兵庫県姫路市飾磨区の公園で遊んでいた2歳の女児を抱きかかえ、連れ出そうとしたとして、兵庫県警飾磨署は9月15日、姫路市の無職の男(75)を未成年者略取未遂の疑いで逮捕した。
事件があったのは9月11日午後4時45分ごろ。女児は母親(31)らと公園を訪れており、男とは面識がなかったとみられる。男は女児を両手で抱きかかえ、公園から連れ出そうとした疑いが持たれている。女児にけがはなかった。
今回の事件では、女児を抱きかかえた行為そのものに加え、男が「どこまで連れて行こうとしたのか」をめぐり、報道によって認否の伝え方が分かれている。
母親の近くで2歳女児を抱きかかえる 周囲の保護者が気づく
報道によると、女児は公園内で遊んでいたところ、男に両手で抱きかかえられた。
異変に気づいた別の子どもの保護者が母親に知らせたことで、連れ出しは未遂に終わった。女児にけがはなかった。
別の報道では、母親が男に「どこに行くんですか」と問いかけたところ、男が女児を手放したとされている。
今回の事案は、女児が保護者から大きく離れた場所で一人になっていた際に起きたものではなく、母親が近くにいる公園内で発生したと報じられている。
周囲にいた保護者が異変に気づき、すぐに母親へ知らせたことが、連れ出しを防ぐ結果につながった。
「連れ出そうとしたことは間違いない」か「公園外には出そうとしていない」か
男の認否については、報道によって表現が異なっている。
一部の報道では、男が女児を連れ出そうとしたことについて認めた趣旨の供述をし、「公園の中にいた犬を見せようとしていた」と説明していると伝えられている。
一方、別の報道では、男は「公園の外に連れ出そうとしたのは違う」「公園の中にいた犬を見せようと思っていた」と話し、容疑を一部否認しているとされる。
表面だけを見ると、「認めている」と「一部否認」で内容が食い違っているようにも見える。
ただし、現時点で確認できる報道だけから、両者が完全に矛盾していると断定することはできない。
「女児を抱きかかえて移動させたこと」と、「公園の外へ連れ出す意図があったこと」は別の論点だからだ。
警察への実際の供述内容や、女児を抱きかかえた後にどの方向へ、どの程度移動したのかは公表されていない。
「公園の外へ出たか」だけで決まるわけではない
今回の報道では「公園の外へ連れ出そうとしたか」が認否を分けるポイントとして伝えられている。
ただ、一般論として、未成年者略取罪の成否が単純に公園の敷地境界を越えたかどうかだけで決まるわけではない。
刑法224条は、未成年者を略取または誘拐した場合について3月以上7年以下の拘禁刑を定め、228条はその未遂も処罰対象としている。
過去の裁判例では、監護されていた幼児を抱きかかえて連れ去り、自らの支配下に置いた行為について、未成年者略取罪の成立が認められている。
このため一般論では、未成年者を保護者の監護状態から離し、行為者側の支配下へ移そうとしたと評価できるかなど、具体的な行為態様が問題になる。
もちろん、今回の75歳男について未成年者略取未遂罪が最終的に成立するかどうかは、今後の捜査や司法判断による。逮捕された段階で有罪が確定したわけではない。
同じ日に男児への声かけ 情報提供が男の特定につながる
今回の事件では、同じ9月11日に別の子どもへの声かけがあったとも報じられている。
報道によると、同じ公園では同日午後、男児への声かけ事案があり、防犯情報として注意喚起された。その後に寄せられた情報が、75歳男の特定につながったという。
ただし、「声をかけた」という事実と、未成年者略取未遂の犯罪行為は同じではない。
声かけの具体的な内容や目的も公表されていないため、この男児への声かけ自体を今回の逮捕容疑と同じ目的による行為だったと断定することはできない。
一方、事件発生後の注意喚起と情報提供が、容疑者特定につながった経緯は今回の捜査を考える上で重要となる。
5月にも子どもへの声かけ 警察から注意
男については、今年5月にも別の子どもへ声をかけたとして通報され、警察から注意を受けていたとも報じられている。
5月の事案で男が何を話したのか、どのような状況だったのかなど、詳しい内容は明らかになっていない。
また、5月の注意、9月11日の男児への声かけ、今回の2歳女児をめぐる未成年者略取未遂容疑について、警察が一連の行為として関連付けているのかも公表されていない。
過去に声かけがあったという事実だけを理由に、今回と同一の目的による反復行為だったと評価することは避ける必要がある。
今後、警察が過去の行動をどの程度捜査対象としているのかは確認点の一つとなる。
9月18日時点、起訴など新たな処分は確認できず
9月18日時点で確認できる公開情報では、15日の逮捕後について、起訴など新たな刑事処分を伝える続報は確認できていない。
今後の焦点は、女児を抱きかかえた後の具体的な行動や移動方向、男がどのような意図を持っていたと警察がみているのかとなる。
さらに、同日の男児への声かけや5月の注意について、今回の事件との関連をどこまで捜査しているのかも確認が必要になる。
編集部まとめ
今回の続報で重要なのは、男が「容疑を認めたのか、否認したのか」という二択だけではない。
報道を突き合わせると、女児を抱きかかえた行為と、「公園の外へ連れ出す意図があったか」をめぐって認否の伝え方に差がある。
一方、未成年者略取未遂の法的評価は、公園の境界を越えたかどうかだけで決まるものではない。具体的な行為態様や意図について、今後の捜査や司法手続でどのように判断されるかが焦点となる。
同日の男児への声かけや5月の警察からの注意についても報じられているが、現時点で今回の逮捕容疑と同じ目的による一連の行為だったと断定できる情報は確認されていない。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本稿は2026年9月18日時点で確認できる複数の報道、刑法の条文、公開されている裁判例を基に、事件の経緯と認否の表現の違いを整理した。
男は未成年者略取未遂の疑いで逮捕された段階で、有罪は確定していない。
認否について複数の報道で表現が異なるため、本稿ではいずれか一方のみを確定事実として扱わず、それぞれの内容を整理している。
5月の声かけ、9月11日の男児への声かけと今回の逮捕容疑について、同じ目的による一連の犯罪行為だったとは確認されていない。
被害女児や家族、声をかけられた児童を特定する情報は掲載していない。
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