愛知県蒲郡市の市立小中学校では、令和5年度から令和7年度までの3年間、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」として取り扱った事案が0件だったことが、週刊TAKAPIの取材で分かった。
市教育委員会は重大事態が疑われる事案について、学校から教育委員会への報告を「1日以内」、重大事態として扱うかどうかの判断を「1週間以内」とする実務上の運用を明らかにした。
一方、直近3年間に重大事態の実例がないことから、調査委員会への連絡後、実際に調査が始まるまでの時間については「わからない部分が多い」と回答。初動の時間軸を定める一方、第三者調査の実働には経験のない部分が残っていることも明らかになった。
令和5~7年度、重大事態は3年連続0件
週刊TAKAPIは蒲郡市教育委員会に対し、令和5年度、令和6年度、令和7年度に市内小中学校で、いじめ防止対策推進法上の重大事態として取り扱った件数を尋ねた。
市教委の回答は、
令和5年度 0件
令和6年度 0件
令和7年度 0件
だった。
重大事態には、生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがある場合や、相当期間にわたり学校を欠席することを余儀なくされた疑いがある場合などが含まれる。
児童生徒本人や保護者から重大事態に該当するとの申し立てがあった事案についても、市教委は直近3年間で重大事態として取り扱った事案はないと回答した。
重大な被害の疑いは「その日のうちに報告」
重大事態そのものは0件だったが、市教委は実際に事案が起きた場合の初動について具体的な時間軸を示した。
週刊TAKAPIが、市の基本方針で重大事態が疑われる場合の報告を「直ちに」としている点について、実務上どの程度の期間を想定しているのか尋ねたところ、市教委は、
「1日以内に報告、1週間以内に判断」
と回答した。
さらに、
「重大事態にかかわらず、重大な被害の疑いや事故の報告は、その日のうちに報告していただいています」
としている。
学校側が重大な被害の疑いなどを把握した場合は原則として当日中に教育委員会へ報告し、その後、重大事態として扱うかどうかを1週間以内に判断する運用となっている。
30日以上判断に要した事案は「なし」
週刊TAKAPIは、学校側が事案を把握してから重大事態として判断するまで30日以上を要したケースについても確認した。
市教委は「ありません」と回答した。
また、児童生徒本人や保護者から重大事態に該当するとの申し立てがあった後、重大事態として取り扱うまで一定期間を要した事案についても「ありません」としている。
ただし、直近3年間は重大事態そのものが0件だった。このため、実際の重大事態について、学校の把握から教育委員会への報告、市長への報告、調査開始までに何日を要したかという実績値は存在しない。
市教委「迅速に対応する体制はできている」
重大事態への現在の対応体制について、市教委は、
「これまで重大事態としてとりあつかう事案がなく、調査委員会による調査日程の調節がスムーズにできるかなど、わからないことはありますが、迅速に対応する体制はできています」
と回答した。
一方、「十分な体制」と評価する際の根拠となる具体的な指標や数値があるかとの質問には、「ありません」としている。
市として初動の報告・判断の時間軸は設定しているものの、実際の重大事態に基づいて検証された実績値はまだない。
調査開始まで「わからない部分が多い」
市教委が課題として挙げたのは、重大事態と判断した後の調査委員会の運用だった。
週刊TAKAPIが、現在の重大事態対応に課題があるとすれば具体的にどの部分か尋ねたところ、市教委は、
「調査委員会へ連絡してから調査が始まるまでの待ち時間など、わからない部分が多い点が課題だととらえています」
と回答した。
重大事態かどうかの判断については「1週間以内」という目安を設けている一方、調査委員会への連絡後、委員の日程調整などを経て実際の調査開始までどの程度時間を要するかについては、直近3年間に実例がないため実績を持っていない。
重大事態0件でも初動体制は運用
蒲郡市では、令和5年度から令和7年度まで重大事態として取り扱った事案はなかった。
一方で、市教委は重大な被害の疑いや事故について、その日のうちに学校から報告を受け、重大事態に該当するかどうかを1週間以内に判断する運用を取っていることを今回の取材で明らかにした。
重大事態の発生実績がないため、調査委員会を実際に始動させる段階については、市教委自身も「わからない部分が多い」としている。
編集部まとめ
蒲郡市の市立小中学校では、令和5~7年度の重大事態は3年連続0件だった。
市教委は、重大な被害の疑いなどを学校が把握した場合はその日のうちに報告を受け、重大事態かどうかを1週間以内に判断すると回答した。
一方、調査委員会への連絡後、実際に調査が始まるまでの時間については、実例がなく「わからない部分が多い」としている。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本稿は、週刊TAKAPIが蒲郡市教育委員会に対して実施した書面取材への回答を基に構成しています。
「令和5年度から令和7年度まで重大事態0件」は、市教育委員会が「重大事態として取り扱った事案はありません」と回答した内容に基づきます。
「1日以内に報告、1週間以内に判断」は、蒲郡市教育委員会が説明した市の実務上の運用です。全国一律の法定期限を示すものではありません。
また、重大事態として取り扱った事案が0件であることは、市内でいじめや不登校、児童生徒への被害そのものが存在しなかったことを意味するものではありません。
児童生徒や学校を特定する情報は掲載していません。
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