9月13日投開票の沖縄県知事選をめぐり、自民党などが推薦する古謝玄太氏の決起集会で、ビールや泡盛、ハイボールなどを含む「飲み放題」が1人1000円で提供されていたと報じられた
会場となったホテルでは、同様の飲み放題プランが1人2420円とされており、ホテル側も取材に対して通常プランから値引きしたことを認めている
問題となるのは、この約6割の値引きが単なるホテル側の営業判断だったのか、それとも候補者側や関係団体を通じた有権者への利益提供、あるいは企業側から政治活動への寄附に当たる可能性があるのかという点だ
現時点で古謝氏や関係者について、公職選挙法違反などが認定された事実はない
一方、選挙期間を目前に控えた決起集会で行われた大幅な値引きについて、専門家から法的な問題を指摘する声が上がっている
8月5日、那覇市内のホテルで決起集会
問題となっているのは、古謝氏側が8月5日に那覇市内のホテルで開いたとされる「古謝玄太決起集会~県内の若手大集合SP~」
しんぶん赤旗の報道によると、会場ではビール、泡盛、ハイボールなどの酒類を含む飲み放題が用意され、式次第には「参加費1000円」と記載されていたという
古謝氏が集会後に明らかにした参加者数は約250人
一方、会場ホテルではハイボールを含む飲み放題プランを1人2420円としている
単純計算すると、
通常料金2420円
参加費1000円
差額1420円
250人であれば、差額は約35万5000円となる
ホテル側は同紙の取材に、今回は付き合いもあるため通常の飲み放題プランから変更した趣旨の説明をしており、値引きそのものは認めている。(日本共産党)
「値引き分」は誰が負担したのか
今回の問題で最も重要なのはここだ
参加者が支払った1000円と、通常料金とされる2420円との差額を、実際に誰が負担したのか
ホテル側が値引きしたのか
古謝氏側や関係団体が一部を補填したのか
それとも通常料金とは異なる別契約だったのか
契約主体や請求額、領収書、ホテル側への実際の支払額などが明らかにならなければ、法的評価を確定することはできない
しかし、政治家や候補者をめぐる飲食の提供は、公職選挙法が厳しく制限している分野でもある
沖縄県選管も「寄附」「饗応接待」の禁止を明示
今回注目されるのは、沖縄県選挙管理委員会が2026年の県知事選を前に、候補者側による寄附について具体的な注意喚起を行っていることだ
県選管によると、県知事任期満了日前90日に当たる7月1日から9月13日の選挙期日まで、候補者や後援団体による一定の寄附について通常より厳しい制限がかかる
さらに、後援団体の集会などで選挙区内の者に対して行う「饗応接待等」についても禁止対象となることを明示している。(沖縄県公式サイト)
今回の決起集会は8月5日
まさに、この特別な規制期間の中で開催されていた
法律専門家は公選法違反の可能性を指摘
神戸学院大学の上脇博之教授は、社会通念上明らかに安い価格で飲食が提供され、その差額によって参加者が利益を得ているのであれば、候補者側の関係団体による有権者への寄附に当たる可能性があると指摘している
さらにホテル側が通常料金から大幅に値引きし、その利益が古謝氏側の政治活動に提供された形になる場合には、企業から政治家側への寄附として政治資金規正法上の問題が生じる可能性もあるとしている。(日本共産党)
ただし、これは専門家による法的見解であり、捜査機関や選挙管理委員会が違法と認定したものではない
集会には今井絵理子参院議員らも参加
この決起集会には自民党の国会議員、地方議員も参加していたと報じられている
しんぶん赤旗によると、今井絵理子参院議員や渡嘉敷奈緒美衆院議員、自民党県連青年局長の宮里洋史県議らが参加
今井氏は壇上で古謝氏への支援を呼びかける趣旨の発言をし、閉会時には古謝氏らと「がんばろう三唱」を行ったとされる。(日本共産党)
このため、単なる民間団体の懇親会だったのか、それとも候補者を支援する政治集会だったのかという性格も、今回の問題を考える上で無視できない
「桜を見る会」前夜祭を思い出すとの声
今回の報道を受け、SNSでは安倍晋三元首相の後援会が開催した「桜を見る会」前夜祭を連想するとの声も広がっている
両者を同一視することはできない
ただ、政治家を支援する集会で参加者が支払った金額と実際の飲食費との間に差額があるのではないか、その差額を誰が負担したのかという点が問題となっている点では共通する部分がある
安倍氏の「桜を見る会」前夜祭をめぐっては、後援会が開催した夕食会の収支を政治資金収支報告書に記載していなかったとして、公設第1秘書が政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡裁から罰金100万円の略式命令を受けた
一方、安倍氏本人については不起訴となっている。(日本共産党)
ここは混同すべきではない
「桜を見る会」前夜祭で秘書が処罰された中心的な問題は政治資金収支報告書への不記載であり、今回の沖縄県知事選の集会について同じ違反が確認されたわけではない
週刊TAKAPIが注目する「35万円」の行方
今回の問題は、「飲み放題が1000円だった」という数字だけを見ても核心にはたどり着けない
確認すべきなのは、
通常2420円とされるプランが、なぜ1000円になったのか
ホテルと契約した主体は誰なのか
ホテルはいくらを請求したのか
古謝氏側や関係団体による補填はあったのか
ホテル側が値引きした場合、その値引きは通常の営業上の範囲なのか
政治資金収支報告書などに関連する記載があるのか
という点だ
約250人が参加していたのであれば、通常料金との差は単純計算で約35万円
問題は金額の大小ではない
選挙を目前にした候補者の決起集会で、有権者に通常より安価な飲食が提供されたとすれば、その差額がどこから出たのかを明らかにする必要がある
古謝氏側には説明が求められる
現段階で違法行為が確定した事実はなく、「公選法違反」と断定することはできない
その一方で、ホテル側が値引きを認め、公職選挙法に詳しい専門家から法的問題を指摘されている以上、候補者側が契約内容や支払額を示せば疑念を解消できる可能性もある
9月13日の投票日まで残された時間は長くない
選挙戦の最中だからこそ、有権者に判断材料を示すための説明は早い方がいい
領収書や請求書、契約主体、実際の支払総額
そこが示されるかどうかを週刊TAKAPIも引き続き確認する
Q&A 今回の「1000円飲み放題」は違法なのか
Q 古謝玄太氏の公選法違反は確定している?
確定していない
現時点では報道を受け、法律専門家が公職選挙法などに抵触する可能性を指摘している段階
Q 何が問題になっている?
通常2420円とされる飲み放題が1000円で提供された点
差額が候補者側などから参加者への利益提供に当たるのか、ホテル側の値引きが政治活動への寄附に当たるのかなどが論点となっている
Q 「桜を見る会」と同じ事件?
同じではない
政治集会の飲食費をめぐり、参加者負担と実際の費用との差額が問題視されている点では似ているものの、事実関係や適用される法的論点は別個に判断する必要がある
担当記者
週刊TAKAPI 編集部/黒木
情報提供募集
各種ご相談、情報提供、現地写真・動画、関係者からの証言などをお持ちの方は、メール(info@108takapi.jp)、各種SNSのDM、または公式LINEまでお寄せください。週刊TAKAPI編集部が内容を確認のうえ、取材・報道の参考とさせていただきます。
サイト訪問者数

コメント
0件まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか。
この記事のコメント投稿は締め切られています。