愛知県新城市が2024年10月から民間事業者へ包括委託している放課後児童クラブと「新城ハートフルスタッフ」について、市が約2年間の運用状況を週刊TAKAPIの取材に明らかにした。
市によると、人材募集は現在も容易ではないものの、必要な職員を配置できずに児童クラブなどの事業を縮小した事例はこれまで発生していない。また、学校の長期休業中にハートフルスタッフを児童クラブへ配置するなど、従来は別々だった人材を事業間で活用できるようになったという。
現行契約は2027年3月31日まで。市はすでに、2027年4月から始まる第2期の委託先選定を進めている。
夏休みの人材確保 2事業を一括したことで融通可能に
民間委託前、新城市はハートフルスタッフと放課後児童クラブで、それぞれ個別に職員を募集していた。
特に児童クラブでは、夏休みなどの長期休業中、朝から夕方まで開設するため、通常より多くの支援員を短期間で確保する必要があった。
新城市企画部秘書人事課の担当者は週刊TAKAPIの取材に、現在は2事業を同じ事業者へ委託しているため、学校が夏休みに入ると、普段はハートフルスタッフとして勤務する人が児童クラブの運営を支援するケースがあると説明した。
別々に人員を確保していた直営時代と比べ、必要な時期に人材を動かせるようになった点を、市は民間委託後の成果として挙げる。
全国規模の研修に参加 スキルアップの機会増える
ハートフルスタッフでは、研修面でも変化が出ている。
市担当者によると、受託事業者から毎月報告を受ける中で、全国規模で展開する企業の研修などに参加できるようになり、スタッフがスキルアップする機会が増えたと聞いているという。
市単独でそれぞれの事業を運営していた時には実施しにくかった取り組みの一つとしている。
新城市が2024年に民間委託へ切り替えた背景には、労働力人口の減少を見据えた人材確保や、正規職員の効率的な配置、民間事業者のノウハウ活用などがあった。
採用難は続く それでも配置できない事例はなし
一方、民間委託によって人手不足そのものが解消したわけではない。
市は、受託事業者がスタッフの確保に苦労し、幅広く募集を続けていると説明する。
ただ、週刊TAKAPIが必要な人員を配置できなかった事例について確認したところ、市担当者は、これまで欠員を理由に事業を縮小したケースはないと回答した。
つまり現状は、**「採用には苦労しているが、サービスを縮小する状態には至っていない」**というのが市側の認識だ。
「民間になったから悪くなった」という目立った声なし
利用者からの反応についても確認した。
児童クラブでは、支援員と保護者との関係などをめぐる個別の相談や苦情が寄せられることはあるという。こうした声は直営時代にもあった。
一方、市担当者によると、民間委託へ切り替えたこと自体を理由に「以前より悪くなった」とする目立った苦情は、現在まで把握していない。
市はこうした約2年間の運用状況を踏まえ、次期委託について現行の2年半から5年間へ延長する方針を決めた。
次期契約は2027年4月から2032年3月まで。5年間の提案上限額は放課後児童クラブとハートフルスタッフを合わせて約11億3900万円に上る。
なぜ契約期間を5年間へ延ばすのか。約11.4億円という規模はどう決まったのか。直営時代と比べて経費や市職員の負担はどう変わったのか。後編では、次期契約の設計と選定方法、現スタッフの雇用・待遇まで詳しく検証する。
編集部まとめ
今回の取材で見えたのは、民間委託によって「人手不足そのものがなくなった」のではなく、二つの事業間で人材を融通しながら必要な配置を維持している実態だ。約2年間の運用を経て、市は次の5年間も同じ包括委託方式を続ける判断をしている。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本記事は、新城市企画部秘書人事課への週刊TAKAPIの直接取材と、市が公開している放課後児童クラブ・新城ハートフルスタッフの委託資料を基に構成しています。利用者や現場スタッフを特定する情報は掲載していません。
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