神奈川県相模原市南区の保育園で、勤務中に男児2人の下半身をスマートフォンで盗撮したとして、神奈川県警は11月4日、元保育士の山本薫容疑者(31)を性的姿態等撮影と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕した。
事件発覚のきっかけは、米国側から寄せられた情報だった。容疑者が利用していたSNSアカウントに、児童の性的な画像や動画が保存されていることが把握され、2026年5月20日に警察庁を通じて神奈川県警へ情報が提供された。
捜査では、アカウント上の画像・動画573点に加え、その中に保育園勤務中に撮影されたとみられる77点が含まれていたと報じられている。県警は約20人の男児についても被害の可能性を調べており、撮影の実態や画像の取扱状況について解明を進めている。
着替え中の園児と、弟の迎えに来た小学生を撮影した疑い
県警少年捜査課によると、逮捕容疑の一つは2024年6月25日午前10時45分ごろ、相模原市南区の勤務先保育園で、着替えをしていた当時5歳の男児の下半身をスマートフォンで撮影した疑い。
山本容疑者は当時、この男児の保育を担当していたという。
さらに同年10月9日午後3時35分ごろ、園内のトイレを利用していた当時小学2年生の男児(8)の下半身を撮影した疑いも持たれている。
この男児は母親と一緒に弟を迎えに来ており、1人でトイレを利用していたとされる。
今回の逮捕容疑は、保育中の園児だけでなく、迎えに来た家族の児童に対する行為も含まれている。
米国からの情報が捜査の端緒に SNS上に画像・動画573点
事件が発覚したのは、2026年5月に米国側から情報提供があったことがきっかけだった。
県警によると、米国のSNS運営会社が、山本容疑者のアカウントに児童の性的な画像や動画が保存されていることを把握したという。
米国側から警察庁を経由して神奈川県警に情報が寄せられ、国内での捜査が進められた。
別の捜査情報では、アカウント上に保管されていた画像・動画は計573点に上るとされる。
ただし、573点すべてが山本容疑者自身によって撮影されたと確認されたわけではない。画像の取得方法や第三者との共有状況についても、詳細は明らかになっていない。
海外のSNSサービス上の情報が、日本国内の保育施設での犯罪容疑を把握する手掛かりになったことは、今回の事件の重要な特徴だ。
保育園で撮影したとみられる77点 約20人の男児を捜査
県警の捜査では、2020年8月から2024年10月にかけて保育園勤務中に撮影されたとみられる画像64点と動画13点、計77点が確認されたとされる。
撮影時にシャッター音を消すアプリを利用していたとみられる記録もあったという。
画像などに顔が写っていた男児は約20人に上るとされ、県警が撮影時期や被写体を確認している。
ここで区別すべきなのは、77点という記録の数と、約20人という人数だ。
同じ児童が複数の画像に写っている可能性もあるため、画像の点数がそのまま被害者数を表すわけではない。また、約20人全員について違法な撮影被害が確定したものでもない。
今回の逮捕容疑で特定された男児は2人であり、県警はほかの記録についても確認を進めている。
元保育士は容疑認める 勤務中の撮影について捜査
山本容疑者は取り調べに対し、自ら行ったことに間違いないという趣旨の供述をしており、容疑を認めているという。
また、保育士として働き始めてから幼い男児に性的な関心を持つようになり、発覚しないように撮影する行為にも性的な興奮を覚えていたと説明しているとされる。
ただし、こうした供述だけで、確認されていない別の撮影行為まで立証されたことにはならない。
県警は画像・動画の内容や撮影状況などを調べ、事件の全容解明を進めている。
保育中の私用スマホ管理はどうなっていたのか
今回の事件で問われるのは、保育施設において子どものプライバシーをどのように守るかという問題だ。
保育士は業務上、着替えや排せつの援助など、子どもの身体に関わる場面に立ち会うことがある。今回の逮捕容疑も、そうした場面での撮影が含まれている。
施設内への私用スマートフォンの持ち込み、撮影機能の使用、子どもの着替えやトイレ利用時の見守り方、画像データの管理などが、保育施設の安全対策を考えるうえで重要となる。
一方、今回の保育園でどのようなルールが設けられていたのか、施設側がいつ事件を把握したのかについては、確認できる情報がない。
現時点で施設の安全管理に不備があったと断定することはできず、具体的な運用状況を確認する必要がある。
12月25日には「こども性暴力防止法」施行 犯罪歴の確認だけで防げるのか
こども家庭庁によると、教育・保育の現場などで子どもへの性暴力を防ぐ「こども性暴力防止法」が、2026年12月25日に施行される。
いわゆる日本版DBSを含む制度で、対象となる事業者には、従事者の性犯罪歴に関する確認や、児童対象性暴力を防止するための措置などが求められる。
ただし、犯罪歴の確認だけで、職員による盗撮や性暴力を完全に防げるわけではない。
過去に対象となる犯罪歴が確認されない人物についても、日常の施設管理や職員への研修、不適切な行為の早期把握が重要になる。
また、新制度は今回の2024年の行為に遡って適用されるものではない。
今回の事件は、保育施設で働く人の犯罪歴確認だけでなく、子どもと接する際の行動や私用端末の管理を含めた安全対策を考える契機にもなる。
編集部まとめ
相模原市の元保育士が男児2人を盗撮した疑いで逮捕された事件では、米国側からの情報提供が国内捜査の端緒となった。
SNSアカウント上に保管されていたとされる画像・動画573点のうち、勤務先で撮影されたとみられる77点が捜査対象となり、県警は約20人の男児についても被害の可能性を調べている。
重要なのは、個々の被害を正確に特定し、画像がどのように保存・管理されていたのかを明らかにすることだ。
保育施設についても、施設側の責任を確認前に断定するのではなく、実際に行われていた安全管理と、今後必要な再発防止策を検証する必要がある。
特記事項
本記事は2026年11月4日に公表された逮捕情報と、同日夜までの捜査報道に基づいている。
SNSアカウント上の画像・動画573点と、保育園勤務中に撮影されたとみられる77点は別々に加算する数字ではない。
約20人は県警が被害の可能性を調べている男児の人数であり、全員の被害が確定したものではない。
神奈川県警の個別発表原文、画像データの鑑定結果、保育施設側の説明は直接確認できていない。
被害児童や保育園を特定する情報は掲載していない。山本容疑者は逮捕段階であり、有罪が確定したものではない。
週刊TAKAPI編集部/成田
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