静岡県内限定で店舗を展開する「炭焼きレストランさわやか」が、静岡市駿河区の「イオンセントラルスクエア静岡」に新店舗を出店する。
オープン予定日は2027年6月1日。2025年のベイドリーム清水店、2026年のマークイズ静岡店に続き、静岡市では3年連続で新店が誕生する見通しだ。
長く新規出店がなかった静岡市で、なぜ「さわやか」は一転して店舗を増やしているのか。近年の出店場所からは、単純な店舗数の拡大ではない慎重な戦略が浮かび上がる。
「さわやか」がイオンセントラルスクエア静岡へ出店
新店舗の出店先は、静岡市駿河区石田1丁目のイオンセントラルスクエア静岡。2026年3月6日にアピタ静岡店跡地でグランドオープンした大型商業施設だ。
イオンスタイル静岡を核に約40の専門店が入り、子育て世代を主なターゲットとしている。
現時点で公表されている新店舗の概要は次の通り。
- 店舗:炭焼きレストランさわやか イオンセントラルスクエア静岡店
- 住所:静岡県静岡市駿河区石田1丁目5-1
- オープン予定日:2027年6月1日
- 営業時間:未発表
- 席数:未発表
- 予約:さわやかは原則として予約を受け付けず、スマートフォンまたは店頭で整理券を発行
出店については、さわやかが2026年9月4日に公式サイトで告知している。ただし、営業時間や席数などの詳細は今後発表される予定だ。
14年ぶりの出店から一転、静岡市で3年連続の新店
静岡市では2025年11月、清水区の「ベイドリーム清水」に新店舗がオープンした。
静岡市への新規出店は、新静岡セノバ店以来14年ぶり。さらに、清水区では初めての「さわやか」となり、葵区、駿河区、清水区の3区すべてに店舗がそろった。
続いて2026年7月10日には、葵区の大型商業施設「MARK IS 静岡」にマークイズ静岡店がオープン。開店初日には営業時間前から50人以上が列をつくり、県外から訪れた客の姿も見られた。
そして2027年6月、イオンセントラルスクエア静岡への出店が予定されている。
2025年 ベイドリーム清水店がオープン
2026年 新静岡セノバ店が閉店、マークイズ静岡店がオープン
2027年 イオンセントラルスクエア静岡店がオープン予定
新静岡セノバ店は2026年5月、施設との賃貸借契約満了により閉店した。そのため、マークイズ静岡店については実質的な受け皿という面もある。
一方、イオンセントラルスクエア静岡店が予定通り開業し、既存店に変更がなければ、静岡市内は6店舗体制となる見込みだ。
【編集部の考察】さわやかはなぜ静岡市で出店を増やすのか
さわやかは、全国的な知名度を持ちながら静岡県外に進出していない。
その一方で、県内では立地を厳選しながら出店を続けている。今回、静岡市で出店を増やす背景には、主に4つの理由が考えられる。
1.既存店だけでは需要を吸収しきれない
最大の理由として考えられるのが、静岡市周辺における需要の強さだ。
マークイズ静岡店ではオープン初日から混雑し、スマートフォンによる順番待ち受付にも利用が集中した。新しい店舗を開業しても、客が既存店から移るだけではなく、新たな需要を生み出せる可能性が高い。
長時間の待ち時間は人気の象徴である一方、利用を諦める客を生む原因にもなる。店舗を増やすことには、混雑を複数店舗へ分散させ、来店機会を取りこぼさない狙いがあるとみられる。
2.静岡市南部の空白を埋める立地
イオンセントラルスクエア静岡は、JR静岡駅から南へ約2キロの駿河区石田に位置する。
駿河区には静岡インター店があるものの、今回の出店場所は大型商業施設内であり、従来店とは利用目的が異なる。
買い物に訪れる家族、近隣住民、休日のレジャー客を取り込めるため、同じ駿河区でも既存店との過度な競合を避けられる可能性がある。
静岡インター店が自動車で訪れる広域客を受け止め、イオンの新店が日常的な買い物客を取り込む。こうした役割分担も考えられる。
3.大型商業施設なら安定した集客が期待できる
近年の静岡市における出店には、共通点がある。
ベイドリーム清水、MARK IS 静岡、イオンセントラルスクエア静岡と、いずれも大型商業施設内、または商業集積地への出店だ。
大型商業施設には、駐車場や公共交通、トイレなどの設備が整っている。買い物や家族でのお出かけと食事を組み合わせやすく、単独のロードサイド店とは異なる客層を獲得できる。
施設側にとっても、強い集客力を持つ「さわやか」は大きな目玉になる。双方の集客効果を見込める点が、連続出店を後押ししている可能性がある。
4.県外進出より県内の未充足需要を優先か
さわやかが静岡県外へ出店しない理由には、品質管理や食材配送の体制が関係している。
店舗で提供するハンバーグは、袋井市の自社工場で製造される。店舗網を急激に広げれば、製造能力だけでなく、配送、人材育成、衛生管理なども拡充しなければならない。
そのため、県境を越えて店舗数を一気に増やすより、現在の供給網を維持できる静岡県内で、需要が特に強い地域へ出店する方がリスクを抑えやすい。
今回の静岡市への出店も、「全国展開への転換」というより、県内限定の原則を守りながら都市部の需要を取り込む動きと考える方が自然だ。
店舗を増やしても「待ち時間ゼロ」にはならない可能性
新店舗の開業によって、静岡市内の混雑が一定程度分散することは期待される。
ただし、新店舗そのものが新たな来店目的となり、開店直後には利用客が集中する可能性が高い。特にイオンセントラルスクエア静岡は、ファミリー層を意識した施設であり、さわやかの主要な客層とも重なる。
店舗を1店増やしただけで、市内全体の待ち時間が大幅に短縮されるとは限らない。
一方、さわやかは2026年8月からスマートフォンによる受付発券を全店に導入している。店舗数の増加と受付システムの改善を組み合わせることで、「店頭で長時間並び続ける」という負担は軽減される可能性がある。
静岡市への集中出店は「慎重な拡大」の表れ
14年間、新規出店がなかった静岡市で3年連続の新店となれば、急拡大のようにも見える。
しかし、2026年には新静岡セノバ店の閉店もあった。店舗数だけを追えば、無制限に増やしているわけではない。
商業施設の集客力、周辺の人口、既存店舗との位置関係、駐車場、配送体制などを見極めながら、需要の強い場所へ慎重に配置しているとみられる。
イオンセントラルスクエア静岡店が成功すれば、今後は静岡市以外でも、県内の大型商業施設を活用した出店が増える可能性がある。ただし、さわやかが今後の具体的な出店計画を公表した事実はなく、ここから先は推測の域を出ない。
注目されるのは、新店舗が既存店の待ち時間をどこまで分散できるのか。そして、県内限定というブランドの希少性を保ちながら、どの程度まで店舗網を広げるのかだ。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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週刊TAKAPI編集部:黒木
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