東京23区で、一人暮らし向け賃貸マンションの家賃上昇が続いている。
不動産情報サービスのアットホームが2026年9月28日に公表した「2026年8月 全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」によると、東京23区の「シングル向き」マンションの平均募集家賃は11万4339円となり、2015年1月以降の最高値を更新した。
家賃上昇は東京だけではない。神奈川県は8万2593円、埼玉県は7万2627円となり、いずれも前年同月から10%を超えて上昇した。
首都圏で広がる賃貸マンションの家賃上昇。2026年8月の最新データから、一人暮らしを取り巻く家賃事情をみていく。
東京23区の一人暮らし向けマンション家賃が11万4339円、過去最高に
東京23区で単身者向けマンションの家賃上昇が鮮明になっている。
アットホームの調査によると、2026年8月の東京23区におけるシングル向きマンションの平均募集家賃は11万4339円だった。
同社の調査では、専有面積30㎡以下の物件を「シングル向き」としている。
東京23区のシングル向きマンションは、2026年7月に前月比で26カ月ぶりに下落していた。しかし8月は再び上昇に転じ、2015年1月以降の最高値を更新した。
つまり7月の下落だけでは家賃上昇が一服したとはいえず、8月には再び最高水準へ戻った形だ。
東京23区の単身向け家賃はなぜ「11万円超」なのか
今回の数字を見る際には、アットホームが使う「家賃」の定義にも注意したい。
同調査では、入居者が1カ月に支払う
「賃料+管理費・共益費等」
を「家賃」として集計している。
そのため、11万4339円という数字は「部屋の賃料だけ」の平均ではない。
また、これは東京23区に存在するすべての賃貸住宅の平均でもない。アットホームの不動産情報ネットワークで消費者向けに登録・公開された居住用賃貸マンション・アパートを対象とし、重複物件を整理した上で集計している。
東京23区だけではない 神奈川県の単身向け家賃は8万2593円
注目したいのが、家賃上昇が東京23区だけにとどまっていないことだ。
神奈川県のシングル向きマンションの平均募集家賃は、2026年8月に8万2593円となった。
前年同月比では11.8%上昇しており、こちらも2015年1月以降の最高値となった。
東京23区との差は約3万1700円あるものの、前年からの上昇率では東京23区を上回る。
東京都心部の家賃だけを見るのではなく、東京への通勤・通学圏となる周辺県の家賃動向にも目を向ける必要がある。
埼玉県の単身向けマンションも7万2627円、前年比10.9%上昇
埼玉県でも家賃は大きく上昇した。
シングル向きマンションの平均募集家賃は7万2627円で、前年同月比は10.9%上昇。2015年1月以降の最高値となった。
東京23区と比べれば平均募集家賃そのものは低いものの、前年から1割を超える上昇となっている。
東京の家賃上昇を受けて周辺県を検討する人にとっても、神奈川・埼玉の家賃水準がどう変化しているかは重要なポイントになりそうだ。
首都圏のマンション家賃は全エリア・全面積帯で前年を上回る
今回の調査では、さらに広い範囲で家賃上昇が確認された。
首都圏では、
東京23区、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県
の全5エリアで、マンションの平均募集家賃がすべての面積帯で前年同月を上回った。
シングル向きだけに限定しても、首都圏だけの現象ではない。
調査対象となった全国13エリアすべてで、マンションのシングル向き平均募集家賃が前年同月を上回っている。
家賃上昇が一部の都心部だけでなく、主要都市へ広がっていることが今回のデータから確認できる。
ファミリー・カップル向けマンションの家賃も上昇
家賃上昇は一人暮らし向けだけではない。
東京23区では、30㎡超50㎡以下の「カップル向き」マンションも15カ月連続で2015年1月以降の最高値を更新した。
単身世帯だけでなく、2人暮らしなどを想定した物件でも高い家賃水準が続いている。
一方、マンションより比較的家賃を抑えやすいイメージのあるアパートでも上昇がみられる。
全国13エリアのシングル向きアパートは6カ月連続ですべて前年同月を上回り、東京23区ではシングル向きアパートが16カ月連続で最高値を更新した。
東京23区の家賃はいつから11万円を超えた?
東京23区のシングル向きマンションは、2026年2月時点ですでに平均募集家賃が11万円を突破していた。
その後も高い水準が続き、6月まで最高値更新が続いた。
7月には25カ月連続していた最高値更新がいったん途切れ、前月比では26カ月ぶりに下落。しかし8月に再び上昇し、11万4339円まで上がった。
単月の上下はあるものの、中長期的には高い家賃水準が続いていることが分かる。
「東京23区の平均家賃11万円」でも全物件が高いわけではない
今回の11万4339円という数字を、そのまま「東京23区で一人暮らしするために必要な家賃」と考えるのは適切ではない。
あくまで30㎡以下のマンションについて算出された平均募集家賃だ。
実際の家賃は、
- エリア
- 最寄り駅
- 駅からの距離
- 築年数
- 専有面積
- 建物の設備
- マンション・アパートの違い
などによって大きく変わる。
また「募集家賃」であるため、実際に契約された「成約家賃」と一致するとは限らない。
部屋探しをする場合には平均値だけで判断せず、希望する駅や沿線ごとの募集条件を比較する必要がある。
東京から神奈川・埼玉へ移れば家賃を抑えられる?
平均募集家賃だけを単純比較すると、2026年8月のシングル向きマンションは東京23区より神奈川県、さらに埼玉県の方が低い。
ただし、神奈川県と埼玉県でも前年同月比10%を超えて上昇している。
そのため「東京23区を離れれば家賃上昇の影響を受けない」とはいえない状況だ。
さらに県全体の平均値には幅があるため、東京都心へのアクセスが良い駅と郊外では実際の募集家賃が大きく異なる可能性がある。
住居費を抑える目的で周辺県へ移る場合も、家賃だけでなく交通費や通勤時間などを含めて比較する必要があるだろう。
一人暮らしの家賃高騰、今後も注視が必要
2026年8月のデータから見えてくるのは、東京23区だけの「家賃高騰」ではない。
東京23区のシングル向きマンションが11万4339円で最高値を更新する一方、神奈川県や埼玉県でも前年同月比10%を超える上昇となった。
さらにマンションのシングル向きは全国13エリアすべてで前年同月を上回っている。
これから部屋を探す人にとっては、「東京か周辺県か」だけではなく、マンションとアパート、駅距離、築年数、専有面積などを含めた比較がこれまで以上に重要になりそうだ。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
週刊TAKAPI編集部:黒木

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