断しました。
Qいじめ行為はすべて否定されたのですか?
Aいいえ。学校側が問題視した6件のうち5件は事実と認められませんでしたが、部員の居眠りを撮影してSNSに投稿した行為は認定されました。
Q約230万円の賠償が命じられた理由は何ですか?
A違法な処分によって高校3年生の公式戦への出場や大学推薦などの機会を失ったことが考慮され、慰謝料200万円と学費相当額などの支払いが命じられました。
Q今回の判決は確定していますか?
A2026年10月24日時点で判決の確定や控訴の有無は確認できていません。

週刊TAKAPI 編集部/松本

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