愛知県企業庁が製作・配布しているボトル缶飲料「あいちの水」から金属製のネジが見つかった問題で、愛知県は8月31日、調査結果を公表した。
製造業者と県職員が調査した結果、製造工程と、県への納品後の保管・引渡し過程について、異物が混入した事実はないことを確認したとしている。(愛知県公式サイト)
一方、最大の疑問だったでは、長さ約1.8センチのネジはいつ、どこから缶の中に入ったのか」については、最後まで混入経路を特定できなかった。
県は調査結果を受け、未開封の「あいちの水」について飲用自粛を解除した。
週刊TAKAPIは県の調査結果公表に先立ち、8月25日に豊橋市、26日に愛知県企業庁へ独自取材を実施していた。
県側は取材時点で、週刊TAKAPIに対し「まだ製造過程で混入したかも断定できていない」と説明していた。
それから5日。
県による調査で製造・保管などの過程について一定の安全確認が示された一方、ネジそのものの混入経路は不明のまま残った。
「あいちの水」ネジ混入、県が8月31日に調査結果
愛知県が8月31日に公表した調査結果によると、「あいちの水」の製造工場では、製造業者による調査だけでなく県職員による調査も行われた。
その結果、県は、
製造工程
および、
県への納品後の保管・引渡し過程
について、「異物が混入した事実はないことを確認した」としている。(愛知県公式サイト)
つまり今回の調査では、少なくとも県が確認した製造工程や、納品後の保管・引渡しまでの過程からネジが入った事実は確認されなかったことになる。
では、ネジはどこから入ったのか
一方で、調査によっても解明されなかった点がある。
実際に見つかったネジが、いつ、どの段階で缶の中へ入ったのかだ。
県によると、問題となった「令和8年度少年消防クラブ員の県消防学校一日入校」では、参加者が昼食をとる教室に「あいちの水」の箱を置き、参加者が自由に取り出して飲める方法で配布していた。
こうした配布状況も踏まえて調べたものの、県は最終的に、
「異物の混入経路の特定には至りませんでした」
としている。(愛知県公式サイト)
製造・保管・引渡しについては安全性を確認した。
しかし、ネジが実際にどこから入ったのかまでは分からなかった。
今回の調査結果は、この2点を分けて見る必要がある。
問題は愛知県消防学校のイベントで発覚
異物発見の連絡があったのは8月20日。
愛知県などが主催した「令和8年度少年消防クラブ員の県消防学校一日入校」で配布された「あいちの水」の小型290ml缶から、金属製のネジが見つかった。
県の当初発表によると、イベントは8月18日から20日まで開催され、「あいちの水」は3日間で計603本が配布されていた。(愛知県公式サイト)
異物発見の連絡が県側に入ったのは20日午後2時50分。
報道によると、イベントで受け取られた「あいちの水」を小学2年生の男児が飲んだところ、味に違和感を覚え、残った水をコップへ移したところネジが見つかったという。
見つかったネジは長さ約1.8センチ、直径約3ミリだった。
男児にけがはなく、県もこの問題に関連する健康被害は確認されていないとしている。(テレ朝NEWS)
603本を配布 製造総数は小型缶5万本超
県が8月20日に公表した資料では、消防学校のイベントで配られた小型290ml缶は計603本だった。
一方、「あいちの水」自体の製造総数は、
- 小型缶290ml:52,416本
- 通常缶400ml:117,360本
とされている。(愛知県公式サイト)
問題発覚後、県はイベントで配られたものだけではなく、当面の間、すべての「あいちの水」を飲用しないよう呼びかけた。
すでに関係機関へ配布していた「あいちの水」についても、原因究明と安全確認ができるまで配布を控えるよう要請していた。
週刊TAKAPI、県発表前に愛知県企業庁へ独自取材
週刊TAKAPIは今回の調査結果が公表される前の8月26日、愛知県企業庁へ電話取材を行った。
当時、県側は調査が継続中であることを説明。
週刊TAKAPIが混入経路などを確認したところ、
「まだ製造過程で混入したかも断定できていない」
との趣旨の説明があった。
この時点では、製造段階なのか、その後の過程なのかについて結論は出ていなかった。
そして8月31日、県が正式な調査結果を公表。
製造業者と県職員による調査で、製造工程と県への納品後の保管・引渡し過程については「異物が混入した事実はない」と確認した。(愛知県公式サイト)
独自取材時には確定していなかった部分について、今回新たに県としての調査結果が示された形だ。
「あいちの水」はもう飲んでもいい?
県は8月31日、これまで行っていた飲用自粛の要請を解除した。
対象は問題が発生した小型290ml缶だけではない。
未開封の小型缶・通常400ml缶を含む、すべての「あいちの水」について安全性を確認したとしており、飲用できるとしている。(愛知県公式サイト)
ただし県は、飲む際にはボトル缶のキャップが未開封であることを目視で確認するとともに、開封時の音を確認するよう呼びかけている。
豊橋市も8月31日に措置解除
豊橋市も同日、県の調査結果を受けて対応を変更した。
市は8月31日、製造工程や保管・引渡し過程で安全性が確認されたとして、未開封の「あいちの水」について破棄等を求めていた措置を解除したと発表した。(豊橋市公式サイト)
豊橋市も県と同様、飲用する際には、
- キャップが未開封であることを目視で確認する
- 開封時の音を確認する
よう求めている。(豊橋市公式サイト)
【独自】豊橋市は過去の配布本数「把握していない」
週刊TAKAPIは県への取材に先立つ8月25日、豊橋市防災危機管理課にも独自取材している。
その際、週刊TAKAPIは豊橋市内で過去に「あいちの水」が何本配布されてきたのかを確認した。
市側の回答は、配布本数を管理しておらず、把握していないというものだった。
また取材時点では、市民から「あいちの水」の異物などに関する問い合わせは寄せられていないとの説明だった。
「あいちの水」は県営水道をPRする目的などで各地のイベントや関係機関を通じて配布されている。
そのため問題発覚後、各自治体でも飲用自粛や廃棄を求める動きが広がっていた。
豊田市では25会場で2589本を配布
配布状況を具体的に公表した自治体もある。
豊田市は8月21日、市内で開催した水道事業のPRイベントなど25会場で計2589本を配布していたことを公表した。(豊田市)
豊田市が配布していたのは通常400ml缶。
同市では問題発覚を受けて飲用自粛を呼びかけ、配布先を特定できる団体や個人については電話やメールで連絡するとしていた。(豊田市)
一方、豊橋市は週刊TAKAPIの取材に対し、過去の配布本数そのものを把握していないと回答している。
自治体ごとに配布記録の管理方法が異なっていた点も見えてきた。
「原因不明」で再発防止はどうする?
県は今後、「あいちの水」を提供する際、イベント主催者に対して適切な保管・配布を行うよう周知するとしている。(愛知県公式サイト)
今回、製造工程や納品後の保管・引渡し過程については安全性が確認された。
その一方で、ネジそのものの混入経路は特定されていない。
そこで残るのが、再発防止策の具体性だ。
今回のイベントでは、参加者が昼食をとる教室に箱を置き、それぞれが自由に取り出す方法が採られていた。
今後、
- イベント会場での保管・配布方法を変更するのか
- 配布前に未開封状態を確認する仕組みを設けるのか
- 配布本数や配布先をどこまで記録するのか
- 同様の異物発見が起きた場合に追跡できる体制をどう整えるのか
などは、引き続き確認すべき点となる。
「製造段階などでは混入していなかった」という調査結果と、「ではどこで入ったのかは分からない」という結論は両立する。
飲用自粛は解除されたが、異物混入の経路そのものについては、最後まで答えが出なかった。
週刊TAKAPIでは、これまでの独自取材を踏まえ、愛知県企業庁と豊橋市に対し、今回の調査結果を受けた追加対応や再発防止策について引き続き確認する。
「あいちの水」ネジ混入問題の経緯
8月18~20日
愛知県消防学校のイベントで「あいちの水」計603本を配布。
8月20日
配布された小型290ml缶から金属製ネジが見つかったとの連絡。県が異物を回収し、原因調査を開始。
8月25日
週刊TAKAPIが豊橋市防災危機管理課へ独自取材。市内での過去の配布本数について「把握していない」と回答。
8月26日
週刊TAKAPIが愛知県企業庁へ独自取材。県側は、この時点では混入段階について断定できていないと説明。
8月31日
愛知県が調査結果を正式発表。製造・保管・引渡し過程では異物が混入した事実はないと確認した一方、混入経路の特定には至らず。未開封品への飲用自粛を解除。
同日
豊橋市も未開封品の破棄等を求める措置を解除。
あいちの水 異物混入問題
週刊TAKAPI 編集部/鈴木
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