国土交通省は2026年9月15日、外国人・外国法人による大規模な土地取得状況を初めて公表した。
2025年7月から12月までに届け出られた大規模土地取引9,573件のうち、外国人・外国法人による取得は21道府県の68件だった。全体に占める割合は0.7%。国・地域別では中国が28件と最も多く、全体の約4割を占めた。
ただし、今回の「0.7%」は、日本の国土全体に占める外国人所有地の割合ではない。一定面積以上の土地取引について、国土利用計画法に基づき届け出られた件数に占める割合だ。
外国人・外国法人による取得は68件、面積では124ヘクタール
国土交通省の集計によると、2025年7月1日から12月31日までに都道府県や政令指定都市から国へ送付された大規模土地取引は、合計9,573件だった。
届出面積は合計2万3,845ヘクタール。このうち、外国人・外国法人による取得は68件、約124ヘクタールだった。
全体に占める割合は、件数ベースで0.7%、面積ベースで0.5%となる。
集計結果
- 大規模土地取引の届出総数:9,573件
- 外国人・外国法人による取得:68件
- 件数に占める割合:0.7%
- 全届出面積:2万3,845ヘクタール
- 外国人・外国法人の取得面積:約124ヘクタール
- 面積に占める割合:0.5%
- 取得が確認された地域:21道府県
68件の内訳は、外国人個人が31件、外国法人が37件。このうち、永住者または特別永住者による取得は13件、約16ヘクタールだった。
国・地域別では中国が28件で最多 香港は別に7件
国・地域別では、中国が28件で最も多く、外国人・外国法人による取得全体の41.2%を占めた。取得面積は約42ヘクタールで、面積ベースでも最多だった。
次いで、香港と米国がそれぞれ7件、パキスタンが4件、英国とイランがそれぞれ3件となった。今回の集計では、中国と香港は別の区分として扱われている。
国・地域別の取得件数
- 中国:28件、約42ヘクタール
- 香港:7件、約13ヘクタール
- 米国:7件、約11ヘクタール
- パキスタン:4件、約2ヘクタール
- 英国:3件、約19ヘクタール
- イラン:3件、約1ヘクタール
- オーストラリア:2件、約13ヘクタール
- カナダ:2件、約3ヘクタール
- 韓国:2件、約2ヘクタール
- 台湾:2件、約1ヘクタール
- その他:8件、約17ヘクタール
中国の28件を利用目的別に見ると、生産施設が18件と最も多かった。資産保有・転売目的は4件、農林水産業は2件、住宅、商業施設、レクリエーション施設、その他施設がそれぞれ1件だった。
最多は北海道の19件 ニセコ周辺などで取得
都道府県別では、北海道が19件で最多だった。札幌市や小樽市、江別市、蘭越町、ニセコ町、真狩村、倶知安町、上富良野町、清水町で取得の届け出が確認された。
北海道では、資産保有・転売目的の取引が目立つ。特にニセコ町や倶知安町、真狩村など、観光・リゾート需要の強い地域で複数の取得があった。
次いで茨城県が12件、千葉県が8件。岐阜県では恵那市、郡上市、下呂市、白川町の計4件、静岡県では熱海市と下田市の計2件が確認された。
一方、今回公表された68件に愛知県内の土地は含まれていない。
ただし、これは愛知県で外国人・外国法人による土地取得が一切なかったことを示すものではない。今回の集計対象となる面積基準を下回る取引や、集計上「外国法人」に該当しない国内法人による取得は含まれないためだ。
利用目的は「生産施設」と「資産保有・転売」が中心
取得目的別では、工場や倉庫、資材置き場、流通施設などの「生産施設」が23件で最多だった。
次いで「資産保有・転売等目的」が21件。この2区分だけで全68件の約65%を占める。
外国人・外国法人による取得目的
- 生産施設:23件、約21ヘクタール
- 資産保有・転売等:21件、約58ヘクタール
- 商業施設:5件、約4ヘクタール
- 駐車場:4件、約3ヘクタール
- 別荘:3件、約2ヘクタール
- 住宅:2件、約6ヘクタール
- 林業:2件、約13ヘクタール
- 農業・畜産業・水産業:2件、約2ヘクタール
- 病院などその他施設:2件、約7ヘクタール
- レクリエーション施設:1件、約1ヘクタール
- その他:3件、約7ヘクタール
面積では、資産保有・転売目的が約58ヘクタールで、外国人・外国法人による取得面積全体の46.8%を占めた。
「外国人が日本の土地の0.7%を取得」ではない
今回の数字を読む際、最も注意すべき点は「0.7%」の意味だ。
これは日本の国土や、外国人が所有する土地全体の割合ではない。2025年7月から12月までに届け出られた、一定規模以上の土地取引9,573件に占める外国人・外国法人の割合である。
届出対象となる面積は、土地の場所によって異なる。
- 市街化区域:2,000平方メートル以上
- 市街化区域を除く都市計画区域:5,000平方メートル以上
- 都市計画区域外:1万平方メートル以上
都市部のマンション用地や住宅地などで、基準面積を下回る取引は今回の集計に含まれない。
また、「外国法人」は外国の法律に基づいて設立された法人を指す。このため、外国資本が出資していても、日本の法律に基づいて設立された国内法人による取得は、今回の外国法人の件数に含まれない可能性がある。
過去4年半は「類推」で297件 単純比較には注意
届出書に取得者の国籍が追加されたのは2025年7月1日からだ。国交省はそれ以前の2021年1月から2025年6月までについて、氏名や法人所在地から外国人・外国法人と「類推」する参考調査も実施した。
4年6カ月間の類推結果は297件、約1,872ヘクタール。全届出8万4,107件に占める割合は0.4%、面積では0.9%だった。
ただし、過去分は氏名などを基にした類推であり、実際の国籍と異なる可能性がある。今回の68件は届出書に記載された国籍・設立国に基づくため、過去の数字とは調査方法が異なる。増減を単純に比較することはできない。
【編集部の考察】重要なのは国籍だけでなく、所在地と利用実態
中国が最多の28件だったことは注目される一方、外国人・外国法人による大規模土地取得は、今回の届出全体では0.7%にとどまった。
安全保障や水源、農地、リゾート地の価格高騰などへの懸念を検討するには、国籍別の件数だけでなく、土地の正確な所在地、面積、利用目的、取得後の利用実態を継続的に確認する必要がある。
今回の公表資料では、市町村、取得主体、国内・国外の所在地、面積、利用目的までは示されたが、取得者の名称や国籍を個別の土地と結び付けた情報は公表されていない。
国籍情報を加えた全国集計が始まったことには一定の意義がある。ただし、小規模取引や国内設立の外資系企業を含めた実態を把握できなければ、「外国資本がどこを、何の目的で取得しているのか」という市民の疑問に十分答えたことにはならない。
数字を過度に不安視することも、割合が小さいとして問題を軽視することも避け、対象地域と利用実態に基づいた検証が求められる。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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週刊TAKAPI編集部:黒木
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